トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ291号目次

巻機山
金子 隆雄

山行日 1996年4月13日~14日
メンバー (L)金子、笠原、飯島

 例会山行計画書に載っているように大源太山へコブ岩尾根から登る予定で出発したが、関越道はチェーン規制されているし、降雪で恐怖のドライブを味わうしで清水に着いたのは朝の3時半とだいぶ遅くなってしまった。降雪の中、車から出るのが嫌だったのでそのまま狭い車の中で夜を明かす。
 朝になっても雪は降り続いており、新雪が50~60センチ積もっている。おまけに雪崩注意報も出ていたので、予定どおりコブ岩尾根を登るのはかなり危険と思えたのでルートを変更して巻機山へ登ることにした。井戸尾根からなら雪は深いだろうが雪崩の危険はないだろうとの判断からだ。
 清水のバス停に車を置いて出発する。入山者は思ったより多かったが皆スキーでの登高のためトレールはあっても我々には何の役にも立たない。これほど雪が多いとは思わなかったのでワカンを持ってこなかったのでつぼ足で股くらいまでのラッセルで尾根の取付きまでたっぷりと1時間以上かかった。尾根に乗って1時間くらいで我々と同じようにつぼ足でラッセルしている単独行の先行者に追い付いてラッセルを交代する。我々が休むと単独行者が先行してラッセルするというパターンを繰り返す。そうしている間にもスキーを履いた人達がスイスイと我々を追い抜いて行く。
 天候はなかなか回復せず雪が降ったり止んだり、時折強風が吹くという状態で、春山ののどかさなどまるで感じられない。樹林帯が少し開けて右側が切れ落ちている所に出ると更に雪が深くなり腰までのラッセルになる。標高は大体1200メートル、時刻は午後2時を回っている。今日はニセ巻機山を越えて避難小屋まで行ければ上出来かなと思っていたが、5時間かけてこの状態ではどんなに頑張っても二日間で登頂は無理と見切りをつけて下山することにした。元々巻機山は予定になかったのでどうしても登りたいという執着がなかったし、スキーで楽に登っている人達を見てるとなんだかバカらしくなってきたというのが本音かもしれない。
 下りは速く、30分ほどで尾根の末端近くまで下れた。あんなに頑張ったのにこんなもんで下ってしまうのかと思うと益々バカらしくなってしまう。このまま下山して帰ろうと思えば帰れる時間だが、せっかく来たのだから一泊して帰ることにする。尾根の末端の台地にエスパースを設営する。今回使った2~3人用エスパースは最近は会でほとんど使われていないという話を聞いたが、3人パーティの場合は軽くて広さも十分でもっと使われてもいいような気がする。夕方から天候が回復してきた。
 翌日は快晴でスキーヤーが続々と登ってくる。百人以上はいたと思う。下山するにはもったいないような天気だがワカンかスキーがなければ昨日と同じ目にあうだけなのでとっとと下山することにした。
 今回の山行は積雪量が多いのは覚悟していたが、これほどとは思わなかった。認識の甘さとスキーの威力を思い知らされた山行であった。


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ291号目次