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海外渉外報告
服部 寛之

公園管理局への登山申請

 マッキンリー山(別名デナリ)はデナリ国立公園保護区(Denali National Park and Preserve)内にあり、登山には公園管理局への届け出と入下山に際して最寄の管理事務所(Ranger Station)へ立寄ることが義務づけられている。(1994年度からは公園管理局の許可制に改められた。)そこで93年3月28日付け手紙でタルキートナの管理事務所に宛て申請方法と今年の長期天気予想を問い合わせた。すると2週間程して申請用紙1通、登山に関する諸サービス案内、及び公園内での安全登山に関するパンフレットが服部宛て郵送されてきた。(混乱を避けるため管理事務所への連絡には各パーティー遠征隊名とひとりの先任者を決めて当たることという規定であった。遠征隊名は私の独断で The MMC Denali Expedition とした。)
 申請用紙はパーティー全体ではなくメンバー全員が1枚ずつ提出するようになっていたので人数分コピーを作り、メンバー各自に記入してもらい、翻訳の必要な箇所は服部が英語に直してタルキートナの管理事務所へ5月17日付けで書留航空便にて郵送した。

タルキートナでの入山・下山届け

 6月20日の午後タルキートナ入りしたが管理事務所には人がいなかったので、翌21日入山日の朝事務所へ行ったところ、届いているはずの申請用紙が見つからず再度全員が書き直すはめになった。その後事務所の2階でデナリ登山の心得を解説したビデオを見せられ(日本語版であった)レインジャーから入山に際しての指導を受けた。
 タルキートナに下山してきたのは7月7日であったが既に夜の時間帯(と言っても白夜なので明るいが)であったので、翌8日に植村さんが管理事務所に下山の報告をした。(服部は管理事務所へ行くべきことをすっかり忘れていた。スイマセン。)植村さんがその時事務所でもらった資料によると、93年度は7月3日までの累計で、ウェスト・バットレスには239パーティー、927人が入り、そのうち登頂者は484名だったとのこと。同様にウェスタン・リブには32隊、93人、登頂者50名、ウェスト・バットレス・トラバースには8隊、39人、登頂者29名、カシン・リッジには8隊、19人、登頂者15名などとあり、その他マイナーなルートを合わせたマッキンリー山の合計では297隊、1112人、登頂者は588名に達していた。国籍別ではやはりアメリカが640名を越えダントツだが、その10分の1くらいの数でドイツ、日本、スイス、イギリスが並び、次いでカナダ、フランスと続いていた。その他にはオーストリア、スペイン、ノルウェー、イタリア、ニュージーランド、韓国等の国名が挙がっていた。

 海外渉外を担当した服部の役割は、以上の公園管理事務所との連絡の他に、旅行中の航空カウンターや現地ガイド、ホテル、レストランなどでの折衝並びに通訳であった。これはまるで海外団体ツアーの添乗員みたいな役割であり、管理事務所との連絡よりはるかにくたびれた。

公園内登山に関する問い合わせ、申請、連絡は以下まで。
Denali National Park and Preserve Talkeetna Ranger Station
P.O.Box 588, Talkeetna, Alaska 99676 U.S.A.
TEL:(907)733-2231 FAX:(907)733-1465

タルキートナからのフライトはK2エイヴィエイションを利用した。(ブッシュ・パイロットの会社は数社在り。)タルキートナでの宿泊に関しては、小さなホテルが5軒とB&B(朝食付きの民宿のようなもの)が3軒あるが、登山者を運ぶ航空会社は低料金で登山者の利用に供する小屋(bunkhouse)を持っている。
K2社の場合は一人1泊12ドルで、2段ベッドには自分のシュラフで寝るが、共同のトイレ、シャワー、洗面所、冷蔵庫付きキッチン等が利用できた。小屋から飛行場まで(500メートルほど)の荷物の搬送は無料でやってくれた。また、タルキートナの町外れは最長1週間まで滞在できる無料のオートキャンプ場として整備され、トイレが随所に設けられている。登山者の中には飛行場の傍らに幕営している者もいた。小さな食料雑貨の店が2軒、食堂が6軒ある。銀行はない。
K2 Aviation
P.O.Box 545, Talkeetna, Alaska 99676 U.S.A.
TEL:(907)733-2291 FAX:(907)733-1221


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