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セイメイバン ハイキング
福間 孝子

山行日 1999年11月3日
メンバー (L)福間、鈴木(章)、飯塚、田口、大久保、小堀、太田(秀)

 前々からとっても気になっていた山なので例会山行で組んでみたんですが、思ったより参加者がいてとってもうれしい。この山の名前の安倍の清明さんのことも少し勉強になったし、自分のなかではとてもとても興味深い面白い山なのであります。
 そんなことにはまったく興味のない風の参加者に、マツタケが採れるかもしれないとまことしやかに吹きこんでの出発。大月駅からタクシーで金山鉱泉まではいり、沢を渡ってすぐの尾根にとりつきます。最初は杉の林の中をジグザグに登り出すとすこしずつ赤松がまじりだしてきます。そのうちすべてが赤松に替わって稜線までずっと続きます。ただしお宝はありませんでした。
 金山峠への分岐から東の稜線へ入り大岱山を目指します。枯葉が黄金色に輝き風に舞う様は息をのむような美しさでした。風の谷のナウシカの最後の場面を思い出してしまいました。「いい山だねー」と皆思わず口にでてしまったようです。そうです、その感動の心こそお宝なのです。私の山ではないのにとてもうれしい。私の山だったらもっとうれしい。
 このあとは稜線づたいに南下して行くんですが、あまり人が入らない山なのでよく地図を確認しながら行かないと、夏などは特に藪道なので迷ってしまいます。かく言う私も一番大事なセイメイバン山頂を間違えて大恥をかいてしまいました。「さっきのは第二セイメイ、今度のが第一セイメイ」などとごまかそうとしたら、「保険会社じゃねえんだよ」。はい、そのとおりであります。
 残念ながら清明さんの足跡を残すものはこの山からはうかがえず、桜沢峠付近に小さな祠が一つあったけれど、何を奉ってあるのかは薄学の私にはわかません。ただ当時陰陽道の第一人者であった清明さんが、この地で本当に亡くなったのであれば、千年も昔のことだとしても言い伝えだけではなく何かが残っているはずだと思うのですが。う~ん、ますます深まるセイメイバンの謎。
 一人あれやこれやと悩んでいると、出た! 出ました、むらさきしめじ。いきなりの争奪戦。はるか千年の時空を吹き飛ばす今そこにある足元のキノコ。約4名が死闘をくりひろげたのですが、やっぱりこっちのほうがおもしろいかも。
 一旦車道を横切り登り返し、岩殿山に続く道を稚児落としへと向います。稚児落としの岸壁をのぞきこみながらひとしきり話が咲いた後は最後の下り。少し戻って西についてる巻道を下ります。最後の最後は美しい竹林の中をぬけ人家の脇を通りつり橋をわたって車道へ出ます。バスの便はあまりないので大月駅まで約1時間の歩きです。
 朝はハイカー満載の中央線でしたが、ここでは誰一人に会うことも無くしみじみといい山でした。また季節を変えて来てみたい山です。
ムラサキシメジだよ~ん


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