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山の瞬間料理講座 『かっちゃん一分間クッキング』
~酒の肴シリーズ第2回~
勝部 辰朗

 スーパーなどへ行ってみて驚くのは、日本国民は皆ヤマ屋であったか?と思われる程、ワンクイックものが盛りだくさんに並べられている。いやはや、忙しい世の中になったもんだとあきれるが、山屋にとってはスーパーで、こんなに手軽に山向きの材料が手に入るのはありがたい。
 前回予告したとおり、今回はあえものや乾物を使ったつまみを中心にご紹介してみたい。特に乾物は軽く当然日持ちもよく、軽量化を要求される山行でも、ザックに忍ばせても許してもらえるかもしれない。
 では、まんず話ますゾ~。奥様!メモのご用意はいかが?

(1)海草サラダ
 皆さんおなじみのレパートリーである。青じそドレッシング付の乾燥海草のパック商品である。3~4人用42g、248円。水で戻してドレッシングをまぜるだけ。ただしこれだけでは少しもの足りない。やはり、いわゆるひとつのひねりとして、カニカマボコ(一正のニューオホーツク・75g100円)をさいてまぜたいものだ。キューリまで入れるというのは、ゼイタクと言うものかもしれないが、許される山行内容なら持って行ってみましょう。

(2)きりいかのシソまぶし
 ヤマオンのきりいか25g、148円という商品がある。えんぴつの削りカスのようなさきスルメである。コッヘルでからいりして、かつおぶし(ヤマキカツオパック75g×8袋、328円)としょうゆ(キッコーマンミニパック5g×10本、153円)をかける。これに、しその葉を細かくきざみ、まぶすと一段とうまい。
 我家ではプランターで、しその栽培をしてますのだ。おかげで、夏はソーメンをするたびに小三のいたいけなガキが、母親に「しその葉をとってこい!」とこき使われております。とっても、とっても葉が出てきて、とっても便利。

(3)だいこん葉のちりめんじゃこまぜ
 だいこんの葉っぱは、大好きである。スーパーなんぞでダイコンを買っても、既に切り落とし済みで「ナンダ、ナンダ!困るじゃないか~」とダイコンに向かっておじさんはブツブツ言うのである。
 しょうがないから味は落ちるが、フリーズドライのだいこん菜を使うことにする。(株)フジサワの大根菜40g、198円をお湯で戻し水けを切る。セントラル水産(株)の上乾ちりめん25g、198円(別にチリメンジャコならさんでもいいんだが)をまぶし、しょうゆをかけて食う。少し炒めて食ってもいいよ。
 大根菜を使って以前山で和風チャーハンを作ったけど、けっこういけたですよ。

(4)納豆こんぶ
 よく使うレパートリーのひとつです。
 東昆の納豆こんぶ、たれ付40g、218円なる商品がありますのだ。糸状のこんぶで、水ですぐ戻り、ネバネバと納豆状の糸を引く。たれをかけて出来上がり。これにネギを細かくきざんでまぶし、ぐちゃぐちゃぐちゃとかきまわす。(株)フジサワの乾燥ネギ20g、148円を水で戻してまぜてもよいが、本物のネギをひとかけら持って行った方がヤッパうまい。
 ネバネバもの第1弾でした。

(5)四食乾菜
 これはまだ使ったことのない乾物である。スーパーで値段調査をしていてめっけちゃった。(株)まるつねから干し大根、人参、わかめ、しいたけの乾物58gの「四食乾菜」という商品だ。
 利用方法は数種書いてあったが、山でやるなら酢ものが早くて簡単のようだ。3~4分水に浸してよく絞り、すしのこを使って三杯酢風にする。
 どなたか、試しに作って食わしてもらえまへんか?

(6)おくらのおひたし
 これもよくやるのだ。おくらのネバネバがなんとも言えませんのだ。
 おくらをお湯でゆがき、程よいとこで上げて輪切りにする。あとはカツオブシとしょうゆで食す。うまい!!
 山で野菜もののつまみは豪華なものに思えるから不思議だ。このつまみにこったあげく、今年庭先でおくらの栽培を始めましたのだ。今日も四つばっか収穫があったぞ。
 勝部農園特産のおくらのおひたしはいか~すかッ! ネバネバものの第2弾なのだ。

(7)なの花のあえもの
 春になるとスーパーになの花が並びます。ザックにつめ込んでも割といたみにくいので、持って行くのに都合がよい。
 お湯でゆがいて、カツオブシ、しょうゆでおひたしもいいもんだ。
 また、キューピーから酢みそ和えの素16g、ごま和えの素21g、辛し和えの素21g、(各100円)がでている。これで和えると各種和えものがすぐ出来る。
 春季限定、季節感あふれるつまみの出来上がりだ。ふきのとうなんぞの和えものにも使えると思うので、春には、ザックの中にこの和えものの素1袋を忍ばせておいてもよいかもね。

(8)納豆とんぶり
 とんぶりという草の実がある。小さいつぶつぶで、畑のキャビアと称されているものである。
 秋田県比内町特産、とんぶり100g、148円。これをゲロに出し、納豆をまぜてぐちゃぐちゃぐちゃ、もひとつぐちゃとかんまわし、しょうゆをかけて食う。見ためはちょっと異様だが、ネバネバプチプチがうまい。是非クワネバー!
 ネバネバものの第3弾だぞ。ネバーギブアップ、なんちゃってネ。

(9)モロヘイヤのおひたし
 ドーシておれはこんなにネバネバが好きなんだろ~ね~?前世はナメクジか、はたまたハエ取り紙に恋をしたハエだったのか?・・・・・そんなこたぁどおでもいい。
 これは菅原さんお奨めのレパートリーで、この前食わしてもろて感ゲキものだったので、ここに紹介いたします。
 だいたいモロヘイヤってなんですねん?モロにへが出てイヤ~な食物なのか、モロにヘヤーがみえてるような形状のものなのか?モロ、平野に生えているものなのか?はたまた・・・コラ!エエカゲンニセンカイ!
 すんません、なんでもエジプト生まれの野菜だそうで、サラダ菜みたいなやつです。
 おひたしにして、きざむとネバネバが出てくる。しょうゆをかけて食う。
 沢の中で、たき火を囲み、なつかしの歌声のメドレーに酔いしれての酒宴が、より一層の味付けでありました。ごちそうまさでした。ネバネバものの第4弾ですのだ。

(10)じゅんさいのわさびじょうゆ
 前から「じゅんさい」は気になっていた材料だが、今までつい買いそびれたままだった。
 最近、金子さんと山で酒を飲んだ際、ネバネバもののつまみの話になり、秋田産のじゅんさいをくれるということになった。ルームで「ブツ」の受渡しをすませ、家で食ってみたら、ネバネバトロトロがなんともうまい。
 山に持って行くには少々問題がある(袋がやぶけると、ザックの中じゅうぬるぬるぬめぬめになってしまう)が、山行内容によっては使えるでしょう。
 料理の仕方はたくさんあって、どれもすぐ出来るが、私が山で作るならハウスの生わさびチューブ入りを入れてしょうゆをかけて食う。腹にたまらず、純日本的な風味が日本酒のつまみにはピタリ!酢のものにしてもよい。

 今回は以上10作でおしまい。
 このように菅原さんや金子さんを始めとして、のんべーは皆それぞれ「ヒッシ」で酒のつまみを捜し、考えているのだ。必要は「うまいつまみ」の母なのだ。
 のんべーのひたむきな向上心を笑ってはいけない。この快楽へ向けての人間の英知が今日のすばらしい?メイテイ(コンメイ)の世界を築き上げてきたのである。
 おじさんは、自然の懐にいだかれ、このメイテイの世界を彷よい夢を見、そして思いを廻らせるのだ。
 はて、たき火を見ながらメロメロに酔っぱらったおじさんの頭の中は、果たして・・・・・。
 次回へつづく。


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