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中ノ岐川灰ノ又沢
金子 隆雄

山行日 2001年9月29日~30日
メンバー (L)金子、佐藤明、高木(敦)、紺野、天内、中沢(佳)、(松尾)

 今回のメンバーは体験山行で参加した松尾さんを含め総勢7名。7月に池ノ沢で災難にあったメンバーが半数を占める。懲りないですねー。
 いつものように東所沢駅に前夜集合し車2台で出発。銀山平の荒沢岳登山口にて幕営し、ちょっと一杯やって3時頃に就寝。とても寒かった。

 9月29日 晴れ
 朝もとても寒かった。こんな寒さで本当に沢登りなんて出来るんかいなとちょっと不安になる。車を1台ここにデポし、もう1台で雨池橋まで2往復する。全員そろって橋の側の空地に車を駐車すると、何処からともなくジイさんが現れて車を橋の向こう側に移動しろと言う。何故だか良く解らないがトラブルは避けたいのでその通りにするが、この前のバアさんやこのジイさんはいったい何なんだろうか。
 灰ノ又沢までは林道を約1時間で着くはずだ。7月に来た時に確認してあるし、出合いに架かる橋には灰ノ又橋の名前も記されている。間違うはずがない。であるはずなのに何故かとんでもないミスを犯してしまった。出合いを通り過ぎてしまい、そろそろ着いてもいい頃だと思えるくらい歩いても出合いに着かない。さては通り過ぎてしまったかなと思いながらも足を止めず、黙々と歩き続けるおバカな私。堪りかねたメンバーより後ろから声をかけられてようやく私の暴走は止まった。通り過ぎてしまったことがハッキリしたので戻ることにする、約2時間のロス、情けない。
 メンバーのブーイングにもめげず気を取り直して灰ノ又橋より入渓する。充分過ぎるほどの準備運動をしたので水もそれ程冷たく感じない、陽も射してきて気温も上がってきたようだ。
 橋から河原を少し行くとじきに滝が現われる。なるべく濡れたくないので捲いて進む。同じようにいくつかの滝を捲いて進んで行くと左岸より花降沢が出合う。4段25m滝を右岸より捲くと途中に湧き水があり、飲んでみたら旨かった。沢は開けてゴーロとなりしばらくして左岸より裏荒沢が出合う。次々と現れる滝もほとんどが直登できるようになる。途中一ヶ所だけ腰まで水に浸かる。
 2時を過ぎた頃から寒さが身に染みるようになってきた。早く行動を終えて焚火で暖まりたい。12m滝の右壁をザイルを出して登りきるとそろそろ二俣なので幕場を探す。あまりいい場所ではないが二俣手前の左岸の藪を切り開いてテントを二つ張る。明さんは酒の肴にと釣りに出かけるが坊主のまま戻ってきた。上流に魚はいないようだ。
 夕方よりいつものように焚火を囲んでの宴会となる。滝登りでも大活躍だった松尾さんは焚火にも拘りを持つ燃える男だった。

 9月30日 晴れたり曇ったり
 天気予報では今日の天気は良くないことになっていたが、まあまあの天気でなんとか一日もちそうだ。出発して15分で二俣となり本流の右俣に入る。小滝が次々に出てくるが問題になるようなものはない。次の分岐で少々迷った。左は沢床も低く本流のように見えるが方角的には右の方が正しいようだ。しばらく顔突合せ、ああでもないこうでもないとやった後、右に進むことにする。結果的にはこれで正しかったようだ。
 水が涸れると急傾斜になり一気に高度を上げていくようになる。落石には注意が必要だ。最後の詰めは荒沢岳にダイレクトに上がるようなルート取りをしたため結構厳しかった。露岩が混じる急なブッシュ帯を恐る恐る登り詰める。早めに左の稜線に出て、踏み跡を辿って荒沢岳に上がった方が楽だったような気がする。
 荒沢岳には数人の登山者が休んでいた。風が冷たく寒いのであまり長居はせず下山にかかる。下山は前ぐら尾根を降りる予定だ。と言うかそこしか下山路はないのだ。随分昔のことだが北ノ又川の支流を遡行したときに下ったことがあるが、記憶によればかなり険しい道だったはずだ。下り始めてすぐその記憶が間違いではなかったことが分かる。よくもまあこんな所に登山道を開いたものだと感心してしまうほどで、延々と続く鎖にすがらなければ降りられないような所が続く。ほとんど壁と言ってもいいくらいの急傾斜なのだ。
 小幡、松尾の両名が先に行って車を回収してきてくれると言うのでお願いすることにする。彼らは風のように行ってしまいすぐに姿が見えなくなってしまった。残った5人はちんたらと下って行く。明さん、高木さんは時折薮の中へゴソゴソとキノコ探し、中沢さんはズルッ、スッテンを繰り返し、天内さんは写真をパチリパチリとやりながら、そして私は最後尾をバテバテ、ヨレヨレでのそのそ行く。ハイカー達に次々と追い越されていくのが情けない。私の最近の報告にはヨレヨレだのバテバテだのという言葉がやたら多く登場するようになって何ともこれまた情けない話だ。
 大幅に時間オーバーしてやっと登山口に着いた時には既に16時を過ぎていた。小幡、松尾の両名は車の回収を終りとっくに戻っていた。大分待たせてしまったらしい。遅くなってしまったので今回も風呂はダメかなと思ったが、とりあえずユピオへ向かう。ぎりぎり閉館前で風呂に入ることができた。
 今回の灰ノ又沢は沢自体は印象薄くあまり記憶に残っていないが、最後の詰めと下山が強烈なものであった。

〈コースタイム〉
29日雨池橋(8:25) → 灰ノ岐橋(10:50) → 幕場(15:00)
30日幕場(7:00) → 二俣(7:15) → 荒沢岳(11:00) → 登山口(16:10)

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