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フリークライミング隊
荒川 洋児

山行日 1993年10月9日~10日
メンバー (L)荒川、朝岡、吉江、田川

 今回は60周年記念三峰神社集中山行ということで、本当は二子山にでも行って岩登りをしてから神社に行きたかったのだ。しかし、車の都合がつかなくあえなくおじゃん。結局ああでもないこうでもないと検討した結果、人工壁からゲレンデのはしごとなってしまった。どこが山行なんだ?と言われればその通りなので、こんなところに原稿を書くのは気が引けるのだが、鬼より恐い編集委員が書いてくれというのでは致し方ない。

 まずは10月の9日土曜日に西武線沿線にあるT-WALLに行った。倉庫を改造した室内壁である。入り口から中を覗くと、そこはもう今までのわたしからすれば別世界。120~130度はありそうな前傾壁を登っている人やら、天井に蝿のごとくへばりついている人、ボルダーリングしている人やトップロープの人、リードしている人やらもう阿鼻叫喚のちまたである。
 メンバー中ただ一人以前にも来たことがある吉江だけは平然と登る準備を始めるが、他のメンバーはしばし呆然と立ち尽くすばかり。
 どうにか気を取り直してクライミングシューズに履き換え易しそうな所からトップロープで登りはじめる。易しそうと言っても完全な垂直、グレードは5.10aくらいはある。もっと易しいルートも有るにはあるが、さすがにそれでは我々のプライドが許さないのであった。ちなみにトップロープルートには最初からロープがセットされているので、リードをしないのならばシューズとハーネスにチョークだけを持っていけば良いというお手軽さ。
 5.10a/bくらいのトップロープは何とかこなせて、ちょっと自信を持った我々だが、世の中そんなに甘くない。数本登っただけですでに指の力は尽きていたのであった。もう駄目、登れんわ。
 元気があるのは最近人工壁通いをしている吉江だけ。それでも大枚2000円を払ったからには元を取らねばならないという骨まで染み付いた貧乏人根性で、ちょっと登っては疲れたと言って下らないおしゃべりに興じながら閉店の20時まで粘り抜いた。

 途中で夕食を済ませ、酒とつまみを仕入れて高麗まで電車に乗り、今夜の宿高麗川の川原へ。あたりではキャンプファイヤーやらなんやらやっている中で、静かな?宴会の夜は更けてゆく。

 翌朝は昨日の疲れが残っていたのか、かなりゆっくりのお目覚め。辺りは朝から豪勢な朝食を楽しむキャンパー達でにぎわっている。その中でレトルトやらカップラーメンやらと勝手な朝食を済ませて、日和田山へと向かう。
 昨日に比べれば日和田山なんて簡単さと思っていたが、甘過ぎた。昨日の疲れはわずか一晩の休息ではまるで抜けずに、まるで力が入らないのだ。結局この日はほとんど登らずに(登れずに)ウダウダしてしまった。それでも3時か4時までは居たのだが、一体何をしていたのだろう。

 このあと翌日に用事のある田川さんが帰り、残りのメンバーで三峰口まで行った。まだバスはあるだろうかと、駅前で時刻表を見ていると聞き覚えのある声が。幸運なことに明氏の車が駅前にいてくれたのだ。たまたま車で来たのでだれか電車から降りてこないかと待っていたのだとのこと。同じように拾われた爆弾氏と共に次の電車まで待ったけれどほかにはだれも来なかったので、三峰神社へと向かった。
 神社の駐車場に着いた時には、すでに宴もたけなわとなっていた。しばらく飲んでいるうちに消息不明?になっていた大洞川隊もたどりつき、こうしてますます怪しい夜は過ぎてゆくのであった。


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