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魚ノ沢(白砂川の支流)遡行
藤井 和義

山行日 1999年5月29日~30日
メンバー (L)藤井、金子、高木(敦)
      別働隊 服部、山沢、福間

 「旅は、人生の修業の場である。」・・・・・・何かの書で見かけた言葉である。いろんな旅があるが、我等山家さんのは、真に修業の場であると言えよう。
 29日(土曜日)朝7時に東所沢駅で4人集合。関越の高坂SAで2人と合流し6人衆となる。10時半頃花敷温泉から野反湖畔、富士見峠に向かう途中の白砂川に下りる林道の分岐点に到着し、ここで本隊3名と別働隊3名に分かれることになるのだが、我々本隊は、別働隊の山沢さんに入渓地点の白砂大橋まで同乗してもらい、車を別働隊の白砂山登山口である野反湖北端の駐車場(本隊の下山地)まで有難くも運んでもらうことにした。これも修業の内?。
 11時に出発、広い河原に造られたダンプ道をたどると、右へ曲がった前方に真新しいダムが出現。はて、どこかに登路はと見渡せば、左側面の垂直に近いコンクリート壁に鉄筋の階段が青空に向かって昇っている。ダムの上に立って「妙な疲労感があるネ」、「本日の核心部かもネ」と声が飛び交う。足元に標高1039mの金属板をみつけて高度計をあわせてから上流側へと数歩の階段を降りる。右岸を進むとすぐに崩土帯となり、傾斜が急なのでケンスイで川床に降り立つ。相変わらずの広い河原をゆくとほどなく左から枝沢を合わせるが、地図に新しいダムが載っていないので慎重に地図を読んで魚ノ沢の出合と判定する。小休止後歩き始めるが、特別に困難なところもなく快適に進むが魚影ナシ。スダレ状の滝を過ぎて一人の釣師に追いつき声を掛けると、型が小さくアタリも少ないとのことだ。白砂大橋で会った地元のオジサンから魚の話しを聞いたら「本流に魚はいないヨ。支流にしかいないヨ。」との寂しい言葉に加えて、あまり大きな沢でないのが気になっていたのだが・・・修業、修業。出合から20分で12mの滝に到着。右から高巻いた地点が何と二俣であり、右俣を少し進んだ所に幕場をみつけて第1日目の行程完了。天幕をはりタキギを集めてから男2人は釣りに、残る女性は山菜を取りに出かけるが、収穫はミズナとシドケだけで男の負け、・・・修業が足りない。焚き火を囲んでゆっくりと時の流れに身をまかせ、五感で大いに幸せを味わう。夕食も終えた6時過ぎから雨になったが、しばらくして止んだ様である。
 明けて30日、気持ちの良い晴天である。9時に出発、5mの筒状滝を左から高巻き、7mナメを過ぎると奥の二俣である。右俣を進み、10mのナメ、5m、7m、8mのナメ等快適に進み、大滝50mナメの中央を登ったのが12時。それから10分程度で雪渓が出現するも、傾斜が穏やかでスプーンカットの雪面を苦もなく進むと、一旦雪が消えて、再度雪渓歩きとなるが、100m程で完全に雪が消え源頭の様相を呈す。水量が少なくなり傾斜が段々きつくなりルンゼ状となった付近で、高木女史がウルイのいいものがあると採り始めるので、一緒に良型だけを採っていたがすぐに袋一杯となった。やがてスラブ状になってきたので右の笹薮へ取り付き、40分後に八間山の頂上に立った。引き続き天候良好で360度の展望に大満足。小さな避難小屋があり、少し古いが小人数なら泊まれそうである。風に吹かれ寝そべって青空を観る幸せな時間だ。別働隊に電話すると既に関越の花園付近を走っているとのこと。随分逃げ足、いや帰り足の早い連中である。途中の川原湯温泉で汗を流したとのこと、流石憎いところを選ぶネ!  当方も以前から一度訪れてみたい地であった為寄ってみたところ、やはり、ひっそりと風情の溢れた温泉場であった。尚当地が数年後にはダム建設により水没してしまうとのこと、大変残念である。
 さて、頂上より野反湖を左手に見下ろしながら登山道を降り、50分で駐車場に到着。川原湯温泉経由で本山旅を終了しました。

あとがき
 八間山からの展望は素晴らしい。私の2万5千には載っていない整備された登山道が、八間山から尾根伝いに堂岩山へと続いているのが見えた。手軽な山旅として、野反湖北側の駐車場(バスの終点)に車を置いて、あまり暑くない季節に堂岩山から白砂山のピストン、そして八間山経由で駐車場まで、というコースをお奨めします。尚、帰りには川原湯温泉ですぞ。


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