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北岳バットレス(第四尾根主稜)登攀
小幡 信義

山行日 1996年9月7日~8日
メンバー (L)小幡、小堀、城甲、四方田、福間、笠原

 平成8年9月7日~8日、前夜発1泊2日の予定で北岳バットレス第四尾根主稜の登攀に行って来ました。
 城甲氏、小堀氏、笠原さんは、8月に一度行っている為下見は十分、計画に際しては小堀氏と電話連絡を密にし作成しました。
 新宿スバルビル前、午後10時集合、小堀氏、四方田氏、2台の車にて夜の中央自動車道を予定通り走る。途中、談合坂サービスエリアで休憩をとり、広河原まで渋滞もなくスムーズに到着。1時30分。駐車場は、かなりの車である。岩場、混雑するのか、一寸不安がよぎる。
 早々にテント2張り立て、まずはアルコールで乾杯、明日の行動に差し支えのないよう1時間位でシュラフに潜り込む。
 起床、6時。コーヒー飲み、7時出発。空はどんよりとし、天気予報通り雨となるのか・・・・。寝不足の為体が重い。
 三峰に入会する前は一人で、よく白峰三山を縦走したものだ。ただ歩くだけの、目的もない山行だったようだ。しかし、いつも思っていたが、八本歯から岩登りしている人達を見るとき「なんてすごい所を登っているんだろう」。「俺も登りたいな」と、いつもうらやましい気持ちで一杯でした。
 二俣に9時30分到着、小雨がパラつき始め、本日の幕場捜しに、6人それぞれ散らばる。幕場禁止区域となっている為、他のパーティーは誰も張っていない。下から登山道を、ぞろぞろ登ってくる為、なんか張りづらい。雨もやや強くなり、ボーッと立っていてもしょうがない。登山道と一寸離れた場所へ5~6人のテントを一張立て、テント内へ。本日は、余り行動していないのと、テント禁止区域とあって、なんか落ち着かない。雨もやむことなく外は降っているようだ。
 本日の予定であった、下部岩壁での練習は中止とし、各人酒とつま味を出し、宴会となる。時間も早いが、夕飯であったお好み焼きを小堀氏用意し、下準備にかかる。なんと具の素晴らしい事、手付きもさまになっている。焦げたよいにおいがテント内に充満する。準備から出来上がるまで時間はかかったが、各人の腹に納まるのは、ほんの数分であり、第二弾、三弾と続く。かなりの好評であった。
 ひと段落ついた頃、登山道から下りて来るパーティーが立ち止まり、外の小堀氏に何か、話し掛けているのが聞こえる。「ここは幕営禁止区域だから、御池小屋に張って下さい」との事。テント内、一瞬沈黙が走ったが、もともと一言、言われるのは分かっていたのと、もう張ってしまったんだからの、皆の目の合図で、ここは動ぜず。
 15時頃、雨も上がり外に出る。時間も有る為、小堀、四方田、笠原、小幡にて、下部岩壁取付まで偵察に行く。明朝は一番で岩壁に取付こうと考えたからだ。
 テントへ帰ってから、少し行動した為か空腹を感じ、又お好み焼きとなる。就寝、20時。テント内6人は少々きつい為、小堀、小幡は外で寝る。空は満天の星空、流れ星を見られるか、そんな事を考えながら、うとうと、シュラフに入る。
 9月8日、天気、晴れ。起床3時。一番で取付こうと計画していたが、朝食のラーメンを作っていると、早くも下から登ってくる足音がする。4~5パーティーも登っていったのか、朝食も終り、テント撤収、4時30分出発。下部岩壁に5時15分到着。
 小幡、福間、四方田パーティーと、小堀、城甲、笠原パーティーに分かれ、Dガリーより取付こうとするが、先行パーティーの順番待ちで、登攀開始6時となる。
 取付きから落石が、ごろごろ。ここは通り道のようだ。トップをきって登る。3P目で、下部フランケと第四尾根へ行く横断バンドに到着。下部フランケ、数パーティーが取付いている。かなりおもしろそうだ。しかし、僕達は予定通り横断バンドへ向かうが、途中、崩壊個所有り、かなりシビアであるよう。福間さんに、「確保、ヨロシク」の声を掛け、慎重に行く。ホールドはかなりしっかりしている。又、シュリンゲも付いており、見た目よりすんなり通過、しかし、落石をかなりやってしまった。下方は誰も居なく、ホッとする。小堀パーティーも苦戦しているのが下から聞こえる。
 それから3Pも行った所か、他のルートのパーティーが合流し待つ事1時間30分。四尾根の核心部だと小堀が言っていた所へ着く。
 「うーん」中々出だしから高度感有り。一寸時間がかかり、下より城甲氏のやじが飛ぶ。乗り越した所でビレー。今自分は、あこがれのバットレスを登っているんだ・・・・と、心が和む。
 マッチ箱、13時30分頃か、ここより懸垂下降し、もう残り少ない。俺達が、一番最後のパーティーのようだ。
 北岳山頂、15時着。コースガイドによると、dガリー取付きより、4時間位と書いてあったが、9時間もかかってしまった。待つ時間が多く、登る意欲がなくなってしまうコースである。もう少し時期を外したらよいのか。
 予定よりかなり遅れている為、下りはピッチを上げ下りる。テント場着、16時30分。広河原、18時着。城甲氏の、いつもの差し入れのビールを飲み、今回も無事に下山してこられたんだ、とホッと荷がおりる。
 2台の車は、猛スピードで野呂川林道を下る。中央自動車道は、途中、渋滞はあったものの、何とか新宿、23時15分着。皆、終電には間に合うようで解散となる。
 最後に、SLを担当していただいた小堀氏、良き相談相手として、又、この計画を心よく「やろう」と言ってくれた一言に感謝します。
 城甲さんとは、5月の合宿、6月の三ツ峠の岩登り、今回の北岳バットレスと、一緒していただき、あの岩を登っている身軽さには感服します。
 一寸心配していた福間さん、左足くびも良くなったようで、一人トップをやってしまい物足りなかったかもしれませんが、又行きましょう。
 笠原さん、着々と技術を研いているようで、見ていて頼もしいです。
 四方田氏、三峰に入会早々、岩登りに引っ張り出し、喜んでいるのか、迷惑しているのか、分かりませんが、又トレーニングしに行きましょう。
 私も、より一層トレーニングを積み、目標を持ち、チャレンジしたいと思います。
 二日間、お疲れ様でした。


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