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集中山行『甲斐駒ヶ岳』
その2 黒戸尾根縦走隊
大久保 哲

山行日 1995年9月15日~16日
メンバー (L)大久保、小林(章)、渡辺(里)

 14日。黄蓮谷の山本隊と共に、急行アルプスで韮崎駅に向かう。駅に着くと、車で先に着いていた勝部隊がすでに仮眠をとっていた。外は雨が降り続いている。つい3日位前の天気予報では、週末に雨の予報はまだ出ていなかったのに、急速に台風12号が北上し始めてきた。何とかもってほしいものだ。

 15日。勝部隊と別れ、山本隊とタクシーに分乗し竹宇駒ヶ岳神社に向かう。途中、叩きつける程の雨。山本隊は、雨を気にするでもなく先に出発。どうも台風の行方が気になる。この先、天気は悪くなっても、良くはならないだろう。気が重いが、7時半に出発する。途中、山本隊を抜きつ抜かれつ、水場のある粥餅石で雨の中、大休止。山本隊の井上氏、笠原譲も一緒だったが、他の3人がなかなか現われないので、先に出発する。途中、横手からの登山道と合流する笹の平に出るが、雨足はますます強まるばかり。出発から2時間、戻ることも考え、また、山本隊も来ないので、しばらく待つことにする。まもなく、井上氏と笠原譲が現われるが、他の3人の姿がない。聞けば、いくら待っても来ないので、メモを置いて先にきたとのこと。そんなことを話していると、上でモートーコール。なんと3人は水場手前の尾根道をまいて、我々の先を行っていた。
 笹の平は、テント2張は張れそうなスペースがあり、いっそのこと、ここにテントを張りたい気分になる。ここで黒戸尾根隊の作戦会議。このまま行っても、台風の接近で明日の天気はもっと荒れるだろうが、渡辺さんの強い要望で、5合目まで行くことに決定。全員(とは言っても3人だが)、気を引き締め直して、5合目を目指す。
 1時20分に5合目小屋に着く。この頃には雨も小降りになっていた。小屋はこの時期、無料で開放されていたので、我々は小屋泊まりとするが、黄蓮谷の山本隊は岩室に泊まるために沢に下って行った。山本隊を見送り、まだガラ空きの小屋の一番いい場所を確保し、ずぶ濡れとなった装備を広げ乾かす。この日の夕食は、渡辺さん手製のクリームシチュー。彼女はアルファー米は使わず、生米を持参するのでとてもうまい飯が食えるのだ。かくしてこの夜は、つまみは小林氏の手作りきんぴら、そして、締めくくりはクリームシチューで腹は満たされた。

 16日。5時過ぎ頃から雨が降り出す。ラジオの天気予報では、とてもこの後天気の回復は望めないばかりか、大荒れになるとのこと。6時25分の交信で、山本隊と8時に小屋で合流し下山することにする。小屋にいた他の登山者も山頂を諦め、どんどん引き返していく。残るは我々だけとなったが、8時になっても山本隊は現われず。8時半になってもあがってこないので、途中で追い付くだろうと思い先に出発するが、結局、追い付かれることもなく、駒ヶ岳神社に着いてしまった。神社の軒下で濡れたシャツを着替え、昼飯にラーメンを食べながら待つが、いっこうに現れない。12時の交信も、ゲンさんの声が微かにはいるが聞き取れず。結局、交信状態から横手に下ったものと判断し、我々は韮崎に向かう。


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