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初めての人工壁 ― 船橋ロッキー
小堀 憲夫

山行日 1994年10月29日(土)
メンバー (L)安齋、別当、荒川、飯田、小堀

 初めての体験に少し興奮していたのだろう。約束より1時間も早く、集合場所のJR西船橋駅改札に着いてしまった。昼飯のカレーパンをかじりながら待つことしばし。そのうちに同期の飯田くん、リーダーの安齋さん、はじめてお会いする別当さんと到着し、小雨の降る中、線路わきの道をロッキーへと移動する。
 うわさにたかいロッキーだから、どんな建物かと期待していたそれは、道路側の入り口全面に透明なビニールのカーテンが掛かった、倉庫を改造した風の、思っていたより小さな建物だった。ところが、中に入ってビックリ。壁という壁に人工ホールドがびっしり。それが天井にまでつながっている。ほんとにあんな所登るやついるのかいな、という感じ。
 入り口でメンバーズカードを作ってもらい、入場料2千円を払う。安齋氏がカウンターでパワーバーを買う。「なるほど、フリーをやる人はあれを食ってパワーをつけ、かつダイエットしているのか」と、初めてのことだから色々なことに感心してしまう。そうこうする内に荒川さん到着。
 奥の休憩室で着替えをしたり昼食を食べたりして、「さて」と、回りの様子をうかがってみるが、皆なんとなくのらりくらりしている。これは後で判ったことだが、人工壁をやる時は、最初からがつがつはりきってはいけないのだ。はりきると、1時間もしない内に腕がパンパンに張り切って、後は人が登るのを「はぁー、すごいなー」と口を開けて見上げることになる。
 軽い自主ストレッチの後、安齋さんの指導の下、ウォーミングアップ用の垂直の壁を好き勝手なホールドを使って登る。これは初心者1号(飯田)、2号(小堀)も難無くクリアー。問題はその次の前傾壁のボルダリング。ここからがいけない。垂直まではフットホールドに完全に乗れるから腕力が要らないが、これは足を少し使ってもいい懸垂とさして変わりが無い。足は乗っているというよりも、ただ引っ掛けているだけ、といった感じ。2~3ルート登る内に、前腕がカチコチジワーンの無気力状態になってしまった。最初は登れたルートも登れなくなったので、休憩。
 初心者ペアが休憩している間に安齋、荒川両氏はスパイダーマンよろしく天井を這ってはスー、這ってはスーと降りてくる。ただただ唖然とする1号、2号。他にもかなりの年配のオジサンやオバサンも蜘蛛に変身して頑張っている。その内大岩純一さんのスクールが始まったりする。
 その後、トップロープで比較的易しいハングを登ったり、リードで5.9をトライしてみたりするが、もう腕力が無くなっているのでどうにもしようがない。奥の休憩室のテレビでは日本シリーズの最終戦をながしている。後はスパイダーマン達にまかせて、「もういいや」と早々に諦めてテレビ観戦を決めこんだ2号であった。(ところで槙原のガッツポーズがいまいちだったと思いませんか?)
 帰りは、そのほうが飲み屋がたくさんあるというオーナーの薦めに従い、船橋駅に出た。駅前の居酒屋で三峰山岳会の現状分析、問題点把握、将来展望等について真摯な討論が行われたことは言うまでもない。


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