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久慈男体山と堅破山
さとう あきら
山行日 2002年5月25~26日
メンバー (L)佐藤(明)+子供、服部、鈴木(章)、飯塚、伊藤(め)、広瀬(昭)

 こんなところにたき火の跡があるよ。斜面なのによくやるね。あれっ、こちらも下草が焼けてしまっている。これって、山火事の跡じゃないの。
久慈男体山の登山口にて  なぜか他人のたき火跡には敏感に反応する三峰諸氏ですが、2ヶ月前に山火事があったと知って原因が気になります。登山者の不始末でなければ良いのですが。
 久慈男体山の頂上近くまで来ると焼け跡が点々としており、稜線上はもう無残なほどで、木々の幹はまっくろ焦げ。でも木の先端部分には若葉が生い茂り、その生命力に驚くとともに森は再生しつつあると安心しました。
 登り始めてから1時間。章子さん差し入れの特大メロンは、飯塚さんの背中に揺られ登山者だらけの男体山頂上に到着です。早速目立つ場所に陣取っての大休止。優越感に浸りながらのお味はますます良好でした。
久慈男体山の山火事跡  男体山から袋田の滝へ向かう縦走路は、雑木林の中をたどる特徴のない一本道。おまけに展望もほとんどないため、男性陣は下を向いて黙々と、一方の女性陣は騒々しく歩を進めます。リーダーとしては、振り返らずとも皆が付いて来ている事が分かってとても良かったけどね。
 この登山道は2万5千図上では稜線の西側にある事になっているのですが、実際はずっと東側についているのです。地図の破線は国土地理院の担当者が作成時に想像で書き入れたのですね。男体山の登りでも登山道の位置がずれているし、この図郭は特に出来が悪いようです。登山用のGPSの普及とともに誰でも位置が正確に分かるようになり、地図の信頼性問題が今後表面化して行くのでしょう。
 月居山(つきおれやま)まで来ると展望も開け、我々も観光客気分です。無人の月居観音の鐘楼では勝手に鐘を突くばかりではなく、鳴っている釣鐘の中に交代で頭を突っ込み、中央部では音が小さくなることを確認。アインシュタインが来日時に行ったと言う波動収束実験を我々も試してみました。
 ここから千四百段もの階段を下り、膝がくがくの状態で袋田の滝に到着。以前観光客を尻目に氷瀑を完登したという飯塚さんの武勇伝を聞きながら、遊歩道から滝を見物です。なるほど、観光客としても確かに尻しか見えなかったのだろうという傾斜に納得です。ここからは無料のバスで袋田駅に戻り、タクシーに乗り換え車に戻りました。
 その後、広瀬氏の待つ里美村の小滝沢キャンプ場へ移動し、ここでのたき火焼肉宴会となりました。

月居山山頂にて

 翌26日は堅破山(たつわれさん)へ。登山口へは峠越えの林道を走れば直ぐ、との見込みが予想以上の悪路に阻まれ、ハラハラ運転となりだいぶ時間を食ってしまいました。登山口の駐車場は広く、昨夜こちらに泊まれば快適だったと悔やまれることしばし。
 今日は愉快な広瀬氏も加わり、総勢7名の大部隊です。登山道に入ると間もなく堅破山七石のひとつ不動石が鎮座し、しめ縄を張った巨石の中央部より清水を垂らしているのです。これまた不思議ありがたや、と手水で身を清め、二日酔いの喉も潤していると、先回りしてバチあたりにも巨石に登った服部氏がここにホースが来てるじゃないか、などとご利益帳消しな事を言っているのでした。
太刀割石は予想外に大きい  一行気を取りなおし、たらたら登山道を上ると程なく弁天池です。周囲はコンクリで護岸補強され、中には金魚が一匹。代々伝わるありがたい金魚様なのでしょうか。ここより北西にトラバース気味に進むと、この山名の由来となった太刀割石に到着です。すっぱり割れた巨石がごろんと横たわる様はまさに驚き。裏側にかかったはしごから岩上に登り、しばしの休息となりました。
 ここから稜線をたどる事5分で、黒前神社の神楽殿の広場へ。こちらにもこじつけ名称の岩が並んでいます。甲石は中がくりぬかれ、学業成就の神様が祭られているとの事。佐藤息子がその旨お願いをすると、めぐみお姉様もやさしく一緒にお祈りをしてくれました。一方学業成就は遠い昔の話となった章子お姉様と陽子お姉様は、舟石の沈没しかけたへさきに立ちあがり、映画タイタニックのケイト・ウィンスレットさながらのポーズです。直ぐに転落してしまったのは、足場が悪かったからか、それともこの社の祭神である黒坂のミコトが貴殿には似合わず、と判断なされたのかは定かではありません。
 堅破山頂上には高さ10メートルの展望台が設置されており、その上でまたまた大休止。昨日に引き続き、飯塚さんは大きなスイカを背負って来てくれていたのです。早速包丁が入り、飯塚さんはたくさん食べてねとのやさしい声がかかるものの、展望台上の皆は特に配慮する訳でもなくどんどん早い者勝ちの様相で食べ進みます。スイカの種は、上から機関銃のようにブブブブブ。初物の余韻は、初夏の風とともにわきのヤブの中に吸い込まれていくのでした。
堅破山頂上でスイカ  下山途中、名勝奈々久良の滝があるとの事で、場所不明のまま行ってみることにしました。案内板に従って進むと、場所は駐車場の反対側の谷。現地に着いてみると、「おやつはカ~ル」に出てくるマンガのおじさんそっくりの人が滝壷の土砂を片付けていました。ご苦労様です。でも残念な事に、埋もれた滝は今一つでした。
 その後駐車場でそうめんの昼食後、風呂に入り西日暮里駅5時半解散となりました。

〈コースタイム〉
5月25日 大円地(8:50) → 久慈男体山(9:50) → 月居山(13:30) → 袋田の滝(14:40)
5月26日 登山口(8:40) → 堅破山(9:35) → 登山口(11:20)

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