トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ295号目次

桧枝岐・実川~黒岩山
飯塚 陽子

山行日 1997年7月19日~21日
メンバー (L)田代、江村(皦)、勝部、藤井、鈴木(章)、笠原、高木(敦)、飯塚

 7月の三連休を利用して、桧枝岐・実川に行ってきた。メンバーが、沢及び釣り師として、三峰の若手!?の中では最近特に活躍中の田代氏をリーダーに、やっぱり夏は沢に限る!!という意気込み十分なおじさま達と、独身ギャルの総勢8名の怪しいメンツが集まった。
 7月18日の夜、車2台(おじさま号とギャル号)に分乗し、まずは那須塩原インターに集合後出発となった。そしてこの晩は、塩原の無料温泉前の駐車場に幕営し、小宴会(温泉付)を楽しみ就寝。

7月19日(土) 晴れ
 朝から気持ちのよい快晴でまさに沢日和。この日の朝、6月から狙っている沢に行くたびに、ことごとく雨にたたられ、敗退続きの田代リーダーが、一人ほくそ笑むのを私は見逃さなかった。よかったですねー、ほんとに晴れて!!
 大丈沢出合までは車で入り、ここで車2台をデポする。ここから先しばらくは林道を歩き、30分程で入渓するという予定が、林道が果てしなく続いている様でもあり(実際続いていたという事実を、こののち思い知ることになるのだが・・・)、結局は炎天下の林道を1時間程歩き、黒溶沢出合下流に入渓となった。
 「水が冷たくて気持ちいー!!」メンバー全員の声である。
 実川は明るい沢で、8名それぞれのスタイルで沢を楽しみながら進んでいく。赤安沢出合下部のゴルジュは高捲きし、赤安沢出合に降り立つ。下山の際には、この赤安沢を下降する予定なので、けっこう流れの激しそうな赤安沢を確認し、昼過ぎに、ゴキタ沢出合で大休止となった。もちろん釣り師のおじさま4名は、そそくさと沢の上・下流に散らばっていき、私達は昼食用そうめんの準備にそそくさと、とりかかる。そうめんの第一段を食べ終えるころ、釣りメンバーも帰ってきて、田代氏の釣り上げた岩魚二尾と共に、賑やかで忙しい昼食Timeは過ぎていった。
 昼食後、私はいささか重くなった体で、前を行く二人がくぐり抜けていった倒木の下を、同じ様にくぐり抜けていこうとした瞬間、ザックのどこかに倒木の枝が引っかかり、私の頭をかすめ、倒木がものすごい音と共に川面に落ちたのだ。その時私も一緒にころんだので、後ろにいたメンバーは私が倒木の下敷きになったと思ったらしい。枝のザックに引っかかった位置がよかったのか、私の頭が石頭だったためか、運よく事なきを得たが、みんなの笑いのネタにされてしまった。
 その後、段々と沢の形状が荒れてきて、おかしいなと思いながらふと右岸を見上げると、なんとブルドーザーが動いているではないか。まさか、そんな・・・で、二段の滝を高捲き、つき進んでいくと、はたしてそこは林道の終点であったのだ。それもきれいに舗装された平らな道路だ。まさかここまで林道が続いていたとは・・・・・・。一同ガックリと力が抜けてしまったが、気を取り直し、ザル滝下部に再び降り立つ。なんとここからは、緑の岩に流れるナメや滝などが美しい沢の様相に変わり、更に元気をとり戻し硫黄沢出合に到着。硫黄沢左岸を本日の幕営地にした。酒・タキ火・岩魚・歌・・・と夏の沢ならではの宴会は続き、勝部さんの「幸せだなぁー。」という言葉と共に、みんなで幸せなひとときを過ごしたのであった。

7月20日(日) 晴れ (海の日)
 8:30に幕場を出発し、赤倉沢を遡行する。右股をつめて進み、広い尾根(1850m付近)に出る。このまま予定通り進みうまくいけば、今晩も赤安沢の沢の中で過ごせるかもしれない・・・という淡い期待を持ちながら薮こぎが続く・・・。そしてこの後、そんな期待は見事に打ち砕かれ、ハリブリだらけの薮こぎが延々と、約5時間にも渡り続けられたのであった。黒岩山へのルートは、絶壁となっているので大きくトラバースするような薮こぎであり、この間にハリブキ群が潜んでいるので、メンバー全員が体のあちらこちらを、ハリやらトゲやらで刺されながら悪戦苦闘し、登山道に出られたのは15:30という時間であった。やたらと長くて痛い薮こぎであった。
 更に水場のある赤安清水まで約1時間程歩き、登山道の脇にテント2張り分のスペースのある赤安清水に着く。沢の中でのテントとはいかなかったが、赤安清水の水はものすごく冷たくておいしかった。この晩は、ゴミを燃やす程度の小さなタキ火での、ささやかな宴会をした。

7月21日(月) 晴れ (振替休日)
 三日連チャンの晴れである。
 7:00、赤安清水より赤安沢を下降する。途中、一度ずつの懸垂下降と飛び込みをし、あとは問題なく下降した。赤安小沢出合上部より仕事道を下りて赤安沢出合に辿り着く。ここで靴などをはき替え、林道に上がり車をデポしてある大丈沢出合まで林道歩き。
 こうして三日間、沢の中で楽しめた分、林道やハリブキの薮に惑わされたような山行であったが、こうやって予想のつかない事が起こるのが沢のおもしろいところなのかなーと思いながらも、最後の林道歩きはやっぱり暑くてしんどかった。
 この後、会津の檜風呂と、おそばを食べて帰京となった。

〈コースタイム〉
 19日大丈沢出合(9:10) → 黒溶沢出合(10:00) → ゴキタ沢出合(12:25) → 硫黄沢出合(15:30)
 20日幕場(8:30) → 1850m尾根(10:50) → 黒岩山直下(14:30) → 登山道(15:30) → 赤安清水(17:00)
 21日幕場(7:00) → 二俣(8:00) → 赤安沢出合(10:00) → 大丈沢出合(11:30)

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ295号目次