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山の瞬間料理講座 『かっちゃん一分間クッキング』
~酒の肴シリーズ最終回~
勝部 辰朗

 最近のことである。普段なら間違っても手を出さないケーキを、酔っぱらってまたもや(以前にも一度あった)3個も食ってしまったらしい。「子供に食べさせようと作っておいたチーズケーキなのに・・・」とかみさんにブツクサブツクサ怒られてしまった。そのあとで「でもおいしかったでしょ?」と聞く。食ったことすら覚えてないのに、その味を聞くなんぞはもってのほかである。
 以前、K氏I、M両女史を含むメンバーで雪山ハイクに出かけ、トーゼンの如く宴会の夜を過ごした。翌朝尿意で目覚め、テントから這い出すと、なんとワインの空ビンがあるではないか!ムッとして、つい叫んでしまった。「あっワインのビンだ。わしは飲ませてもらってないぞー!」朝の第一声がこれであった。テントの中より失笑とバカモノコールが聞こえる。ムムッ、必要以上にごちそうになってしまっていたらしい。
 悪いことに、そのK氏I、M両女史とまたもやハイキングに出かけ、沢筋に入り込み、たき火の宴会となり朝を迎える。
 勝部のたまわく「きのう晩めしのウナ丼食わなかったから、きょうの朝めしはウナ丼にしようか・・・」その瞬間、凍りつくとでも言うのか、哀れむとでも言うのか、どちらともつかない冷やかな視線を3人から浴びせられる。「し、しまった~。しっかり食ってしまっていたらしい。アルコール性痴呆症は着実に進行しているぞ。ヤバイ!なんとかしなければ・・・」反省!
 しかし、歴史は繰り返される。
 きょうもきょうとて、テントの中には酒とゲロ・ブキが早々と並べられる。
「さ~、きょうのツマミはなんにしようかねぇ」
 今回は、シリーズ3作目、最終回である。レパートリーが少ないのでネタ切れであるが、最後のふんばりで絞り出してみよう。

(1)梅シソカマボコ
 カマボコ120g128円を切り、それぞれのまん中に切り込みを入れる。そこにシソの葉を半切れはさみ、ハウスのしそ梅(チューブ入40g148円)を絞る。白・緑・赤のコントラストが見た目にもおいしそう。30秒クッキングである。
 また、シソ梅とキュウリで単なる梅キューも簡単でうまい。

(2)ちくわのキュウリ・チーズ詰め
 竹笛のちくわ5本入148円にキュウリ、またはチーズを突っ込み適当に切る。あとはキューピーのスティックマヨネーズ(120g×10本185円)にキッコーマンしょうゆミニパックをたらしてつけて食う。

(3)ベーコンししとうイタメ
 ベーコンは真空パックされており、持ちもよく、ザックの中に銀マットと一緒にでも差し込んでおけばじゃまにならないからいい。ベーコンを切り、コッヘルでイタメ、油が出て来たところでシシトウを入れてイタメ、しょうゆをからませる。
 同じバージョンで、ピーマンという手もある。油を少し入れて砂糖を少々加えるとうまくなる。酒の肴というよりは、めしのおかずとして十分使える。
 また、インゲンをゆでたのち、同じようにイタメてもいいし、アスパラガスなどでもよい。ひまがあったら、アスパラにベーコンを巻いて楊子でとめてからイタメてもよいが、酒がちらついて、こんなことまでやってる場合ではないか?

(4)シメサバ
 こうなると料理なんてもんじゃない。ただ切るだけである。最近気に入っていて、いつものように持って来ている。
 (株)ヤマヨが出しているシメ鯖(半身真空パック350円)。これもベーコン同様、割と日持ちもよくザックの中でじゃまにならない。わさびとしょうゆを忘れないように。同じようなもので、シメサンマ350円というのも売られている。
 山の中でサシミ系のものを食うというのは、ぜいたくな話じゃないですか。

(5)レッドサーモンレモンだもん
 ぜいたくである。共和冷蔵レッドサーモン真空パック50g398円。高い!レモンを薄切りにして乗せて食う。
 ぜいたく過ぎてもったいないから、単独山行の時ひっそりと食うことにしよう。

(6)水ギョウザ
 昔、3月の山伏岳に行った時、食当の阿部ちゃんがギョウザを持って来ていた。うどんの汁があったので、それで煮て食ったらうまかった。和風水ギョウザである。
 このバージョンで、固形コンソメスープの素を適量としょうゆ少々でスープを作り、ギョウザを入れてもいい。洋風スープギョウザである。これにネギを糸切りにして浮かせるともっとうまい。
 これも酒のつまみと言うよりは、ごはんのおかずとして兼ねて作った方がよいかも。

 以上でネタ切れである。今回は割とつまみとしては重いものが多かったが、時と場合、山行内容によっては持って行ってもリーダーは許してくれるかもしれない。
 もっとも昨今は酒飲み山行が主流となっているし、少々キビシくて軽量化を要する山行でも酒とゆまみはしっかりと皆さん持って来られ、その分は重いと感じないようである。ましてや、私のようなジジイは酒のむためだけにしか山に行かない。動機が不純である。主客転倒であり言語道断である。まったくもって困ったもんだ。
 飲酒は40を超えてから。不良岳人になってはならない。
 皆さん「山」をやりましょう「山」を。充実した飲酒は充実した山行の後でしか味わえないのだから。  ナンチャッテネ


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