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平成六年度春山合宿
その4 丹後山から笠ヶ岳(C隊)
野田 昇秀

山行日 1994年5月3日~6日
メンバー (L)勝部、野田、井上(博)、水田

 5月2日夜、上野駅から服部隊と勝部隊が同じ列車に乗ります。田原会長の缶ビール、播磨さんから、ジャックダニエルズの差し入れを頂き盛大な飲み会が開かれました。越後湯沢駅で仮眠をします。

 5月3日、一番列車で六日町へ行きます。バイクで来た猛者もみぢさんと合流します。タクシーで三国ダムを経て十字峡に入ります。道路脇にはまだ雪が残っていましたが、運良くトンネルの入口迄運んでくれました。6日分の装備食糧酒を背負い三国川ぞいの林道を歩きます。水平歩行にもかかわらずよれよれでした。1ピッチで登山口に着きます。指導標には丹後山迄4.6キロとありこの間に1000mを登らなくてはなりません。手を使って登る急斜面が続きます。オーロンの股引きが、耐えられない暑さを追加してくれました。大汗をかいてやっと一合目鉄砲平を通過します。
 水田さん若さで頑張りトップを引きます。いわかがみが咲いているのがせめてものなぐさめでした。気象情報ではフェーン現象で真夏日の地方が多かったと伝えています。雪が出てくると少し楽になります。八合目の1470mPで定時交信をします。服部隊も暑さで苦戦をしているようで日向山で打ち切るとの連絡です。私達は予定の丹後山を越して、大水上山まで行くと報告しています。リーダーの顔が鬼に見えました。この後緩やかな登りが続き丹後山避難小屋に着きました。小じんまりとした小屋です。ここで打ち切りになれば良いのですが、明日から2日間天候がくずれるとの事、進めるだけ行くことになりました。稜線に出ると登り降りが緩くなり一息つくことができます。利根川水源の碑があり一休みします。兎岳から中の岳が大きくなりました。すぐ先の大水上山を通り越して西の尾根に入り平ヶ岳をめざします。急斜面とヤブで少しいやな所でした。風が強くなりました。風のこない1610mPで幕営です。夕食はすき焼きどんを雑炊にしたものでした。今夜も盛大な宴会でした。

 5月4日、酒が少し減っただけでザックは昨日とほとんど同じ重さです。還暦を迎えた井上さんの手前弱音をはく訳にはいきません。雪稜を歩き藤原山は薮をまいているうちに北側を通過します。雪が消え時々夏道を歩きます。この程度なら夏でも歩けると思っていましたが、下藤原山を通過すると猛烈な薮道になりました。井上さんはザックの両脇に、マットをくくりつけている為に大苦戦です。剣ヶ倉山直下の薮を抜けると薮こぎは終りました。剣ヶ倉山で三峰の旗を出してピッケルにゆわき平ヶ岳をバックに写真を撮ります。雲の流れが低気圧の接近を知らせてくれます。まだ晴れていますが風が強くなりました。剣ヶ倉からの下りは雪稜が狭くなり急な下りです。風で飛ばされると谷底迄落ちるので慎重に下りました。1ピッチで2072mPに着きましたがもうよれよれです。平ヶ岳が大きくせまって来ました。緩やかな長い登りのすえやっと平ヶ岳に着きました。2人のスキーヤーがいます。山の鼻から登りこれから引き返すとの事、いやはや大変なことです。どうやら天気は保ち一番恐れていた平ヶ岳でのホワイトアウトは無しですみました。スキーのトレールを追って約1時間白沢山の肩迄頑張って幕営しました。夕食はマーボ春雨を雑炊風にしたものでした。今夜も盛大な宴でした。

 5月5日、夜中に前線が通過して大雨と強風が吹き荒れていましたが酔ったいきおいで寝ていました。朝出発の時にはやみました。白沢山を越します。ガスで視界がきかず、たのみのスキートレースは消えていました。スキー場のような斜面を磁石を振りながら勝部さん見事にススヶ峰への登路を定めました。雨が本降りになりました。岳倉山を通過すると尾瀬ヶ原がすぐ近くにせまります。いよいよ至仏山への600mの登りに入ります。稜線を1時間登ると樹林帯になりムジナ沢側へトラバース沢のへりを登ります。上部で岩稜に入り巨岩を乗り越す苦しい登りのすえやっと至仏山に着きました。雨がやみ四方の展望が開け大感激でした。小至仏をまいて悪沢岳の頂上に幕営しました。明日は笠ヶ岳を越すだけ雨でも下山できますので、酒を全部飲む大宴会でした。

 5月6日、7時出発笠ヶ岳が真近にせまります。山頂直下のトラバースは雪が固まり、小さなステップに体重をかけます。スリップすると100m下の樹林帯へ激突するので、慎重に足を進めました。急斜面を直上すると山頂への分岐のある登山道へ出ました。あとはこの道を下るだけもう終ったも同然と思いのんびりと行きます。広い斜面に先行者の踏跡が続きます。視界がない為大きく左右にふれています。登山道を知らせる赤布、ペンキ類がひとつもないのです。先行者も大苦戦した様子がうかがえます。左の尾根に入り込んだように感じました。尾根を1本トラバースして下ります。この尾根は違いました。うっすらと見えた尾根元の道が正しかったのです。1時間ロスをして元にもどりました。この少し先で尾根が狭くなり雪が消えて登山道がでてきます。長い林道歩きのすえやっと湯の小屋温泉日野葉留荘の温泉に入ることができました。向い側の食堂で下山祝いをします。ビールのつまみにコゴミがでました。生姜で味付けしてあり大変おいしく感じました。毎日しっかり歩いた充実した山行でした。勝部さん、井上さん、水田さん有難うございました。

〈コースタイム〉
3日 十字峡(7:45) → 丹後山(13:40) → 大水上山(14:40) → 1610mピーク(15:20)
4日 発(5:20) → 剣ヶ峰(12:05) → 平ヶ岳(14:05) → 白沢山肩(15:05)
5日 発(5:50) → ススヶ峰(8:10) → 岳倉山(9:25) → 至仏山(12:30) → 悪沢岳(14:30)
6日 発(6:45) → 笠ヶ岳分岐(7:55) → 咲倉尾根避難小屋(10:40) → 湯の小屋温泉(13:15)

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