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ヒツゴー沢
四方田 隆弘

山行日 1996年8月17日~18日
メンバー (L)小堀、小幡、水田、荻原、四方田

 上野発1:00の快速で高崎まで行き、各駅停車に乗り換え水上駅に着いたのは、3:30。本日は二俣でテントを張るだけなのでみんなの足どりは軽いのでした。
 二俣までの道はわりあいとハッキリしていたのですが、どうしてこんな所で、と思われるようなところで迷ったりしてなかなか着かないのでした。そして「広くて快適な河原」という二俣らしきところをあちこちと探したのですが見つからず、「うーむ、前にきたときと違う」と言うリーダーの言葉は、川の形状と人の記憶は遥かな時の流れとともに変化していく事をものがたるのでした。
 というわけで河原での焚き火宴会は、深遠な森の中での静かな宴会へと場所を移動したのでした。夜のメインディッシュは鍋ということだったのですが、他力本願というか読みが深すぎるというか全員持ってきた物は野菜ばっかしでたんぱく質がまるで無い。しかもその量たるやベジタリアンもうんざりすると思われるものでした。二回戦、三回戦と延々ととぎれることのない野菜鍋の攻撃としょぼしょぼと降り出した雨の中で「あぁ・・・・べーこんだ・・・・」と言う箸の先に絡まるベーコンの喜びの声は深く暗い森に静かに吸い込まれていくのでした。
 翌日は雨も上がっていて青空も広がり、昨夜の残りの野菜鍋にさらに残りの野菜を入れたげっぷの出るような朝食を摂って6:00に元気に出発。
 ヒツゴー沢とオジカ沢の出合いはテント場からは20分ぐらいで、そこからしばらく行くと周りは明るく開けてきて快適な沢登りというより滝登りが始まったのでした。途中ザイルを出したのは2回ぐらいでしたが、特に難しいようなところは無いようでした。心配されていた雪渓もほとんどなくというより全然無く、出会う人もあまりいなくというより全然いない、明るく静かで気持ちの良い沢なのでした。
 快調に沢を詰め上がり、谷が開け、天神尾根や中ゴー尾根の稜線が見えてきたのは10:30分。さあ後は踏跡をたどって行けば肩ノ小屋まで1時間程だろうと思われたのですが、野菜の神に呪われたのか繊維質ばかりのエサで思考能力が落ちたのか踏跡を見失い、薮こぎと言うより草こぎを2時間してふらふらになりながら肩ノ小屋に着いたのは12:30分。もっともふらふらになっていたのは私だけで、サイボーグではないかと噂のある人と若い二人は元気いっぱいでした。特に若い二人は、終始ニコニコと薮をこいでいるのでした。
 天神尾根からいわお新道を下り二俣に着いたのは2:00。(私だけリーダーに付き添われて2:30すぎ。申し訳ございません。)後は谷川温泉でひと風呂浴びて、水上の駅前で食事。今回の山行の最後を締めくくるメニューはこれしかあるまいということで、お新香の盛り合わせ2ヶと野菜炒め定食でしっかりと締めたのでした。


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