今年の五月合宿は当初剱岳で尾根と山スキーに分かれて行なうことに決まっていた。委員会の席では山スキー派が最後まで八甲田に固執したが、委員長としては複数の山域に会の勢力を分散したくなかったのである。また皆が顔をそろえるところに五月合宿の合宿たる所以があるという会長の考えもあった。それで山スキー派委員は不承不承了解したのである。
ところが、その方向で話を進めていると、企画の菅原氏が、ここはやはり考え直して山スキー派に八甲田へ行かせてやるべきだと言ってきた。山スキー派の八甲田への執着には執念にも似たすさまじいものがあるのだとすごむ。五月連休は社会人の山スキー屋にとっては一年で最も重要な期間であり、特にあと何年山スキーができるかと指折り数えるような立場ともなると、五月連休の重要度は鬼気迫るがごとき様相を帯びた高次のレベルにまで達し何事にも代え難くなるのだとさとす。人生がかかっている、という現実を突きつけられ、わたくしは折れた。
そこで今年の五月合宿は、剱岳と、八甲田山を中心とした山スキーの二手に分かれて行なうこととなったのである。剱岳は当初から小幡氏が希望していた小窓尾根の登攀に加え、山本のゲンさんが立山~剱の縦走をまとめた。八甲田山の山スキーは2パーティーが出ることとなった。提出された計画書をまとめると次の通りである。
八甲田山方面(山スキー)
● 八甲田山、岩木山、栗駒山
4月29日~5月6日(最終下山日 5月6日)
(L)福間、山沢、鈴木(章)、飯塚
● 八甲田山、岩木山
4月29日~5月7日(最終下山日 5月7日)
(L)佐藤(明)、江村(し)、冨岡
剱岳方面
● 小窓尾根・チンネ・ジャンダルム・八ッ峰6峰
雪稜登攀・岩登り
4月30日~5月6日(7日予備日)
(L)金子(隆) 、野口、小幡
● 黒四ダム~立山~剣小屋~剱岳~真砂沢~黒四ダム
縦走
5月3日~5月6日(7日予備日)
(L)山本(信)、荻原、高木(敦)、
(後発隊)細川、田口 : 4日剣小屋にて合流
*緊急・下山連絡先は播磨さんにお願いした。
結局、今年のゴールデンウィークは、東北方面は序盤晴れたものの中盤~終盤は天気に恵まれず、また北ア方面は序盤~中盤に天気が悪く終盤に回復という天候のめぐりで、合宿全体としてはいまひとつパッとしなかったという印象が残った。各パーティーの行動については以下の報告をご覧ください。