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仙ノ倉谷東ゼン・西ゼン
金子 隆雄

山行日 1994年8月27日~28日
メンバー (L)金子、江村(皦)、箭内(27日のみ)

 8月27日 晴れ後曇り時々小雨 東ゼン
 昨夜の夜行で土樽駅に着き5時間ほど寝て朝駅を出発する。階段を降りて車道を歩き橋を渡ったらすぐに左に折れて林道に入る。群大ヒュッテ手前の吊り橋を渡り沢沿いの平標新道を行く。緑のペンキが目印だ。吊り橋から約1時間でケルンのある仙ノ倉沢出合いに着く。不要な荷物を出合いにデポして溯行を開始する。
 ダイコンオロシ沢出合い付近は不明瞭で一見左の方が本流のように見えるが、右の薮っぽい方に進むと本流の河原に出る。東ゼンと西ゼンを分ける二俣までは平凡で特に問題はない。左の東ゼンに入ってすぐの50mのナメ滝は左岸のスラブを登るが傾斜が強いので要注意だ。中ゼン出合いを過ぎると沢は右に直角に曲がる。屈曲点の20mの滝は全身滝にうたれながら潜り抜け右岸を捲いて落ち口に立つ。
 核心部の2段60mの滝はアンザイレンし右側から左斜上するバンドを伝いテラスで一旦ピッチを切る。更に左斜上して流芯を横断して右岸のブッシュ帯に入ってビレイする。残置ピトンは3本見つかったが、右岸に打ってあったハーケンは確認のため引っ張ったら抜けてしまったので、使用できたのは2本だけであった。上段の滝は右岸の岩を少し登ってブッシュの中に入ってトラバースして抜ける。核心部だけあってこの滝を越えるのには苦労させられた。
 この先は小滝が続き25mの滝を右側から越すと沢は開けてしばらくゴーロが続く。右から入ってくる枝沢を1本見送り、最後の二俣を右に進むと水量も少なくなり薮っぽくなってくる。笹薮こぎわずかで高山植物の花が咲く気持の良い稜線に出る。
 平標山を経由して平標新道を出合いまで戻る。平標新道からは西ゼンの第2スラブがよく見える。出合い付近は良い幕場がなく凸凹の河原にテントを張る。箭内さんは日曜日に仕事があるそうで今日下山していった。

〈コースタイム〉
土樽駅(6:20) → 吊り橋(7:45) → 仙ノ倉沢出合い(8:40~9:15) → 東・西ゼン分岐(10:00) → 三ノ字沢出合い(12:00) → 稜線(13:50) → 仙ノ倉沢出合い(16:30)

 8月28日 晴れ 西ゼン
 西ゼンはスラブの登行に終始するので雨が降ったら止めようと考えていたが、幸いにも晴れたので予定通り出発する。
 出合いのナメ滝は右端からブッシュ沿いにスラブを登る。25mの滝を越えると核心部ともいえる第1スラブが現れる。長さが100m以上もある見事なスラブが流れの左右に広がっている。左岸の乾いた所を選んで直上し岩壁に突き当たる前にトラバースして滝の下に出る。傾斜はそれほど強くないがここで滑ったらどうなるかを想像するとなかなか足が前に出ない。第1スラブの終了点の滝は右岸を捲いて落ち口に立つ。
 第2スラブは第1スラブに比べて傾斜も強く長さも200mと長いが、階段状なので左側を快適に登れる。第2スラブを過ぎると実質的な溯行は終ったも同然で、後は右へ右へと進路をとればやがて沢は笹薮の中に消えていく。笹が覆被さってはいるもののしっかりとした踏跡を辿ると平標山からかなり下の池塘が点在している登山道に出る。後は昨日と同じように平標新道を仙ノ倉沢出合いまで下る。
 東ゼンに比べて短く、またザイルを使うような所もないので短時間で遡行できる。

〈コースタイム〉
仙ノ倉沢出合い(7:20) → 東・西ゼン分岐(8:00) → 第1スラブ上(8:45) → 登山道(10:40) → 仙ノ倉沢出合い(12:20) → 土樽駅(14:50)


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