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五月合宿 浅草岳・守門岳周辺
その4-2 五味沢スキー 先発隊(後編)
菅原 康之

 白崩沢橋のたもとにテントを張って今日で3日になる。昨日は浅草岳からの気持ちの良いスキーを堪能できたので、今日の守門岳も雪の状態によっては期待が持てる。ここのテント場はまだ日は当たってないが、雲一つない空は今日も安定してくれるだろう。
 当初の計画では、下黒姫沢から守門岳の往復コースだったが、雪の状態が良くないので田小屋からの往復コースに変更した。今日は少々長丁場になりそうなので早々に準備をしてテント場を後にする。
 車で入広瀬の町を抜け田小屋地区に向かうが標識がなく、回り道したり、土地の人に聞いたりしてなんとか行くが、とうとう車道に雪が出てきたので車を端に寄せて歩き始めると、ほどなくして車が数台停められる田小屋登山口が見えてきた。ここからは大池近くまで山の裾をトラバースして行くのだが、途中から右の枝沢に入り上部の尾根を目指して登る。徐々に樹林が濃くなり、私以外はザックにスキーを付けているので、口には出さないがかなりきつかったと思う。尾根に上がると樹林は疎らで多少は歩きやすくなり、やがてパーッと視界が開け、一面の銀世界となる。やっと正規のルートに出た。ここからは見晴らしも良く藤平山を目指して尾根からいったん沢を横切り急な雪面に取り付きぐんぐん高度をかせぐ。藤平山に立つとたおやかな山稜の先に守門岳が良く望める。途中藤井さんと福間さんは気持ちの良さそうなピークで腰をおろしたので、私と山沢さんで守門岳を目指す。ルートは尾根上を行くのでガスが出ない限りまず迷うことはない。スキー滑降にうってつけの斜面をゆっくりと歩を進める。ほどなくして大原スキー上からのルートと合流すると、けっこう登山者が多くなってきた。そこで山沢さんはスキーをデポしておく。1348メートルからは所々雪が溶け登山道がぬかるんでいる。昼ちょうどに快晴の中、20人ほどの登山者がランチタイムの一時を楽しんでいる山頂に着いた。山頂からのすばらしい眺めにしばし見とれ感激する。30分くらいして私が先に往路を下り始め、10分後に山沢さんも下りだす。小走りに下ったが、スキーを装着した山沢さんに簡単に抜かれてしまった。やっぱりスキーは早いのだ。途中で藤井さん、福間さんと合流するが、3人ともスキーをはいて沢をどんどん滑っていくので、私も遅れまいと走りながら下る。やっぱりスキーで下ったほうが楽しそうだ。
 少々気になりつつも沢を下り、周りの景色が違うと気が付いた時にはルートをはずしたと感じた。ここで登りかえせば早めに車の場所に戻れたのに・・・・・・(後で山スキールート図を見たらこの沢に入らぬことと記入されていた) でも、なんとかなるさと思いつつ下ると、目印の赤テープが小枝に付いていて谷を横切るように切り開かれた道が見えていたので、「ラッキー!」なんて単純に喜んでしまった。ここで北東に向かっている道をトラバースぎみに下ると、枝尾根が切り開かれていたのでここを下る。始めは歩きやすい尾根だったが、すぐに急斜面になり懸垂下降しないと下りられないと判断し、トラバース道まで登りかえした。どうやら本高地沢に入り込んだと推測し、テープが付いた地点まで戻ることにした。今度は南西方面に山の斜面をトラバースぎみに進み、大きく巻くと見覚えのある大池が見えて、とにかくホッとしたと同時に急に疲れがでて、重い足をひきずって車に戻った。
 山スキー山行では下りに特に注意しないととんでもない方向に下ってしまう。今回の山行では色々と反省させられた。


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