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平成11年正月合宿 八ヶ岳・仙ノ倉山
その3 雪に埋もれたお正月(仙ノ倉山敗退)
飯塚 陽子

山行日 1998年12月30日~1999年1月2日
メンバー (L)田代、鈴木(章)、飯塚

 98年の年末の積雪情報は、例年通り雪不足であった。
 もしかしたら、楽勝で!?(ラッセルなしで)仙ノ倉山に登れるかもしれない・・・という安易な気持ちはみごとに打ち砕かれた、正月合宿であった・・・。

 30日夜―。
 東所沢を出発し、今宵の宿「湯桧曽駅」を目指す。湯桧曽駅に着く頃は、一面の雪景色。しかもしんしんと振り続く雪は、かなりの積雪量になりそうである。

31日(雪)
 始発の電車で湯桧曽駅から土樽駅に向かう。土樽駅は一段と積雪が多くなっていた。そんな中、気を引き締めて出発する。雪訓等で何回か歩いた平標新道だが、こんなに雪が多く、しかも重たい雪は初めてである。
 途中、あっこさんがこのまま埋まってしまうのでは?という場所が何ヵ所もあり、そんな状況の中、3人交代でラッセルを続けたが、結局群大ヒュッテの手前の堰堤で時間切れの為、幕を張ることになった。
 堰堤から先は吹き溜まりの状態で、空身で進もうとしても、もがくだけでほとんど進めない状態。夜になって、天候はますます悪化し、吹雪の中で、98年も暮れていった。

   土樽駅(9:30) → 堰堤(16:00)

99年元旦(雪)
 雪に埋もれてお正月を迎える。
 昨晩から降り続いている雪は優に1mを超えていた。この積雪状態、日数等を考慮し、敗退を決めた我々は、潔く平標新道を戻ることに決定。昨日のトレースもほとんど消えてしまった新道を再びラッセルを繰り返しながら進んでいく。途中一本取っていると、なんと2人組のスキーヤーが追いついてきた。話によると、彼らは29日に平標新道から群大ヒュッテに入ったが、積雪が5cmにも満たないのでその時はスキーを外して歩いていったそうである。そして、30日から断続的に降り続いた雪で小屋に閉じ込められていたが、このままだと帰れなくなるので小屋を出たが、我々の幕営した場所まで、スキーをはいてでも2時間かかったそうである。
 それほどの積雪量だったのである。(決して言い訳しているわけではありません。)
 途中、交代でラッセルを続け、昨日と同じ位の時間をかけ、平標新道の分岐に着き、本日の幕営地にした。

   堰堤(10:00) → 平標新道分岐(16:00)

2日(晴れ)
 この日はようやく天気が回復したので、空身でタカマタギへの道をラッセルすることにした。途中から見えた、谷川の国境稜線が、真っ白に輝いていた。
 適当な所で下山し、その後土樽駅から湯桧曽駅に戻り、雪まみれとなった3日間の垢を落とす為に、そのまま永楽荘に流れこんだ。
 この日の夜から翌日にかけて、また1m以上の雪が降り続いた。

 このように中途半端で終わってしまったような今回の合宿ではあったが、後日仙ノ倉山で遭難もあり、あのような雪の状態では敗退してよかったと思う。
 そして終わってみれば、メンバー3人共、結構ラッセルを楽しんでいたんじゃないかなぁ・・・!?
 田代さん、あっこさん、お疲れさまでした。


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