トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ289号目次

万太郎谷
金子 隆雄
山行日1995年8月26日~27日
メンバー1泊2日  福間、飯塚、山沢、笠原、高木(敦)、谷川、豊嶋
夜行日帰 金子

 今回の例会山行は1泊2日で計画していたが、私の都合で夜行日帰りとした。が他のメンバーは1泊2日で行きたいとの意見が強く、前日出発隊のリーダーを福間さんにお願いして、私が1日遅れで追いかけるという変則的なものになった。
 8月26日の夜行の越後湯沢行きで土樽で下車。駅で2時間ほど仮眠して4時40分に駅を出発。伍策新道を約40分歩いて入谷点の堰堤に着く。最初の印象はずいぶん水量の少ない沢だなぁというものだったが、この堰堤から取水しているためだろう。
 腹拵えして早速溯行を開始する。しばらくは平凡なゴーロが続く。細い流れのカラホリ沢出合いを過ぎるとナメが続き楽しく歩ける。大ベタテ沢出合いを過ぎてしばらくすると左岸に関越トンネルの換気口が現れる。突然の人工建築物の出現に楽しい気分を阻害され腹立たしくなる。オキドーキョの瀞は右岸の水中のバンドをへつり対岸に泳ぎ渉り、更にその先も泳いで突破。出口の滝は左岸より小さく高捲く。泳いだときに溯行図を流してしまい以後地図を頼りの溯行となる。
 小滝、ナメを快適に次々と越えて行くと一ノ滝に出合う。右壁にルートがあるが一人では登る気にはなれず左岸を高捲く。踏み跡を辿りルンゼを少し登りトラバースして下ったが、ルンゼを登りすぎたようで踏み跡がなくなり適当に灌木を掴んで下降する。
 二ノ滝は右のカンテ状を問題なく直登できる。尚もナメ、小滝の快適な溯行が続く。巨岩がゴロゴロしている所を過ぎると三ノ滝が現れ、本流は左に大きく曲がる。まっすぐ続いているのは三ノ滝沢だ。8時過ぎ三ノ滝を登っている途中の前日出発隊に追い付いた。追い付くのは無理だろうと思っていたが私は単独だったし、前日組は大人数だったので追い付けたのだろう。三ノ滝は2段になっており下段は右の壁を登り、上段は右の細い支流を登って途中で左のブッシュ帯に入り本流の落ち口に出る。人数が多いので三ノ滝を越えるのに私が着いてからでも1時間近くを要した。
 三ノ滝を越えればこの先困難な所はなく、ぐんぐんと高度を上げるだけだ。
 詰めを誤るとひどい薮コギとなるそうなので慎重にルートを選んだつもりでいたが奥の二俣で右の沢に入り水が涸れてからだんだん薮がひどくなり、しまいにはハイ松とシャクナゲの連合軍に身動き取れない状態となってしまった。手をヤニだらけ傷だらけにしながらやっとの思いで稜線に這い出ると、そこはオキの耳とトマの耳の中間地点である。なんで?どうして?肩の小屋の下に出るはずなのに。稜線上から見ると踏み跡がしっかりと谷から肩の小屋の下までついている。答えは簡単、奥の二俣へ着く前の二俣状の所を奥の二俣だと勘違いして、右の沢に入ったからもう大丈夫とばかりに実際の奥の二俣で左の沢に進んでしまったのだ。三ノ滝を過ぎてから最初にここが奥の二俣だと思ったらそれは違います。今後入谷する人は注意してください。
 肩の小屋より西黒尾根を下降し、ロープウェイ駅よりバスで水上で降りる人と上毛高原まで行き新幹線で帰る人に分かれ、実質解散となる。

 万太郎谷はもっと人がうじゃうじゃ入っているのかなと思っていたが、案外そうでもなく静かだった。泳ぎあり、ナメあり、滝の直登ありと変化に富んでなかなかおもしろい沢であると思う。

〈コースタイム〉(金子のタイム)
土樽駅(4:40) → 堰堤上(5:20) → 井戸小屋沢出合(6:40) → 一ノ滝上(7:40) → 三ノ滝下(8:10) → 稜線(12:50) → ロープウェイ駅(15:30)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ289号目次