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富士山スキー滑降
菅原 康之

山行日 2002年5月12日
メンバー (L)菅原、井上、山沢、佐藤(明)、小山親子

 日本一の山、富士山。その富士山のもっとも高い剣ヶ峰から五合目まで大雲海を望みながらのダイナミックな大滑降を前々からイメージをしていたのでやっとこさ悲願達成(少々おーげさ)。

富士はやっぱり滑る山だ!

 5月11日土曜日、夕方に自宅を出発し武蔵境駅で井上さんを、調布で山沢さんを乗せて東名高速の海老名パーキングへ向かう。車内は明日のダイナミックな大滑降の話でにぎやかだ、こんなひと時が楽しい。海老名パーキングで佐藤明号と合流、佐藤明号には佐藤さんと小山親子が乗車している。これで6名全員がそろう。天気予報では明日はあまり芳しくなさそうだが、意外と五合目以上は晴れている場合もあるのでとにかく現地に向かう。しかし御殿場インターをおりるあたりから霧雨がふりだした。
 今晩の寝ぐらの高鉢駐車場に夜10時近くに到着、小雨の中素早くテント設営後宴会態勢へと突入する。
 時は変わって5月12日日曜日、昨晩の水分を出すべくテントから這い出ると雨はあがりまずまずの天気、ヤッター、予定どおり滑れるぞ、と思い、早々にテントを撤収し富士宮口の新五合目に向けて車をだす。
 九十九折に上がると富士山上部がよく見えてくるにつれて愕然となる。なんと雪があまり見当たらないのである。多少白い部分が見えるが大部分は黒々としている。やはり南面のためか早く雪解けしてしまうのだろう。この時期は北面の吉田大沢なら確実だったのだ。
 新五合目には我われと同じ目的の人たちが結構いて準備をしている。皆さん一応スキーは持って行くようだ。我がパーティーは、小山さん親子と山沢さんはスキーは持たず、井上さんは軽量タイプの山スキー、佐藤さんと私はテレマークスキーを一応ザックにセットして出発する。
 この富士宮口コースは最短で山頂に立てるそうだが、夏道をウォームアップがてらゆっくりと歩く。六合五尺まで上がると、眼下には何もさえぎるものが無く素晴らしい大雲海が見渡せ、また右側の沢状に、なあんと雪渓がバッチリとあり、それが上部まで続いておりスバラシク上機嫌になる。大きじ、小きじをすませこれからの期待に足どりも軽くなる。最初の鳥居をくぐると八合目に達する。ここまでの登山道はしっかりと整備されて迷うこともないが、ここより上部はすべて雪に覆われているので、キックステップで直登することにする。山頂直下の広い急斜面を今日一番のテレマーカーがバッチリターンをきめて滑り降りてくる。自分も心が逸る気持ちを抑えつつ、急斜面を斜登行ぎみに登り雪解けした階段を上がると、山頂の鳥居が迎えてくれる。
 富士山の山頂に立ったのはこれで5回目になるが、素晴らしい天気に恵まれたのは今回が初めてだと思う。感無量に浸りながら、しばし小山さん親子を待ち鳥居まできたのを確認してから、富士山のもっとも高い剣ヶ峰へと向かう。山沢さんと佐藤さんはブルドーザー道を利用して直接剣ヶ峰に向かったようだ。
 大きな爆裂火口を覗き込みながらゆっくりと歩を進めると、佐藤さんが剣ヶ峰から、狭い馬の背をゆっくりとテレマークターンをしながら滑り降りてきた。下で山沢さんがシャッターチャンスを狙っている。
 現在使用してない富士山測候所の観測用テラスにやっとこさはいあがる。ここより高いところは日本中どこにもないのである。しばし西風に吹かれながら大パノラマを満喫する。さて今回のメインイベントの大滑降に入るが、やはり高度の為少々息がきれる。スキーに靴をセットして待望の滑降に入るが、足元がおぼつかない。ちょっとぶざまな滑りで、佐藤さんの所に滑りこむ。気を取り戻して富士宮口下山路へスケーティングで向かう。山沢さんは足早に下り始め、また小山さん親子も下山をし始めたのを確認して私と佐藤さんも下り始めた。山頂直下は雪が少ないので、100メートル位降りた所から滑り始める。ワクワクする急斜面を大きくテレマークターンを描きながら、無心に滑る。振り返ると小山さん親子はアイゼンをつけて慎重に降りてくる。井上さんは九合目からスキーをつけて滑り始めた。山沢さんはグリセードで、佐藤さんは華麗なテレマークターンをきめ、みんな思い思いに楽しそうにくだって来る。山頂直下よりダイレクトに雪渓を滑ると、八合目でいったんスキーをはずして雪の無い登山道を200メートル位歩いて、また沢状の雪渓でスキーをつける。雪質はザラメでとても滑りやすい。いつの間にか辺りを包む霧の中、コールをしながら雪がきれる六合五尺を目指す。
 今回の富士山スキー滑降は、想像していたほど豊富な積雪ではなかったが、なんとか剣ヶ峰から六合付近までイメージしていた条件で滑れたので、自分としては満足な山行でした。速い人なら1時間位で下ってくるのではないかと思う。次回は吉田大沢あたりなんかどうかな・・・?


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