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八ヶ岳地獄谷本谷
金子 隆雄

山行日 1995年12月9日~10日
メンバー (L)金子、井上(博)

 12月8日夜の急行アルプスに乗り、小淵沢で乗り換え。阿弥陀の南稜へ行くパーティと一緒になったが、同じ例会山行なのに向こうは8人こちらは2人この差はいったいなんなんだ。私が選ぶルートがマイナー過ぎるだけなんだろうか。 小海線の始発までかなり時間があったので、ホームの待合室で少し寝たが冷え込みが厳しく、地獄谷の結氷状態もかなり良いものと期待を抱かせてくれる。
 清里駅でタクシーを呼んで美しの森の林道入り口まで入る。霜柱を踏みながら雪のない林道を進み、途中で沢に下りる。造り掛けの堰堤が現われたりして以前と沢の様子が変わっているように感じられた。我々以外に地獄谷方面に入っているのは先行している2人パーティだけで閑散としている。
 出合小屋から15分くらいで権現沢を左に分けると本谷は右に大きく曲がる。ここで登攀装備を付けて広い荒れた感じのゴーロ帯に分け入る。先行の2人パーティは旭岳東稜に取付いているようだ。
 しばらくは滝もないので氷の踏み抜きに注意しながら進むと左岸からカゲ沢が出合い、その先でゴルジュとなる。ゴルジュ帯に入ると滝壷の氷が薄く、滝自体は凍っていて登れそうなのだが取付くことができない。左岸から倒木を利用して大滝を含めて高捲いて天狗沢を越えて沢床に戻ったが、この高捲きはかなり悪く感じた。この先はナメと小滝が続くが結氷状態は依然として良くなく、まともに登れる滝はほとんどない。このままでは何しに来たのか解らないので登れそうな所を見つけては取付こうと試みるが、取付く前に沢にハマってしまい靴の中まで水浸しとなってしまった。
 やがて二俣となり、左俣は傾斜を増してツルネへと駆け上がり、右俣は緩くキレットへと延びている。本流の右俣へルートを取るが滝やナメはほとんど雪に埋まり膝下程度のラッセルが延々と続く。最後の詰めは右側の斜面を登りきるとキレット小屋の横に出る。
 小屋の横にツェルトを張り潜り込む。風もなく快適だったが冷え込みが厳しく少々寒かった。沢の中に漬かった靴を脱ぐとインナーシューズがしっかりと凍っていた。
 今回の山行は荷物の軽量化を図り酒を持ってこなかったので寂しい夜を過ごすこととなった。
 翌日も天気はまあまあで、赤岳はパスして文三郎道を行者小屋へ下る。文三郎道には網状の階段が設置されておりアイゼンを付けたままでの下降はかなり危ない。余計なことをしてくれたものだ。雪が多くなりすっかり埋ってしまえばアイゼンを引っ掛けることもなくなるのだろうけれど。
 美濃戸のバス停で阿弥陀岳南稜を登り御小屋尾根を下降してきたゲンさん達と一緒になる。茅野にて馬を食う会を催し、いい気分で帰路につく。
 今回の地獄谷行きは大ハズレであった。八ヶ岳西面はかなり氷の状態が良いという情報であったので東面もと期待したが、風下となる東面はなかなか氷が発達しないようだ。

〈コースタイム〉
12月9日 清里駅(7:30) → 出合小屋(9:15) → 権現沢出合い(9:30~9:55) → 奥ノ二俣(13:10) → キレット小屋(15:10)
12月10日 キレット小屋(7:15) → 行者小屋(9:30) → 美濃戸(12:40)

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