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谷川・芝倉沢出合集中山行
その2 湯檜曽川東黒沢~宝川ナルミズ沢
金子 隆雄

山行日 2001年10月6日~8日
メンバー (L)金子、野口、飯塚、中沢(佳)、土肥

 ルームでメンバーを募集した時は参加者がいなかったので白毛門沢のパーティに合流することにした。しかし、色々ルートを検討しているうちに結局は私が最初に計画したルートに落ち着いてしまった。

 10月6日
 朝7時、ほぼ定刻どおり東所沢駅に全員が集合した。湯桧曽川本谷隊も東所沢駅集合としたらしいがメンバーが揃わないらしく我々は一足先に出発する。出発したはいいが関越道に入る前から大渋滞である。この連休は毎年渋滞するのをすっかり忘れていたのが誤算だった。昨夜のうちに出発すればよかったと後悔するが後の祭りである。しかし、関越道に入ると心配したほどの渋滞ではなく10時頃には土合橋の駐車場に着くことができた。駐車場には昨夜出発した縦走隊の服部車があった。10分ほど遅れて湯桧曽川隊も到着した。
 わいわいがやがやと賑やかに出発準備を整えて我々は一足先に出発する。1ヶ月ほど前に東黒沢を溯行している飯塚さんに先導してもらう。少しの間だけゴーロ帯を行くとナメが始まり、以後終りまでナメが続くなかなかに雰囲気のよい沢だ。ほどなくこの沢最大のナメ状の20mハナゲノ滝が現れる。右岸の水際を容易に登れるが水量が多い時はちょっと難儀するかもしれない。飯塚さんによれば前回に比べると随分と水量は少ないそうだ。出発から35分で白毛門沢出合いに着き小休止。
白毛門沢出合いにて  白毛門沢の先にはちょっとした淵があり泳がないと水線通しの通過は無理そうだ。泳ぐ気などさらさらないので左岸より低く捲いて通過する。その後も難しい所は全くなくナメをヒタヒタと快適に溯って行く。最後の二俣は間違い易いので注意が必要だ。赤テープが付いている藪っぽい右俣に進む。最後の二俣から先ナメはなくなり狭くルンゼ状に高度を上げて行く。途中で倒木に生えていたブナハリダケとサンゴハリダケを収穫する。サンゴハリダケというのは初めて見るが名前の通りに珊瑚にそっくりである。飯塚さんがこれは食べられると言うので採っていくことにする。
 沢が尽きて、薄い藪の中を飯塚さんに先導されてガサゴソ行くとすぐにコルに出る。そのまま反対側のウツボギ沢の支流を下降する。すぐに水が流れるようになりコルから50分で広河原に到着する。広河原には3人組のパーティが既にテントを張っていたので少し離れた所にしようとちょっと下流の砂地の場所を選ぶ。しかし整地していると変な足のいっぱいある虫がうようよ出てくるので止めて先ほどの3人組の近くにテントを張ることにする。
 盛大な焚火ができると聞いていたが焚き木になるような木があまりなく、遠くまで探しに行かなければならないという状況だった。晩飯に今日収穫したキノコをキノコ汁にして食べる。とても美味かった。夜は結構冷えたが雨には降られずに済んでよかった。
 10月7日
 今日はナルミズ沢の溯行を行うのだが、時間短縮のため大石沢出合いまでは登山道を辿ることにする。朝飯に夕べ炊いておいた飯をお茶漬けにして食べて7時前に出発する。
 30分ちょっとで大石沢に到着する。溯行開始は大きな釜を持つ3m滝から始まる。左端を容易に登り、続けて二つ小滝を越すとナメが始まる。このナルミズ沢も全体的にナメの多い沢で大変美しい。周囲の紅葉を観賞しながらナメをヒタヒタと行けばいつの間にかもう魚留滝だ。8mの魚留滝は右壁を容易に登れる。二俣で右俣に進路をとると再びナメが続くようになる。所々黒い苔が生えて滑りやすい所もあるので注意が必要だ。時々出てくる小滝をいくつか越えて行くと最後の二俣となる。ここまで来るともう稜線は間近だ。周囲は風になびく金色の草原、その草原を割って流れ落ちる一筋の細い流れ、何とも絵になる風景だ。大休止してじっくりと景色を眺める。
稜線はもう間近だ  小川のようになった流れの両岸にはしっかりと踏まれた跡があり、あえて沢の中を行く必要はない。沢が尽きたあとは草原の中の踏跡を少し辿ると笹原の中のコルに出る。コルにて靴を履き替えていると溯行者らしき単独行者が上がってくる、続いてもう一人。
 コルからジャンクション・ピークを目指し踏跡を辿る。途中不明瞭な所もあるが約1時間でジャンクション・ピークの少し下の登山道に出る。途中でジャンクション・ピークに人がいるのが見えたので、人数からして湯桧曽川本谷のパーティと思いコールするが返事なし。後で聞いたら湯桧曽川本谷隊は途中でエスケープしたそうなのでこのパーティは他人だったようだ。
 登山道に出て水を飲もうとザックの中を捜したがない、水を入れたペットボトルをコルに忘れてきてしまったようだ。同じく野口さんはタバコを忘れてきたようだ。
 登山道には出たが集合場所の芝倉沢まではまだ長い。まずは清水峠を目指して下り始める。途中で湯桧曽川隊から携帯に電話が入る。清水峠を後にしたところだと言う、我々との差は30分程度か。清水峠からだらだらと長い道を疲れた身体を引きずるように歩き、暗くなる寸前に集合場所に到着した。
 我々が最後かと思っていたが、一ノ倉沢隊と馬蹄形縦走隊がまだ到着していないらしい。一ノ倉隊の小幡と四方田はじきに到着、集合場所を間違えていたらしい。テントを張り終え、我々も焚火の側で夕食の支度にかかる。懐かしい顔がある、大泉君だ、京都からわざわざ来てくれたのだった。吉岡もいる、彼と会うのは去年の集中山行以来だ。
 いつものようにいつの間にか宴会に突入している。すっかり暗くなった頃、もう来ないだろうと思っていた服部パーティが到着した。皆、大歓待しているがそれは手にぶら下げているビールのせいではないかと思ったのは考えすぎか。
 宴は何時まで続いたのかよく覚えていない。
 10月8日
 土肥さんは朝早く帰ると言っていたが私が起きた時にはもう居なかった。朝飯の後、全員で写真を撮った後で下山にかかる。一ノ倉の駐車場に車を置いてある者は車の回収に、残りは新道をぶらぶらと下る。マチガ沢の駐車場まで迎えに来てくれることになっていたがなかなか来ないので歩き始めるとすぐにやって来た。かなりの渋滞で身動き取れなかったらしい。
 湯桧曽で風呂に入り、食事の後帰途につく。
 ナルミズ沢は時間の都合で下流部を割愛してしまったので機会があれば再度訪れてみたいものだ。今回の集中山行は天候もまあまあで、集合場所も他に人が居なくて騒いでも迷惑をかけることもなくそれなりに良かったのではないかと思うが、ほとんど下山しての集合だったので行動時間が長くて結構辛かった、のは私だけかな。

〈コースタイム〉
6日 土合橋駐車場(10:15) → 白毛門沢出合(10:50) → 二俣(11:30) → コル(13:40) → 広河原(14:30)
7日 広河原(6:55) → 大石沢出合(7:30) → 魚止滝(8:15) → 稜線(11:00~11:25) → 登山道(12:25) → 清水峠(14:00) → 芝倉沢出合(17:25)

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