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岩手山・姫神山
水田 洋

山行日 1994年10月8日~10日
メンバー (L)水田、服部、岩手山のみ 小林(勝)

 10月7日(金)青森行急行「八甲田」は込み合っていたが、服部氏が現れたのは、発車2分前というパンクチュアルさだった。夜行は寝れないし疲れるのだが、山に行くんだという気分にさせてくれるのがいい。
 盛岡で下車し、身支度を整えタクシーに乗り込む。7時には登山口から歩き始めた。岩手山は山の半分が富士山型なので、とにかくひたすら登るだけであるが、山肌は樹林に覆われており、紅葉しかかった色が目に心地好い。あいにくと空は雲が多くはっきりしない天気だ。10時すぎには八合目の小屋に着いた。避難小屋ということだが、立派に営業していた(1泊千円)。小屋の前には標高1750mで森林限界を超えているのに、温泉のように水がわきでていた。この山は幕禁だというので10分程先の不動平小屋に泊まることにするが、小屋に着いてもまだ10時40分、頂上往復してきても12時で時間を持て余してしまった。ああ、今日も昼酒か。
 明けて9日(日)、今日はチョビット縦走して10時には温泉につからねばならない。空はピーピーのカンカンだ。出発前に頂上を一巡りして鬼が城へ向かう。北東北の山が一望のもとだが八幡平方面は紅葉がイマイチである。途中2、3の中年パーティーを追い越しサクサクと我々は進んでいく。服部氏、小林勝さん、今日も好調だ。予定通りの時刻に松川温泉について一ッ風呂浴び、さっさとバスに乗り込む。私と服部氏は次のピークを足下におさめるべく、大更の駅前で下車する。小林勝さんとはここでお別れだ。
 大更で昼飯と買い出しを済ませ、汽車で移動、好摩で酒を仕入れ、タクシーで姫神山一本杉登山口へ。陽はまだ高く10月とは思えない陽気である。ピクニックにきている家族連れに紛れてテントを張る。服部氏はぬるくなった缶コーラを前に『これが本当の燗コーラ』などとのたまい絶好調である。
 翌10日(月)今日も天気がいい。標高1100mそこそこの低山なので暑くならないうちに出る。道は整備されすぎているくらいの感じがして、グイグイ標高を稼ぐ。服部氏は好調でかなり先を行っている。私は体が重くマイペースで行く。それでも1時間10分で一気に頂上に着く。山頂は巨岩が折り重なり、樹林から抜け出ているため眺望は良い。早池峰山の優美な姿が印象的だ。宮沢賢治のいうイーハトーブが眼前に広がっているようだった。
 下山は城内口登山道をとる。こちらは過度な整備がなされておらずなぜかホッとする。やはり50分の一気で登山口に着く。地元のお婆さんの話だと、一本杉よりこちらが由緒ある登山口だそうだ。
 タクシーを呼んで盛岡駅まで。町をぶらぶらしながら飯をくって12時過ぎには新幹線に乗っていた。風呂に入れなかったのが残念だが幸運にも天気がよく、交通費の節約が今後の課題として残ったといえよう。


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