トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ285号目次

山の瞬間料理講座 『かっちゃん一分間クッキング』
~酒の肴シリーズ第1回~
勝部 辰朗

 「かあちゃん、ミソ汁にイリコば入れんなちゅうとろうが!」と青春の門の主人公の信介しゃんは言いんしゃったとか、言わんしゃったとか?ばってんくさ、オラはイリコの入ったミソ汁ば好いとうと。だしが良く利いて、またやわらかくなったイリコ自体も結構うまいのだ。我家の貴重なタンパク源とカルシウム源として、重要な役割を担っている。なんたってイリコが入るとだんぜんミソ汁がうまくなるのである。たかがイリコ、されどイリコなのだ。僅かこれを入れる一工程を面倒くさがって省いてしまうことによる影響は甚大である。この一工程の愛を無くしては絶対にならないのだ。ドン!(机をたたく音) 料理に愛を、ドン! 酒のつまみにもっともっと愛を、ドン!ドン!
 なんだか大仰になってきたが、要はこれから山での酒のつまみについて書こうとしている。
 編集長の服部氏より原稿料等の細かい取り決めもなされないまま、有無を言わせず酒の肴についての原稿を書け!!と依頼され、承諾を強要された。明氏の名作「山の歳時記シリーズ」の後を受けてのシリーズ開始で、荷が重い。荷が重いがやらねばならぬ。なんだか羽田さんになったみたいな気分だ。小沢くん、じゃなかった服部くん、失敗だったら責任とってね。
 と言う訳で、酒のつまみについて話を始めてみたい。
 一日の重労働を終え、テントを設営するのももどかしく、室内にメンバー全員が揃うやいなや、酒とつまみがテント中央の強大なブラックホール空間めがけて、ザックの中より吸い出されるわ寄せられるわ、乱れ飛ぶわ怒涛の渦を巻くわで、あっと言う間に整然と配列されている。おまけにブキ、ゲロも各自の前にきっちりと。
 ななっ!なんという早さだ。これもひとえに三峰60年の歴史のなせる技か?はたまた単なるアル中の集まりか?すごいものである。
 が、しかしである。ここで出て来たつまみが、セブンイレブンの一袋298円のサキイカだったり198円のカキピーだったりすると、なんとなく味けがないのである。
 やはり、いわゆるひとつのひねりが欲しいのだ。ドン! ひとかけらの愛が欲しいのだ。ドン!ドン! つまみにはもっとうるおいがあって欲しいのだ。ドン!ドン!ドン!!
 日本酒党の人ならこの思いはなおさらの事であろう。
 そこで、僅かの手を(愛を)加えるだけで、日本酒のつまみに十分耐え得るつまみを、少ないレパートリーの中から何品か紹介して行きたいと思います。山の中だから許される味だけど、割とうまく食えるんですよ。

かっちゃんのつまみレパートリー
(すのもの編)

 一日の行動を終え疲れきった体には、なんといってもスッパイものの方が受け付けやすいし、体や口が欲しがるようだ。
 なんつったって日本酒のつまみの定番は「酢の物」にとどめをさすのだ。サンセイの酒とアルカリ性の酢の物が口の中胃の中で中性になって、非常に体にサンセイ(賛成)なのだ。それにも増して作るのがいたって簡単で早く出来上がるのがありがたい。ではまんず、
その1 (キューリとわかめの酢の物)
1.ふえるワカメちゃんを水に浸して戻す。
2.キューリをスライスする。
3.カニカマボコを細く割く(ちくわを切ってもよい)。
4.1~3のものを混ぜ合わせて、その上にタマノヰすしのこを適量ふりかける。味がうすいようならショウユを少しかけても良い。そして混ぜる。→出来上り→酒を飲む。
その2 (みょうがの酢ミソあえ)
1.ふえるワカメちゃんを水に浸して戻す。
2.みょうがをスライスする。
3.ミソに少量の水を加えタマノヰすしのこを混ぜて酢ミソを作る。
4.1~3のものを混ぜ合わせ出来上り→酒を飲む。
その3 (ネギのヌタ)
1.その2の2の部分をネギに置き換える→出来上り→酒を飲む。(手抜きですんまへん)
 その他いろいろバージョンは考えられますが、ポイントはすしのこの活用である。
 材料についても、買ったものをそのまま持って来るのではなく、必要量をビニール袋等に移して持って来れば重くもならず、かさばらない。やはり出発前の用意を周到にすることが、おいしいつまみを手早く作れて、また荷を重くしないための重要な要素であるようだ。
 以上のことはベテランの人たちにとっては、レパートリーや要領についても百も承知の事だらけではありましたが、あくまでも新人向けの料理講座ということでご容赦いただければ幸いであります。
(今回の使用材料)
タマノヰすしのこ中袋 148円、リケンふえるわかめちゃん5g×4袋 198円、キッコーマンしょうゆミニパック5ml×10本入 153円、一正のニューオホーツク(カニカマボコ)75g 100円、竹笛のちくわ5本入 148円、きゅうり1本 20円、みょうが3個入パック 168円、長ねぎ1本 78円、ミソ少々
(注)H6.5.15、スーパー・マルエツにての価格

 次回は、あえものや、乾物を使ったつまみを予定しています。それでは、また。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ285号目次