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針ノ木峠~七倉岳
遠山 里美

山行日 1996年8月10日~12日
メンバー (L)大久保、荻原、遠山、(有賀)

 9日夜、新宿駅で集合。"あずさ"を待つ長い列の中で、大久保さん、荻原さん、私の3人が、有賀さんを探しながら待っていると、「モートー!」という声の後、それに答える大久保さんのコールを頼りに、ひょっこり水田さんが現われた。差し入れのビールを持って見送りに来て下さったのだった。あずさの発車3分前には、有賀さんも無事到着し、皆でビールを飲みながら、楽しい気分で出発した。
 10日早朝。信濃大町に到着。夜は寒くて眠れない程だったが、今朝は気持ち良く晴れ渡った。バスで扇沢へ向かう。
 大沢小屋を過ぎるとじきに、針ノ木雪渓が見えて来た。その向う、真正面に針ノ木岳が聳えている。雪渓を歩きはじめると、いつの間にか霧が出て来て寒くなって来た。かなり歩いて雪渓も消え、砂利だらけのジグザグ道を登り切ると、やっと、針ノ木峠だ。ここ迄来ると、再び青空が出て来た。丁度10時、予定通りだった。
 テントを張り、空身で頂上迄登る。途中、雷鳥の親子に出会ったり、様々な高山植物が花を咲かせ、風に揺れていて、まるで本当のアルプスみたい!(行ったことは無いけれど・・・・)だった。
 食料は何を持って来れば良いのやら、さっぱり見当がつかなくて色々皆さんに聞いて廻った他、『岩つばめ』のバックナンバーに載っていた"勝っちゃんの一分間クッキング"を参考に、この夜はオクラに鰹節と醤油をかけて食べてみました。なかなかいけました。
 11日、今日も晴れ。周囲の山々が良く見えるので、周りをきょろきょろ見回しながら蓮華岳へと向かう。山頂付近には、細かい砂利の間に、無数のコマクサが咲いていた。山頂で360度の素晴らしい眺望を楽しんだ後、北葛岳へ。そして七倉岳への縦走は、起伏があって、岩場あり、梯子ありの、なかなかスリリングなものだった。先頭を行く荻原さんは、地図を手に、時には口にくわえながら、手足を持て余し気味に、私や有賀さんのペースに合わせてリードしてくれる。続く有賀さんは、出発前、色々と心配していたようだったけれど、そんなの嘘のように、元気に歩いていた。
 午後1時には船窪小屋に到着。小屋で買った冷たいビールで乾杯する。テントを張って寛いでいると、昨日も一つ置いて隣にテントを張っていた不思議な3人組(元気な"山女"風の女性2人とロングヘアーの男性1人)がやって来て、隣にテントを張った。夕食の仕度が始まると、お互いに同じものを作っているみたいだ。そう言えば、昨日も同じ、ハヤシライスと杏仁豆腐を作って食べていた。まあ、山で作れるものといったら限られてしまうので、同じになる確率は高いけど・・・・。この3人組とは、翌日の下りの道中、時々会ったり離れたり、最後の温泉でも又ばったり会ってしまった。
 寝る前に外に出ると、空は満天の星。こんなに沢山の星を見るのは初めてだ。
 12日、今日は下りばかりなので楽だな、などと思っていたら、とんでもなかった。下り道が次第に急になって来て、岩もごつごつしているので、じきに足に来てしまった。時たま登りのあるのが嬉しい。でもやっぱり、こんな急な道は、下りで良かった。これが逆コースで登りだったら・・・・考えただけでもぞっとする、と思っていると、下の方から見覚えのある人が登って来た。原口さんだった。この道は、北アルプスで一番急なんだ、と言っていらした。原口さんに、高瀬館という温泉がいいよ、と教えて頂き、気を取り直し、ふらふらしながらも登山口まで下りて来た。ここから高瀬館迄は、長いトンネルを抜け、更にかなり歩いたが、その甲斐あって、気持ちの良い温泉だった。タクシーで信濃大町へ戻り、駅の近くで昼食をとり、帰途についた。
 この山行中、リーダーの大久保さんには、ザックの詰め方から雪渓の歩き方迄、一つひとつ教えて頂き、有難うございました。

〈コースタイム〉
10日 扇沢発(6:10) → 大沢小屋(7:15) → 針ノ木小屋(11:00~13:15) → 針ノ木岳(14:15~14:45) → 針ノ木小屋(15:15)
11日 発(6:35) → 蓮華岳(7:40~8:10) → 北葛岳(10:45~11:05) → 七倉岳(12:45) → 船窪小屋(13:00) → テント場(13:40)
12日 発(6:30) → 天狗ノ庭(7:15) → 登山口(10:00) → 高瀬館(10:50)
  新宿~信濃大町(あずさ回数券)  4,840円
  信濃大町~扇沢(バス)     1,300円
  高瀬館~信濃大町(タクシー)  5,220円
  信濃大町~新宿(特急あずさ)  6,800円
  高瀬館入場料       500円

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