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天神平・雪上訓練
服部 寛之
山行日1993年12月11日~12日
メンバー (L)服部、荒川、澁谷、森本、坂本、笠原、古川
11日のみ 箭内、朝岡、谷川
12日のみ 田代、飯塚、高木、福間、豊嶋

 12月も半ばだというのに雪不足でまだ大半のスキー場がオープンしていない中、混雑が予想される天神平で土日の2日間、正月合宿へ向けての雪訓を行なった。
 10名の参加者のうち、前夜発高崎駅仮眠組の荒川、箭内、谷川、朝岡、森本、古川の各氏と澁谷、坂本、笠原の各ビジョの9名は土曜の朝8時過ぎ、小雨パラつく水上駅で車で来た服部と合流、車とバスでロープウェイ駅へ向かった。土合駅の先はすでにものすごい数の車で、バスはロープウェイ駅まで入るものの、駐車場はその周辺はおろか慰霊公園のすぐ上のだだっ広いところまで車で埋め尽くされ、服部の車はその手前、白毛門登山道入口の空地に入れさせられてしまった。ここでこんなおびただしい数の車を見るのは初めてだ。いやはや、おっどろいた。
 バス組と車組はスキー場で合流、下の小雨は上では湿雪となっていた。見ると、天神峠に上がるリフトの北側で別の雪訓パーティーがテントを設営中だったので、うちらもその下方を整地して三張り張る。テントを広げているとまたまた別の大人数雪訓パーティーがやってきて、カラフルなスキーヤーの列下にはあっという間にテント部落ができあがってしまった。
 テントを張り終えるともう12時近かったので、それぞれテントの中で行動食を食べ、12時15分から荒川組と服部組に別れて雪訓を行なった。
 荒川組は澁谷さん、箭内氏、谷川氏、森本氏、朝岡氏の新旧6名の雪山経験者たちで、テントの50~60m上方の小さな谷斜面で滑落停止を行なった後、さらに少し上った斜面でスタカット登攀時のビレー確保を練習した。
 服部組は古川氏、坂本さん、笠原さんのウイウイしい??新人たちで、テントのすぐ上の斜面でまず1時間ほど耐風姿勢やアイゼン歩行を行ない、その後荒川組が滑落停止をやっていた斜面まで上がって滑落停止を行なった。湿雪のためアイゼンはすぐダンゴになりやすく、また積雪が70~80センチしかないため滑落停止をしていると笹が頭をのぞかせたりもしたが、まあ何とかみんな型通りのことはできるようになった。
 3時半頃テントにひきあげる。夕方から気温が下がって軽い雪に変わった。新幹線で来ると聞いていた山本のゲンさんはとうとう姿を現わさなかったが、結局、
 「きっと途中で顔見知りに遇って飲み始めちゃったんじゃないの」ということに落ち着いた。本人が居ないとどんなことにされてしまうやら・・・・、あなおそろしや。
 翌日曜日は朝から快晴、昨夜の雪は20センチほども積もっただろうか。朝食を食っていると7時過ぎにモートーコールが聞こえ、日帰り組の田代氏、福間さん、飯塚さん、高木氏、豊嶋氏の5名がやってきた。今日も昨日と同じように2組に分かれて行なうことにするが、朝岡氏と箭内氏は用事で朝食後帰り、谷川氏は調子が悪くテント番なので、都合12名となった。
 荒川組は澁谷さん、森本氏に福間さんと飯塚さんが加わり、まずテントの少し上でスタカットのビレーを行なってから、天神峠まで雪の深いところを選んでラッセル訓練を行なった。
 服部組は昨日の3名に高木氏、田代氏、豊嶋氏を加え、新雪をラッセルしながら昨日滑落停止をしたところまで登り、まず白樺の木に支点を取ってプルージック、そしてエイト環での懸垂下降を練習した。その後アイゼンを履いて昨日に引き続き滑落停止を行なった。日帰り組は車で来たので、帰りの渋滞を考え、両隊とも11時半頃テントに戻り撤収した。
 今回の訓練は、全くの新人諸氏には第一に雪山のテント生活を体験してもらうことと、第二にアイゼン、ピッケル、ザイルを使った初歩的な安全確保術を覚えて練習してもらうこと、冬山経験者には雪山の感覚を取り戻してもらうことを主眼に置いて行なったが、一応の目的は達成できたと思う。だが、願わくば、もっと大勢の会員諸氏に参加してもらいたかった。
 雪山はうつくしい。しかし、恐ろしい。雪山に登ろうと思う者は雪訓を軽視せず、初心を忘れぬ努力をしてもらいたいと思う。それが自分自身を守り、パーティー全体を事故から遠ざけるための第一歩である筈だ。


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