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越百山~空木岳~宝剣岳(中央アルプス)
福間 孝子

山行日 1996年11月2日~4日
メンバー (L)福間、渋谷、飯塚、笠原

 昨年は雪で阻まれ文字通り雪辱戦で、今年こそは"女の意地よ"とばかりに再チャレンジの山行でしたが、時期を少し楽なほうにもってきたところがなんともかわいらしいではありませんか。と言い訳しつつ久々に黒パンツじゃなかった黒ジャージ(元祖)のメンバーがそろい、早くも怪しげな暗雲たちこめる木曽路は須原の駅におりたったのでした。
 伊奈川ダムまでタクシーではいりそこから登山開始。雨はいくぶん小降りになりながらも、越百(こすも)避難小屋まではあまり展望のきかない道をもくもくと歩く。もぐもぐと歩いていた人もいた。小屋番の人は前日でおりたということで越百小屋の方はしまっていたのですが、そうとは知らずに把手を力まかせに釘ごと引き抜いたのは恥ずかしながら私(F)です。紙面をかりておわび致します。ユルシテ。避難小屋の方は意外にも満員。樹林の中にやっとテントのスペースを見つけ設営。やっぱ三連休ば甘くみたらいかんね。

 二日目は朝6時に月明かりのなかをヘッデンをつけて歩き出す。去年はこのあたりで雪のなかをもがいていたのか、こんなところにテントを張ったのか、などと思いにふけりながら越百山に到着。空が明るくなってきた。もうすぐ日が昇りはじめるのだろう。今日は行動時間が長いので早々に出発する。稜線をはさんで東の伊那側は厚い雲の海に被われ、太陽がその海の向こうに浮かびはじめる。急峻な仙涯嶺を経て南駒ヶ岳へと向かう。雪がつくとビビリそうな稜線である。南駒ヶ岳からは右手にほんとに摺鉢の底にくっついた梅干のような摺鉢窪避難小屋を摺鉢の縁から見下ろし、正面に見える玄米飯の空木岳に向かってつき進むという雄大かつロマンあふるるルートなのです。空木岳は東西南北に登山道があり、ここから急に登山者の数がふえる。やっと今日の行程の半分ということで記念撮影。昔から木曽と伊那を結ぶ歴史のある山だからだろうか、どこか風格を感じさせる。玄米から白米に昇格させるという話しになったらそれはそれでいいかもしれと私は思っている。
 空木岳の下りは巨岩帯になっており、岩のトンネルをくぐり抜けたり鎖場になっていたりで縦走のなかでいいアクセントになっている。下りきったところが木曽殿越で、ここからが第二ラウンドの開始となる。登り下りを繰り返しながらじわじわと高度を上げていく、という実に疲れた体にはもってこいのおしおきルート。目的地の檜尾岳のテント場に着くころには日は暮れるし、体はヨレヨレになるし、後頭部に皆のうらめしげな視線をあび身の危険を感じるはめになる。なんとか真っ暗になる前にテントを張ることができる。あんなに疲れていたはずなのに小屋跡で笠原嬢は密かに石垣と戯れている。習性化しているらしい。

 三日目、無事に朝をむかえる。天気は申し訳ないほど良いし、今日は気分爽快で出発。前日がんばったおかげであっというまに宝剣岳まできてしまう。眼下にはロープウェイや最後の紅葉を楽しむ観光客であふれる下界が見えてくる。宝剣岳はさすがに緊張しながら登る。途中ですれちがった髭のガイド氏をめぐってカッコイイとかそうでもないとかで、またもやチームワークにひびがはいりそうになる。狭い山頂で岩にはりつきながら最後の大パノラマや歩いてきた山稜を楽しみ、下山の途となったのでした。

 おまけ
 駒ヶ根では駒草の湯(公共)と名物ソースカツ丼がおすすめ。
 近くには地ビールのセラーもあるゾ。


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