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東黒沢~ウツボギ沢右俣左沢
飯塚 陽子

山行日 2001年9月1日~2日
メンバー (L)飯塚、福間、鈴木(章)、高木(敦)、菅原、小堀、高橋(俊)、天内

 8月も最後の週が明け、その週の週間天気予報は週末まで、雨模様とのこと。また群馬の水上地方は週中には、集中豪雨が発生し、やはり週末まで雨予報。その週末にまさに水上方面に沢登りの例会を出している私にとって、この事態はさすがに気が重い。
「いつ頃、皆に中止の連絡をしようか・・・?」と、うだうだ考えているうちに、そのまま連絡しそびれて、その週末はあっという間に来てしまい、出発となった。
 金曜日の夜は土合駅にて、久しぶりに快適なステーションビバーク。久々に登場してくれた菅原さんは、まるで懐かしい我が家にでも帰ってきたかのように、しみじみと駅に見入りながらお酒を飲み、夜遅くまで起きていたようである・・・。
 そして翌日―。目を覚ますと外は青空が広がっていた。週末の天気予報は見事に外れて、リーダーの、いえメンバーみなさんの日頃の行いが良いせいで、絶好の沢日よりとなったのである。「中止」の連絡をしそびれて、本当に良かった。
 さて菅原号と高木号の車2台は土合駅にデポし、メンバー総勢8名の老若男女は元気に出発した。白毛門登山道が東黒沢を渡る地点から、左岸の山道を辿り入渓すると、すぐに美しいナメ滝帯が始まる。前日まで降り続いていた雨のせいで、水量は多いようである。20mハナゲの滝は、名前からしてサラサラと流れているのかと思いきや、想像以上に水の勢いが強くて迫力のある滝だった。ここは左から取付き、上部で右側に渡ろうとしたが、水流が強くて渡れそうもなかったので、左の灌木帯の踏み跡に入り捲いた。その後はすぐに白毛門沢の出合いとなり、ここから先もきれいなナメ滝が連続して続くが、特に難しい滝はないので、それぞれに楽しみながら登っていったのである。沢の上部20mナメ状滝に続いている約250mのナメは、青空と太陽に照らされ水面がキラキラと輝き、ヒタヒタと歩くにはとても気持ちの良いナメであった。ここを足早に過ぎてしまうのももったいないので、途中大休止をとり、昼寝をしたり、滑らなかった滑り台遊びをしたりして、思い思いに過ごした。20mナメ状滝は、右壁に取り付いてそのまま右上し、その後は平凡な沢となった。右へ左へと支流を分けて行く途中、後部の方で何やら大騒ぎをしている声が聞こえたが、それは高木さんが大物キノコ「サンゴハリタケ」を発見した歓喜の声で、皆で収穫中であった。この「サンゴハリタケ」を、私はこの時始めて見たが、その名の通りサンゴの様に美しい真っ白なキノコで、これが今晩の夕食をさらに豪華にしてくれたのであった。最後はヤブ沢をつめ、丸山と白毛門の最低鞍部に出て、その尾根の反対側のウツボギ沢の支流を難なく下ると、小1時間程でウツボギ沢出合いの広河原に着いたのだった。
 この広々とした気持ちの良い広河原に幕を張り、時間はまだ早かったので、昼寝をする者、酒を飲み続ける者、釣りに出かけた者、と思い思いに過ごす。そしてこの日、遂にあのこぼさんが、口だけでなく本当に2尾の岩魚を釣ってきて、ここに「釣り師・小堀」は事実だったということを、証明してみせたのだった。この岩魚の出現により、みんなのやる気に火がついてしまい、それからの焚火→夕食の準備→宴会に入るまでの早いこと早いこと・・・。夕食担当のこぼさんメニュー「豪華つくね風鍋~サンゴハリタケ、ブナシメジ入り~」をあっという間に平らげ、その後は焚火を囲み、満天の星と月夜の下での快適な宴会で、盛り上がったのだった。そして今宵の宴会の中心であった岩魚は、8人で仲良く分けて、跡形もなく消えたのだった。
 翌日も快晴―。ウツボギ沢も東黒沢同様に、難しい滝はなくナメの多い美渓の沢だ。出だしの15mの滝は高捲きし、1450m付近の10m滝も高捲いたが(福間・小堀組は違う生き物になって直登していた)、それ以外は楽しく直登できる滝ばかりだ。また右沢を分けた後の50mナメ状滝も美しい滝で、稜線も近いせいか、青空に向かって気分爽快に登ることが出来た。その後は覆い被さる笹ヤブを抜け、草付きの急峻な窪を、笹を掴みながら強引に登り上がれば、稜線の登山道に飛び出した。稜線上からも景色バッチリで、遡行してきたウツボギ沢がずーっと下まで見渡せた。あっこさんが、ここまで担ぎ上げてくれたりんごが、とてもおいしかった。
 さてさてここからが、本当の核心部?で、稜線に出てからまだまだ暑~い太陽が照りつける中、笠ヶ岳を越え、白毛門を越え、
「なげ~下りだよね~」と、皆でブツクサ言いあったが、最後の大下りはやっぱり長かった。それでもなんとか白毛門駐車場に全員到着。土合駅にデポしてある車を、元気印の俊介君と小堀さんが回収に行ってくれて、2人が駅で買ってきてくれたジュースで乾杯。
 その後は湯テルメで汗を流し、お食事処の場所を検討した結果、ちょっと遠回りだが、菅原さんとあっこさんお勧めの、国道17号線沿いにある(渋川より約10km手前)「ゆ炉」というお店に立ち寄ることにした。ここのお料理は値段も手頃で、一人一人にお弁当箱に入った炊きたてのおいしいご飯が付き、おいしくボリューム満点のメニューばかりだった。メニューにはなかったが、サシミコンニャクも出してくれて、これが特にお勧め。皆さんも山帰りで時間に余裕のある時、立ち寄ってみてください。
 こうして夏の終わりの沢旅も、充実して締めくくることができた。みなさん、お疲れ様でした!

〈コースタイム〉
9月1日 東黒沢入渓(8:35) → 白毛門沢出合(9:25) → コル(12:25) → 広河原(13:20)
9月2日 幕場(8:00) → 二俣(10:15) → 稜線(12:00) → 白毛門(13:45) → 白毛門駐車場(15:30)

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