トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ309号目次

岩登り講習会・三ツ峠
藤本 伸子
山行日 2002年5月18日~19日
メンバー (L)金子、服部、高木(敦)、四方田、小林(と)、高橋(俊)、天内、土肥、(河上)
日曜のみ: 小幡、中沢(佳)、藤本

 岩登り・・・。余りに本格的な響きに、半端な私がやってみていいものか、正直参加を迷った。でも年に一度の講習会。逃したら来年、逃しても来年、とジタバタする心と葛藤しつつ、覚悟を決めて参加した。
 土日2日間の講習をするため、金曜夜に皆さんは東京を出発。私は都合で、服部委員長のご協力の元、土曜の夕方現地合流という形を取らせて頂いた。最初から遅れをとり、痛い目に合うのでは・・・、と心配したが、土曜日は生憎の雨により、皆さん岩登りを断念。結果、私が逃したのは、金曜夜から延々と続いた盛況な宴だったようだ。
 翌日曜の朝は、好天。メットをかぶりハーネスを袋につめ、岩場に向かう。先日、初めてピッケルを手にした時も思ったが、こういう本物っぽい用具を手にすると、形だけの自分としては、なんとも気恥ずかしい。通りすがりの人の、感心した視線を背中に感じる時がたまにあり、そういう時はたまらない。初心者マークか、偽者ステッカーを背中に貼りたい気分になる。
 岩場に着き、思わず唖然としてしまう。はぁ・・・、絵に描いたような岩場じゃないか。講習会だから、それこそ下にマットでも敷いてある岩場もどきの練習場を想像していた。昨夏の沢登り講習会の緊張が蘇る。あぁ、甘かった。三峰を未だ理解していなかった・・・。
 経験者の皆さんは、いつも通りそれぞれで練習をするということで暫しお別れ。残ったのは、先日ルームを見学にきた河上さんという女性と私の初心者2名、そして会長、委員長、総務長のエライトリオと高木さん&天内さんだった。
 まずは、ハーネスの装着の仕方から教えて頂く。そしてロープの結び方。ルームの豆講座で何度かやった8の字結びだった。その場限りにしていたのに、やったことのある結び方は多少なりとも記憶に残っていて、自分でも驚く。豆講座はアナドレナイようだ。そして、セルフビレイ、支点の取り方、懸垂下降と一通り説明を受けた後、いざ出陣となる。
 一度とはいえ、昨夏の沢講習会にでているので、「あの時」よりかはスムーズに登れる。あの時は、靴底が全て乗らなければ足場と認められない状態だったが、今回はあの経験が生きている。沢講習の時も今回も、私を下で支えて下さった高木さんにその差が見えたかどうかは甚だ疑問だが、自分の中では確かに違いがあったのだ・・・。
 が、最初の一本も半分くらいで動けなくなる・・・。どこにも凹凸が見えない・・・。色々試し、長い休憩を取り、足もしびれ始め、「そろそろいいよ。よく頑張ったね」コールが下からかかるのを、ひたすら待つが、誰もそんなことを言い出す気配はない。それどころか、向こうも、ひたすら私が動くのを待っていて下さる構えだ。服部さんは、デジカメで撮影なんか始めている。長い時間の経過と共に、流石に申し訳無くなってきて、仕方がないので、エイヤっと超アンナチュラルで不安な一歩を踏み出した。すると、不思議な事に、登りきることが出来た。
 そんなこんなを河上さんと繰り返し、二人とも3本ずつ登った。3本でも、全身ぐったりして、もう手に力が入らなくなってしまった。河上さんは、登山経験も少ない初心者で、例会初参加がこの岩登りだとおっしゃっていたが、ひょうひょうとこなしてしまった(宴会にもしっかり馴染んでいた))。
 昼頃天気が怪しくなり、高木さん差し入れのメロンで講習を締めた。テントを撤収した直後雨が降り始め、三ツ峠を後にした。帰りは河口湖駅前のホテルの小さなお風呂で汗を流し帰途に着いた。
 岩登りは、想像通り、特別の経験だった。沢の講習の時と同様、身体も心も非日常的に動き、凝縮した濃厚な時間を過ごせた。怖かったけど、同時にとても楽しめた。初心者の岩登り体験にずっとお付き合い下さった金子会長、服部委員長、高木さん、四方田さん、みなさん、本当にお世話になりました。実態はどうあれ、これで私も岩登り体験者になれました。

 最後に、私の原稿ではめずらしく有益(多分)情報。三つ峠までの交通は、高速バスも使えます。新宿バスターミナルから河口湖駅まで高速バスで1時間40分弱。料金¥1,700。便数は1時間に1、2便あるし、インターネットで簡単に予約でき、便利です。

初めての岩登り

トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ309号目次