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入川股ノ沢
金子 隆雄

山行日 2001年6月23日~24日
メンバー (L)金子、野口、紺野、小林(と)、越前屋

 いつものように金曜夜に東所沢駅に集合し、関越道を北上し花園より国道140号へ入る。大滝村役場先で栃本方面へ入ってしばらく行くとトンネルの手前が工事中で通れず、止むなく戻って中津川方面への道を行く。天気は時々雨がパラつき何だか嫌な感じ。だが川又へ着くと雨は降っていなかった。バス停付近の東屋で仮眠する。立派なトイレも有り仮眠にお勧めです。但し、車の通る音が少しうるさい。
 6月23日 曇り
 車で夕暮キャンプ場の近くまで入り歩き始める。相変わらずの長いアプローチに辟易しながらも3時間15分で柳小屋に着く。沢装備に身を包み小屋の前から溯行開始する。水は結構冷たく感じられた。
 すぐに真ノ沢出合となり少し行くと最初の2段4m滝が現れる。これは登れず左岸を捲く。続く釜を二つ持つ3m滝は釜が深く、また両側壁はツルツルで登れそうもない。釜と釜との間には太い倒木が横たわっている。右から捲くか、左から捲くか迷った末に右から捲いたが結構な大高捲きとなった。倒木が被さった二つの滝を左より小さく捲いて越すと、トイ状の2段13m滝だ。水量が少なければ3段に見えるかもしれない。ここは右岸を捲いてルンゼを横切り滝上に降り立つ。すぐに大きな釜を持つ5m滝になる。水流の右端を登るが見た目よりは難しくない。
 美しいナメが続くようになる。茶色と白の縞模様で、私の知る限りでは小常木谷と同じものだ。更に鮮やかな緑の苔が一層美しさを引立たせている。このへんが奥秩父一の美渓、名渓と称される所以かも知れない。
 1mの小滝は釜が深くて右より捲いて越すとまたナメが続く。左から右へと流れる横向きの滝は水流の中も登れるが左端も簡単に登れる。ナメの小滝をいくつか越えていくとインゼルとなり、その先で右岸より枝沢が入り両岸が開けてくる。この辺に幕営に適した場所があるはずだが、良さそうな所は水が溜まっているのでもう少し先へ行ってみることにする。2段6m滝の下まで行ったがこの先はまたゴルジュになっていそうなので戻って左岸の河原を整地して幕営地とする。時間はまだ早いが急ぐ必要もないので早めに切り上げる。
 幸いに今日は雨に降られなかったので焚火も良く燃えてくれる。早い時間から飲み始めたためか、日が暮れる頃には早くも紺野さん舟をこぎ始める。焚火に頭から突っ込みそうでハラハラするが、本人は大丈夫と言い張る。でも目は虚ろ。飯を食い終わりしばらくすると突然越前屋さんが戦線離脱しテントに転がり込む。続いて私も目を開けていられなくなりテントにもぐり込む。後はどうなったか知らない。夜半から明け方にかけてかなりの雨が降った。
 6月24日 雨のち曇り
 雨は朝には小康状態となっていた。小雨の中、立ったまま朝飯のラーメンを食い、テントを撤収して7時40分に出発する。ナメ滝、2条4m滝、更に小滝群を越えて行くと左岸より袖小屋窪が流入してくる。その先はゴルジュで中には滝が三つある。最初の滝は登れるが、その先の二つは登れそうもない。右岸は急すぎて登れそうもなく左岸を高捲いたが結構悪い捲きだ。沢床に戻るとすぐに2段10m滝でこれも左岸を捲く。下降場所にはフィックスロープが垂れている。
 本流が大きく左に曲る所で左岸より10mの美しいカーテン状の滝をかけた枝沢が出合う。2段15m滝、いくつかのナメ滝を越えて行くとやがて垂壁から豪快に水を落とす10m直瀑が立ち塞がる。取り付く隙などどこにもなく左岸を捲く。ナメの小滝群を過ぎ、しばらくゴーロ歩きをすると1対1の二俣となる。
 右俣に進路を取ると出合いよりナメ状小滝の連瀑帯となり、快適に登る。連瀑帯が終るともうその先に滝はなく長いゴーロ歩きとなる。水が涸れかける頃、そろそろ林道に出合う筈と右岸を探しながら行くと、踏跡らしきものがあったので上ってみる。しかし、この踏跡はすぐに消えてなくなってしまった。周辺を少し捜したら上の方に林道を見つけることができた。林道と言っても踏跡程度の細い道だ。この股ノ沢林道はルートファインディングが難しいと書いてあるガイドブックもあるが、それ程でもなく多少経験を積んでいる者なら問題ないであろう。道も結構しっかりしている。1時間強で柳小屋に戻ることができた。
 柳小屋に着く頃にはすっかり天候も回復して時折り晴れ間ものぞくようになっていた。柳小屋からはまたあの長い道を辿って夕暮キャンプ場の車まで戻った。

〈コースタイム〉
23日 夕暮キャンプ場(6:30) → 柳小屋(9:45~10:15) → 幕場(13:30)
24日 幕場発(7:40) → 袖小屋窪出合(8:20) → 二俣(9:45) → 股ノ沢林道(10:50) → 柳小屋(12:15~12:45) → 夕暮キャンプ場(15:45)
股ノ沢溯行図

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