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集中山行 丹沢山
その2 早戸川・円山木沢
金子 隆雄

山行日 1998年6月21日
メンバー (L)金子、菅原、福間、藤井、他1名

 今回の集中山行、当初は玄倉川水系の沢から行こうと考えていた。早戸川は本間沢のパーティーが既に計画されていたので別の水系の沢からと思ったからだ。で、いざ何処の沢から行こうかと検討してみるとあまりいい沢がない。丹沢山近辺へ詰め上がる沢はあるにはあるが、地形図を見ると堰堤だらけで水量もあまり無さそう、面白そうな沢は詰め上げてから丹沢山まで遠いものばかり。そこで急遽、早戸川の円山木沢へと変更した。この時点では本間沢の計画はなくなっており、早戸川水系は我パーティーだけとなり集中の意義は損なわないと考えた。

6月20日(土) 快晴
 昼頃家を出て集合場所の西国分寺駅へ向かう。普段山へ行く場合、夜か早朝に家を出るので今回のように昼頃に出るというのは余裕があっていい。
 このところ週末はずっと悪天候だったが今日は久しぶりに晴天、はいいのだがたまらないほど暑い。家を出て駅に着くまでに一山登った程の汗をかく。
 西国分寺に福間さんと私が集合し、そこへ藤井さんが車で来てくれる手はずになっている。集合時間より少し過ぎて全員が集まり国立インターより高速に乗り、相模湖東インターで降り途中買出しをして丹沢観光センターへと向かう。渋滞を見越して早目の集合時間を設定したが、道路は空いており思ったほど時間がかからずかなり早く着いた。
 丹沢観光センター付近は想像していたのとは大きく異なっていた。流れの緩い河原は全て釣堀にされ、周辺はキャンプ場、立派な宿泊施設もある。この先の林道は通行止めで車は入れない。林道奥にテントを張ろうと思っていたが、林道上は落石の危険が大きくとてもテントは張れない。キャンプ場はバカ高くて貧乏山ヤには手が出ない。色々物色したが結局車止めからすぐ先の橋の上にテントを張った。乾いていてヒルもいない。(この周辺はヒルが多い)
 やがて藤井さんの友人の栗原さんも到着し今夜の宴会の準備に入る。いつものように地べたに座り焚火を囲んでの宴会を頭に描いていたのだが、栗原さんの車からは椅子やらテーブルやらが出てきてさながらオートキャンプの様相を呈する。何か違うなと思いながらも、ま飲めればいいやと傍らで焚火も燃え出したので宴会を始める。やがて菅原さんも到着して全員そろい、宴会は益々の盛り上がりを見せる。

6月21日(日) 曇り後雨
 今日は昨日とはうって変わってどんよりとした曇り空。各自適当に朝食を摂り、溯行に不要なものを車にしまい6時に出発する。林道を20分くらい歩くと終点となり、早戸川に降りてすぐ出てくる堰堤を一つ越えると右岸の円山木沢の出合に着く。出合には大きな岩小舎があるが低い場所にあるためちょっとの増水で浸水しそうだ。出合は薄暗く貧相だ。円山木沢に入るとすぐにこの沢最大の25mの滝が出てくる。見た感じでは25mもあるとは思えない。せいぜい20mくらいだろう。会員外の初心者も居ることだしこの滝は左岸から高捲く。続いて現われたちょとしたゴルジュの中の滝は右岸から捲いた。沢床に戻ってふと手を見ると、指と指の間に黒くて丸いものがくっついている。よく見ると何とそれはヒルだった。慌てて払い落とすが既にたっぷりと血を吸われた後だった。
 適度に続いて現われる滝を次々と越えて行く。丹沢の沢は水量の少ないものが多いがこの円山木沢も例に洩れず水量は少ない。それでも福間さんはちょっとした流れに寝転がったり、ぷかぷか浮かんだりして遊んでいる。そこまでやるかという感じだ。
 出合いから2時間ちょっとで二俣に着く。6mの滝で出合っている左俣へと進む。出合いの滝は右壁を直登できる。菅原さんは果敢にシャワークライミングに挑戦していたが、意外に濡れなかったようでもの足りなさそうだ。やがて細い枝沢が数多く出合うようになると水も涸れそうになってくるので左の尾根に上がる。尾根上は下草が全くなく獣道が縦横にあるので薮漕ぎはほとんどなく縦走路に出ることができた。
 縦走路で沢装備を解くとスパッツの中からヒルが。あっちでもこっちでもギャー、ヒー、ウォーと騒がしい。ひとしきりのヒル騒動の後、丹沢山目指して縦走路を行く。丹沢山に着くと田原さんがぽつんと一人ベンチの上で待っていた。他には誰も居ない。ほどなくキュウハ沢を溯行してきた小堀パーティーの三人が到着し、これで集中完了。総勢8名+会員外1名、これで本当に集中山行と言えるのだろうかちょっと疑問だ。
 タイムリミットの12時を過ぎたが、原口さんが来るかもしれないということで12時半まで待ったが来る様子がないので下山を開始する。小堀パーティーの三人は天王寺尾根を下って車まで戻り、我々は田原さんと一緒に本間ノ頭から丹沢観光センターへ下ることにして別れた。当初は本間沢を下降する予定だったが、一般道ではないが本間ノ頭から丹沢観光センターへ降りられる道があることが判ったのでこの道を下ることにした。この道はかなり急で、フィックスロープに縋り、立ち木に掴まりしながらの下降になる。途中道を見失ったが登り返して見つけることができた。丹沢観光センターへ着いた頃雨が降り出してきたが、間一髪でずぶ濡れにならずに済んでラッキーだった。
 帰り支度をしているとまた靴の中からヒルが。今回は終始ヒルにつきまとわれた山行だった。

〈コースタイム〉
21日 丹沢観光センター(6:00) → 二俣(8:30) → 無名峰ノ頭(9:30) → 丹沢山(11:00~12:30) → 本間ノ頭(13:55) → 丹沢観光センター(15:00)

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