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医療報告
飯塚 陽子

(1)準備
 まず(4)にあげる医薬品リストのほとんどの薬品は会員の野田氏、会友の片岡さんの多大なご協力により用意することができました。おかげで、医薬品の費用も大変安価に済ませることができ、何よりもこのお二人に深く感謝致したいと思います。

  1. 医薬品は個人用と共同用に分けて用意した。内服薬、外服薬共小さいチャック付きのビニール袋に入れて、それぞれ袋に適応、用法を明示したシールを貼り付けた。
  2. 個人用の健康手帳を用意した。
    内容は、その日の行動、宿泊高度、体の調子、脈拍等を毎日記入できるものである。実際は、筑波大学の低圧訓練室におけるデータの収集の一環で、筑波大学の方で用意された記録用紙を使用した。内容は、血圧と血中酸素濃度の測定。(隊員8人中4人が測定していた)

(2)登山中の医療
 (内科系)

  1. ビタミン剤は毎日飲むように心掛けた。
  2. 高度障害
    急性高山病の症状(頭痛、浮腫、息切れ、吐き気、眠気)等は、標高4000mを越えた頃に、各人症状は様々であったがみられるようになった。この予防と治療の為、ダイアモックス(※)の投与、高度を下げること、また高度順化の為に停滞日を設けるといったことで大事に至る人はいなかった。
    ※ダイアモックスは強力に作用する薬なので、使用方法、服用量は必ず守って服することが大切である。ちなみに、ダイアモックスを服用した隊員に、手、足のしびれ、尿量の増加などの副作用が若干みられた。
    高山病は、個人差が非常に大きいこと、又、いつどこでこの病状がみられるか予想できないこと等、またそれが重症であればすぐ死に結び付くという大変恐ろしい病気である。
     この高山病も含め全体的に病気や怪我を防ぐ為には、自分の健康状態は自分で管理するのはもちろんのこと、もし体に異変を感じ場合は、自分だけで解決しようとせずに、他の隊員に協力を求めることも必要だと思われる。

 (外科系)
食事を作っている最中に、熱湯を浴び足に熱傷を負ってしまった隊員(7/1)。共同用の熱傷用の軟膏(レダマイシン・アクロマイシン)と、包帯、ガーゼにより治療を続行。皮が剥けるというかなりひどい症状で帰国する日まで治療は続けられた。

(3)まとめ
 準備の面で、A、B隊の共同用の医薬品、個人用の医薬品を含めるとかなりの量にはなったが、実際に何らかのトラブルで、若干でも薬を使用した人は、ほぼ全員でありこれは有用だったと思う。ただその中に胃薬が用意されていなかったりと、(実際胃をこわす人がいた)反省点もあるが、全体的に大きな病気がなく、隊員全員が皆元気に下山できたことに、感謝したいと思います。

(4)医薬品リスト

共同用[1パーティー(4人用)]
薬品名 適応と用途 数量
ミノマイシン錠抗生物質
ナパノール錠鎮痛・解熱50錠
ナパゲルンローション鎮痛消炎剤100錠
レダマイシン軟膏外傷・熱傷1
アクロマイシン軟膏外傷・熱傷1
ビスダームクリーム虫さされ2
ルゴールのどの痛み1
マキロン消毒液1
(衛生材料・他)
三角布、包帯
各2
滅菌ガーゼ
10
脱脂綿

油紙
5
バンドエイド各種

体温計、はさみ
各1
個人用
薬品名 適応と用途 数量
ダイアモックス利尿剤35
ビトレンビタミン剤40
ベクタンビタミンE40
セブンイーP消化酵素剤20
PG総合感冒薬15
セデス鎮痛剤15
タントーゼ下痢止め10
アロテック咳き止め10
フラビタン点眼薬雪盲防止2
ナザール点鼻薬1
トローチのどの痛み15
(各自で用意したもの)
日焼け止めクリーム
リップクリーム
テーピングテープ
他に飴(のど飴等)を用意し、個人用に分けた

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