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東沢清兵衛ノ沢出合いの氷柱
荒川 洋児

山行日 1994年2月26日
メンバー (L)荒川、別当、朝岡

 もともとは鶏冠谷の支流の奥飯盛沢あたりに行くつもりだったのだが、土日で行けるというメンバーが集まらない。しかたないので日曜日のみの日帰りに変更しようと思ったけれど、鶏冠方面は日帰りではきつそうだ。どこかいい所ないかなぁと思ったときに頭に浮かんだのが、前の週に乙女の沢の帰りに登山道から見かけた氷柱だった。
 場所は東沢支流の清兵衛ノ沢出合。バス停から1時間ほどで着いてしまう便利さ。しかもかなり大きい(ように見えた)垂直のつらら状の氷柱。なかなか楽しそうで期待が膨らむ。

 いつものように土曜日の夜に塩山駅に集合。しかしいつの間にやら0:02新宿発の夜行列車は臨時便になって、金曜日の夜しか運行されなくなってしまったのは不便。
 翌朝はタクシーで西沢渓谷入り口まで入り、てくてくと歩く。前週はタクシーから降りた途端に震え上がるような寒さだったが、この週はさほど寒さを感じない。こんなんで果たして凍っているだろうかと不安になりながら歩きだす。
 つり橋を渡って東沢の川原に降り、左岸の登山道に入ると、バス停からほぼ1時間で清兵衛沢の出合。登山道が清兵衛沢を渡る直前の所から本流に下る。わずかに上流に歩いて清兵衛のさらに一本上流のルンゼの出合横にくだんの氷柱がかかっていた。
 頭の中の姿よりは小さい。2段で10数メートルほどか。それでも登れれば文句は言わないのだが・・・。困ったことに末端は急に細くなってかろうじて下まで届いているだけで、周りに細いつららが垂れ下がっている。おまけに取りつきは水流の上。凍ってはいるがショックを与えたら氷を踏み破ってどぼんしそうな雰囲気。
 こりゃいかんわいとあきらめて、清兵衛沢出合の氷を登ることにした。出合付近は幅広い氷になっていて、左端が一番高く7メートルほどの氷柱になっている。
 荒川リードで登りだすが、意外に難しくて後悔する。短い間にピッケルにフィフィをかけてアイスハーケンを3本も打ち、どうにか登りきった。しかし登りきった所には適当な支点がなく、しかたなくアイスハーケンを2本打ってビレイ。氷が割れそうな様子はないのだが、そのかわりに氷全体が剥がれて落ちるのではないかという気がしないでもなく結構不安になる。
 あとでロックハーケンを打ち足してトップロープをセットして遊んだ。この時に貸してあげたわたしのシモンのピラニア(ピッケル)は非常に好評を博していた。やはりだてに高いわけでは無い。

 こうして第1回まだ見ぬ氷を求めてツアー(なんだそりゃ)は無事に終了した。東沢本流側壁にはここの他にもホラノ貝付近と山ノ神の少し下流にも、ある程度の規模の氷があった。特に後者は割合に傾斜がつよく部分的には垂直で、全体の規模も20メートル程度はありそうだ。他にも探せば面白い氷がある、かもしれない。


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