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風吹尾根スキーツアー
菅原 康之

山行日 2001年3月24日~25日
メンバー (L)佐藤(明)、福間、飯塚、小堀、箭内、菅原

 風吹大池で少々長めの小休止を取ったので、周りの景色を堪能しつつ記録を取っていたら、リーダーの佐藤明氏が、
「今回のスキーツアーの原稿は菅原氏にお願いします」
と突然に頼まれてしまい、高揚とした気分からいっきに奈落の底に落ちた気分になってしまう。
 私はとにかく物を書く行為がとても苦手で、メンバー全員が私に原稿を書く事を勧めるし、リーダーの有無を言わせぬ言葉と絶対的な権力の前ではなすすべも無く、渋々承諾したのであった。
 と、まあ、かなり大げさな文章になってしまったが、次回の原稿の締め切りまでには3ヶ月あるので大丈夫と高をくくっていたら、結局締め切り3日前に書いている始末でした。
 とにかく、記録やメモを書く時はリーダーの目に留まらないように注意しましょう。
 と、まあ、前置きはこの位として本題に入るとしよう。
 3月24日、25日で栂池スキー場から風吹大池を経て紙すき山牧場、北小谷駅へと下る長めのスキーツアーコースで、できれば24日の一日で抜けたいとのことであった。以前から山スキールート図集を見るたびに気になっていたルートなので、前々から行きたいと思っていたところ、明氏が前回に引き続きまた企画したので、参加させていただきました。
 3月23日(金)、日暮里駅前に夜9時に集合、明氏の車に6名が乗り込み一路白馬大池駅へと向かう。たしか入谷インターから首都高速1号線に入り、ネオンきらめくビル群の間の環状線、高速4号線、そして中央フリーウェイと目まぐるしく進路を変えて西へと車は順調に走る。途中、右に競馬場、左にビール工場を過ぎるとその先はまるで滑走路のようだと、どこかで聞いた歌のフレーズのようである。
 24日の2時近くに白馬大池駅前に到着。素早くテントを設営し宴会へと突入するが、今日の事があるので、ほどほどにしてシュラフに潜る。
 3月24日6時起床、尿意を催したのでテントから出ると風があり少々肌寒い。天気も今一つパッとしない。もしかすると昨年の二の舞になるのではと不安になる。実は昨年も同じルートを企画したのだけれども、強風の為にゴンドラが運休となり、止むなくルートを変更した経緯があった。
 予約したタクシーが来たので、2台に分乗して栂池高原に向う。ゴンドラ乗り場には既に数人の山スキーヤー達が屯(たむろ)していたので、素早くゴンドラ乗車口のシャッター前に並び、一番のゴンドラに乗ることができた。グングン高度が上がるにつれて天気はドピーカンとなり、前方には白馬三山や後立山連峰の素晴らしい山並みが指呼の間に望める。乗車時間約20分くらいで1565mの栂の森に到着。外に出ると無風快晴で、楽しい山スキーが堪能できそうでウキウキワクワクしてしまう。
 栂の森から一本リフトに乗り、終点より右側の斜面をトラバースぎみに下り林道に出る。ここで皆シールを装着する。箭内さん、福間さん、飯塚さんが山スキーで、明氏、菅原がテレマーク、そして小堀さんがクロスカントリーの混成グループなので、酒のつまみになりそうなハプニングが起こりそうな感じで出発する。雪の締まった林道をだらだら登ると、栂池ヒュッテが見える。目の前には天狗原への広い急な斜面が続く。元気な小堀氏がトップでぐんぐん登って行く姿を追いながら、少々重い足を引ずりジグザグ登高で私も後に続く。頭上をスノーボーダー達を載せたヘリコプターが栂池高原と天狗原の間をひっきりなしに往復している。約2時間位で見覚えのある露岩の祠が見えてきた。ここは広い雪原なので、視界が悪いと迷いやすいので露岩を目印にするとよい。ここより風吹尾根に向って楽しい滑降モードになる。明氏がしっかり方向を見定め北北東に進路を取り滑り出す。
 ほどなく行くと栂の木に北小谷への指導標を見つけ、紙すき山牧場までこれがあり、最近整備されたのではないかと思う。
 始めは広いなだらかな斜面を一滑りすると尾根が細くなってくるが、また大きい尾根になったり適度な斜面ありと、雪質が良いので皆様とても快適に下ってくる。フスブリ山を一登りし、栂の森の気持ちの良い広いゆるやかな斜面を滑り下ると風吹大池に出るが、雪に埋もれて見えない。ここで高揚しながら小休止をしていると冒頭に書いた事になってしまったので少々ヤケ酒をあおる。本当は、すばらしいところなので飲まずにはいられなかったのだ。風吹尾根の左側のフチを県界にそって歩行すると、右側の沢よりスノーモービルの跡が入り乱れていたので少々意外だった。
 岩菅山のなだらかな尾根を登下降すると箙(えびら)岳に達するが、広いのでピークが判明しない。が、尾根どうしにまともに進むと急斜面で落ち込んでいるので、リーダーが左側より回りこめと指示が飛ぶ。栂林の中、適度な斜面が続き歓声を上げて滑りまくる。下り過ぎないように右へ少々角度のある広い斜面を斜滑降をして正規の尾根へ戻る。振り返ると、やはり箙岳からのダイレクトの滑降は足に自信がないと下れそうもない。明氏の適切なルートファインディングのおかげでうまく回りこめた。
 ルート中最後のゆるやかな登りを進むと蒲原山のピークに到着。ここからは下りのみなので少々長めの一本を取り、今までの道程を眺め満足感に浸る。でも先はまだ未体験ゾーンなので、重い腰を上げて滑り始める。枝尾根に入り1400mのピークより重くなった雪質の急斜面を紙すき山牧場へと滑り込む。牧場内は広いので油断は禁物、慎重にルートを見定めて下る。大平の集落に着くころには疲労もたまりヘロヘロ状態。ここで雪も無くなり舗装路をトボトボとツアーの感激を噛み締めながら北小谷駅へと歩く。鉄道を利用して白馬大池駅へ戻り、駅前にまたテントを張り、うまい鍋とうまい酒、そしてツアーの満足感で夜が更けていった。
 翌日は姫川温泉で汗を流し、糸魚川に出て、姫川港で日本海を眺める。市内で昼食を取り、北陸道、上信越道、関越道と高速道路を乗り継いで東所沢駅にて解散。

〈コースタイム〉
3月24日 栂池高原(8:00) → 栂の森(8:30) → 天狗原(11:00) → 風吹大池(12:45) → 蒲原山(14:30) → 大平集落(16:00) → 北小谷駅(17:00)


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