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巻機山集中山行
その1 五十沢尾根イワナ宴会隊
勝部 辰朗

山行日 1993年7月24日~25日
メンバー (L)勝部、江村(皦)、小林(偉)、高木、石塚

 夜行で六日町まで行き、タクシーにて松永発電所あたりのキャンプ場まで入る。メンバーはむさくるしい男ばかりの5人。今回の目的は、釣師江村氏の釣るであろう、巨大イワナの塩焼と骨酒を飲むことである。ただ、それだけである。きっと釣れる。釣れるぞ。釣れますとも。釣れるよな~。釣れるだろう。たぶん釣れるだろうらしいです。釣れたらいいな~。釣れなかったらどうしてくれる。えっ!今回は集中山行だって。そりゃいかんな~。頂上まで登らにゃいかんのか。まっ、しょうがないから行ってやるか。てなもんで、7月24日、五十沢渓谷探勝ルートの一つの展望コースを登り始めた。発電所の調整池を過ぎ、五十沢の渓谷美をめでながら、夫婦滝まで行く。
 裏巻機は、清水側から見るおだやかな山容とは対照的なイカツイ顔をしている。雪に削られたスラブの岩、沢の山だ。
 夫婦滝あたりより尾根道に入り、大窪沢の徒渉点あたりで幕場を探す。午後1時頃だった。今年は冷夏のせいか、沢はまだ雪渓で埋まっていた。対岸の台地にテント一張がやっと張れるスペースを見つけ、きょうのねぐらとした。このコース中、巻機山までテントの張れるところは、後にも先にもここだけだった。
 さて、今回の大目標、イワナを喰お~の大目標達成に向けて、釣師江村さんを激励応援して送り出し、残りの4人はたき火を用意し、ひたすら祈りの酒をくみ交わしながら待った。けがれなき純真な男たちの祈りが天に届いたか、程なく江村さんがたて続けに大イワナを2匹釣って来た。今まで釣った中の最大級のものだそうで、江村さんの鼻の穴がピクピクしていた。
 そして宴はとめどもなく続き、しまいには酔いすぎてシュラフにも入ることもできず、そのまま朝を迎えてしまった。
 翌朝、二日酔いなのに3時すぎから早起きじいさんが約1名「起きるぞ!」とうるさい。しかたがないので起き出し、めしを食い終わったがまだ空は暗いので、また少し寝直しをした。
 6時頃出発、割引岳を目指してひたすら登る。やぶっぽい道の、ぐずぐずずるずるの急登の、笹つかまり登りの、フィックスロープいっぱいありの、こんな道ぜったい下りたくないぞの、雨が降って来ただの、ただただ直登一直線だののいやな道が、二日酔いの脳をいたぶる。
 しかし、それにもめげず集中の使命感に燃える5人組が、割引岳を経て巻機山で他パーティーに合流したのは、予定時刻ぴったりであった。めでたし、めでたし。


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