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富士山・雪訓
服部 寛之

山行日 1999年4月17日~18日
参加者 (L)服部、荻原、(17日のみ)細川、(18日のみ)小幡

 16日深夜11時半、JR八王子駅南口で荻原氏をピックアップ。いつものようにスバルラインのゲート前で幕営。
 17日朝、ゲート前にてくるまでやってきた細川さんと合流する。細川さんは先日入会されたばかりの方で、山スキーのベテラン。かつては谷川の岩場へもよく通われたとのことだが、雪上訓練は久々とのこと。しぶい木製シャフトのお宝級ピッケルをお持ちだ。  スバルライン9時開門。五合目の駐車場にくるまを停め、佐藤小屋の手前の林道に幕を張る。ここは林の中で雪崩の心配がない。今年のこの時期、富士山の積雪は五合目の登山道入口で30センチほどであった。
 今回の雪訓のメニューは、ザイルワーク、アイゼン歩行、滑落停止、雪面登行時パートナーのザイル確保、プルージック使用での登行等で、それらを順次こなし、仕上げにグリセードですこし遊んで帰幕。時間が少々あまったので、ゼルバンなどの装備を解いたのち、メニュー最初のザイルワークをおさらいした。
 細川さんは明日用事があるとのことで3時頃に帰られた。残る荻原氏と私は、テントの中でうだうだしながら小幡氏を待つ。薄暗くなりかけてメシを炊いているところへ小幡氏が登場。なんと富士吉田駅から歩いて来たとのこと。まっことご苦労さんでした。
翌18日、天気は下り坂。テントを出た6時頃から雪がちらつき始める。今日は足慣らしということで、行けるところまで行ってみることにする。六合目のジグザグ道に入ったときには雪は本降りになっていた。七合目手前より夏道は完全に雪に埋まり、八合目の小屋まで行って引き返した。その上はブルーアイスの斜面になっているとのことだった。
 帰幕すると気温が上がって五合目は雨。テントを撤収してスバルラインを下りて行くと、三合目あたりでナンとこの雨のなか若い衆をふたり従え傘を差して歩いているばあさんにヒッチハイクされた。訳がわからなかったが、とにかく途中に停めてきたくるままで乗せてってくれと言うので、頭上にハテナマークを激しく回転させつつ下りて行くと、アレマ、途中でゲートが閉まっている。ばあさんたちのくるまはそのゲートの向こう側に停めてあった。スバルライン入口の職員にゲートを開けてくれるよう連絡してくれると言いつつばあさんたちは去って行ったが、降りる際にむりやり五千円置いていった。親切はするものである。しかし、何のために雨をついてまでばあさんたちが上がって行ったのかはいまだ謎のままである。ばあさんたちの正体も分からない。うちらとは住む世界が違う人間のようであったが、この世の者ではあったようだ。職員への連絡は、ぼくらの前を走っていた軽トラックが持っていたケータイでしたらしく、間もなく鍵を持った職員のくるまがやってきたが、しかし昨夜上で泊まった人間のくるまが下りてくるであろうことくらい想像つくだろうに、途中のゲートを閉鎖してしまうとはまことにひどい。上の雪が止まなければいつまでも待たせておくつもりだったのだろうか。
 その後はいつものパターンで河口湖駅前のホテルの風呂で汗を流し、次いで隣の食堂でメシを食い、JR八王子駅まで戻って解散した。皆さん、お疲れさまでした。

付記
 帰りの高速から見た、山桜咲く新緑の里山風景には心洗われた。
 山笑う、ふるさとの春。


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