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日向山
大久保 哲

山行日 1996年5月19日
メンバー (L)大久保、服部、山沢、(荻原)

 以前駅の通路を歩いていると、ふと、奇妙な風景のポスターが目に飛び込んできた。冬の風景の中に、奇妙な大岩が幾つもそそり立つ様子から、オベリスクに代表される地蔵岳かな、と思い近づいてみると南アルプス、日向山と小さく記してあった。それ以来、機会があれば行ってみたいと思っていた。

 5月18日、竹宇駒ヶ岳神社にて仮眠し、翌朝、登山口の矢立石まで車で入る。ガイドブックでは、韮崎駅からバスで白須上で下車し、大平経由で1時間40分かけてここまで歩くのだが、車だとあっという間である。7時35分に出発する。同行者は服部氏、山沢さん、そして入会希望者の荻原氏の3名。荻原氏は26歳の若手、しかも大学時代はワンゲルでならした強者である。是非とも三峰に引きずり込まねば・・・・。しかし、今回の山行は少し軟弱すぎるかな。
 歩き始めて小1時間、次第に傾斜も弱くなり日向山山頂に着くが、雑木の中に三角点があるだけで展望は無い。早くあのポスターで見た奇妙な光景が見たくて、休まず先に進むと、道は次第に浜辺の砂地の様になり、いきなり八ヶ岳が目の前に飛び込んでくる。それにしても白いザレが眩しい。ここがガンガワラと呼ばれる所だ。足元は急な砂の傾斜でまるで、人をも飲み込む巨大なアリ地獄のようだ。周りには奇妙な形をした巨岩が立ち並ぶ。視界も良く、八ヶ岳がその全容を見せてくれ、まだ豊富な雪が残る甲斐駒もバッチリと見ることが出来る。各自、それぞれ展望を楽しんだ後、少々早い昼メシを取る。ここで服部が新人の「入会促進用」にと用意したイスラエル産、高級ワインをおもむろにザックから取り出し、荻原氏に勧める。山沢さんと私もそのおこぼれにあずかり楽しい1時を過ごしたのであるが、アルコールはめっきり弱い某氏が少々飲み過ぎたのである。一般人にとっては何でもないことなのだが、某氏にとっては、下山に控える巨大アリ地獄、林道まで一気に続く急斜面をヨレヨレ状態で勝負しなくてはならないのだ。
 そんなことはおかまいなく下山開始!砂に足を取られながらザレの縁まで下りおり急な斜面をグングンと下りおりていくと、次第に沢音が大きくなり林道に飛び出す。沢音は錦滝の滝音だった。しばし滝の下で1本をとる。山沢さんは今行程唯一の収穫であるミズを取って帰る。ここからは林道を辿り車を停めた矢立石へのんびりと戻るが、我々が来た時は1台の無かった車が、30台にもあふれ、これから登ろうとしている中高年登山者もいたので、早々にその場を後にし、今回の例会山行、第2の目的であるサントリーウィスキー白州工場の工場見学に向かう。このときの時間はまだ昼の12時であった。
 この工場見学は、服部氏のお勧めでタダで酒が飲めると言う。それに以前彼が行った時には、「たいそう美人のお姉さん」が案内してくれたと言う。昼間の酒は苦手な私だが、美人のお姉さんと聞いては素通りできるはずもなく、胸踊らせ工場に車を飛ばす。受け付けを済ませると、見学開始の時間まであまりないので、集合場所へと向かう。そして、現れた「たいそう美人なお姉さん」に先導されるまま、夢のような1時間を過ごしたのであった。(詳しくはルームの後の飲み会で)
 今回の例会は新人募集を対象に山少々、社会見学ありの軟弱山行であったが、後に山では酒はご法度だったという、荻原氏が入会する結果となった。40歳を過ぎた私には羨ましいほどの若さである。その若さで今後の山行に期待したい。

タダ酒情報
サントリー白州蒸留所
 中央道小淵沢ICより車20分駐車場前の受付けにて見学申込み(無料)。定時にきれいなおねえさんの案内で蒸留施設・貯蔵庫を見学後、ホールでウィスキーの試飲会(つまみ付)。おかわり自由。但し、「禁酒リボン」を装着させられた運転手にはジュース・烏龍茶が用意されている。見学開始から試飲終了まで1時間半弱。別に「サントリーウィスキー博物館」(無料)も見学できる。
毎月第3月曜、年末年始、夏期休業日は休み。


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