トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ287号目次

蓼科山・横岳
遊佐 勝見

山行日 1994年11月12日~13日
メンバー (L)福間、澁谷、藤井、遊佐

 11月12日 蓼科山は今まで数回登ったことがあるが、いずれも女神湖側から登ったもので、蓼科山登山口から登るのは今回が初めて。タクシーで蓼科山登山口まで入り、8時20分頃歩き始めた。下方の蓼科高原では紅葉が見られたが、登山道の辺りの木の葉は残念ながら落ちてしまっていた。所々にあるシラカバの白い木が印象的で、又、目の前にそびえるどっしりとした蓼科山の山容は堂々としていて、これから登る道のりの長さを暗示させる(きついかな?)。カラマツ林の急斜面を登ると、2100メートル辺りの高さで一旦平坦な灌木帯となる。そこから上はコメツガの樹林帯となり、急斜面を我慢して登り続けると、岩塊が埋めつくす山頂帯に飛び出した。今回の山行のメインの登りはこれで終わりかとホッとしたが、何しろ風が強いため寒い。皆、岩かげに身を隠すようにして休憩をとった。それでも天気は良いから、八ヶ岳連峰・南アルプス連山の大展望が眺められて、高山の雰囲気を満喫できた。
 11時半頃頂上を下り始めると、大河原峠の方にのびる山稜にシマガレ現象がぐっと広がった光景はとても印象的!そこではカメラを出すのが面倒くさかったので、写真を撮らなかったが、後にはもう眺めが良い所はなかった ― とても残念!将軍平ではお茶をわかして休む。そこから大河原峠への山稜に下ったが、緑の針葉樹の中に枯れたような白っぽい木が乱雑にあるのみ ― シマガレ現象はあくまで遠くから見るとき得られるものであると、誰かが解説してくれた。大河原に着くと、車が何台か止まっていたが人影が見えない。そこからカラマツまどが散在する斜面を登ると、広大な草原の山頂を持つ双子山に着く。眺めは素晴らしいが、風は強く寒い。山頂からカラマツ林を下りると、双子池に着き、そのうちの雌池のほとりにテントを張った。雌池からは大岳が望め、周りの樹林も美しいのでスケッチをした。人影が少ない時は、静寂で実に気持ちの良い所だ。(双子池着 2時30分)

 11月13日 朝8時、大岳に向かって登りだす。途中の天狗の露地と言われる所には、ごつごつした溶岩が散在し、霜が張り付いている所は滑りやすい。大岳の分岐から、ザックを下ろして大岳を往復する。大岳では展望が良く、北八ヶ岳の山々や四方に広がっている樹林帯がよく眺められる。ここから樹林の稜線をたどると横岳に着く。横岳手前に北横岳があり、ピークが二つある。どちらも展望がよい。横岳から下り始めると、急に人が多くなり賑やかになる。溶岩台地の坪庭に着くと、人々で一杯だ。我々は山屋なので、そこからロープウェイを使わず、歩いて下りた。45分間と、意外と時間がかかった。(ロープウェイ山麓駅着 12時30分)

 さて、今回の山行では、男性があまり酒を飲まない代わりに、元気で優しい女性がよく消化してくれた。12日の夜は生のウドンに野菜をたっぷり、13日朝は牛肉もでて、三峰らしい味の良い山行になった。登る時には暑く、山頂では寒い、の繰り返しで、しょっちゅう衣替えをした忙しい山行ともなってしまった。
 ついでに一言、僕も山麓のドライブは好きだが、北八ヶ岳には自動車道がずいぶん高い所まで延びすぎている。もうここら辺で止めてほしいものだ。なにはともあれ、高い山と高原の雰囲気は格別で、楽しく趣深い山行となり、満足感一杯でした。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ287号目次