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名取川・大行沢(おおなめさわ)
金子 隆雄

山行日 2002年6月29日~30日
メンバー (L)金子、越前屋、中澤(道)、鈴木(章)、飯塚、高木(敦)、天城、(金澤)

 金曜夜に和光市駅に集合し、車2台で出発する。さすがに仙台までは遠く、途中の菅生SAで仮眠し、翌朝仙台南ICより二口峡谷を目指して西へ西へと車を走らせる。道が名取川に沿うようになるとやがて大行沢出合の駐車場に着く。20台くらいは駐車できそうな駐車場でトイレもあり夜中に到着しても泊る場所の心配はなさそうだ。橋のたもとが駐車場なので車を降りたらすぐに溯行開始できるという、車で来たらとてもアプローチが楽な所だ。逆に車を使わない場合はとても大変だろうと思われる。

6月29日 曇りのち雨
 駐車場にて沢支度をしてすぐ脇の橋の下より入渓する。ナメっぽい所を進むとすぐにゴルジュとなる。両岸つるつるでかなり手ごわそうだ。濡れる覚悟があれば楽に突破できそうだが入渓してすぐだし、天気もあまり良くないので水に浸かる気が起きない。戻って山道を通って捲いてしまおうという意見もあったが何となくこのまま行ってしまうことになった。
両岸ツルツルのゴルジュ、結構苦労したね  ゴルジュ入口の左岸には何とも頼りなさそうな荷造り紐がぶら下がっている。さらに所々のスラブにはステップが刻まれているが、これらを使ってもなかなかに厳しい。1時間ほど経って後ろを振り返るとゴルジュの入口がすぐそこに見えてがっかりする。後ろから二人組みのパーティーが続いているが彼らもゴルジュ入口付近で苦労しているようでなかなか追いついてこない。この男女二人のパーティーは土肥さんの知り合いということが後にわかった。
 5mほどの滝を左岸より捲くとゴルジュが終わる。このゴルジュの距離はたかだか150mほどしかないのに人数の多さもあってか2時間ちかくを要してしまった。
 左岸に小屋を見送り、滝をいくつか捲くと巨岩帯が始まる。巨岩帯はかなり長く続き、体力を消耗する。釣師を一人追い越す。いい加減に飽きてくる頃、左岸より京淵沢が出合う。樹林越しに大きな滝が垣間見える。すぐに2段8m滝が現れる。下段5mは落口に向かって右上する細いバンドを伝って登る。上段は倒木のため登りづらい左岸を登る。
 この先もう滝はなくゴーロとなる。少しだけナメが出てきて始まったかなと期待したがすぐに終わってしまう。カケス沢出合の手前辺りから本格的なナメが始まる。もうナメ、ナメどこまで行ってもナメの世界である。天気が悪くて暗いのが残念だ。陽が射し込めばもっともっと美しく見えるのだろうと思える。
どこまでも続くナメをひたすら歩く  充分にナメを堪能した頃ハダカゾウキ沢出合に着く。本流は樋ノ沢(とよのさわ)と名を変え、右に大きく曲がる。樋ノ沢とハダカゾウキ沢に懸かる滝が両門の滝を形成している。サラサラと水が流れるナメ状の滝はフリクションがよく効き直登できる。次の滝を登る前の左岸に樋ノ沢避難小屋があり今日はここに泊ることにする。
 当初の予定では小屋に荷物を置いて樋ノ沢を詰めて、また小屋へ戻ってくるはずだったが時間がなくなってしまったのでその予定は中止とする。2階建てのきれいな小屋で他に誰もいなくて我々だけの貸し切りとなる。小屋の周りは広くテントも張れる。水場もすぐ近くにあり最高に良い所だ。
 小雨が降っていたが早速焚き火を始める。今日の晩飯は越前屋さんが前々から一度沢でやってみたいと言っていた、秋田の郷土料理であるきりたんぽを作る。仕事の合間に杉材を削って作った棒まで持参しての気合の入れようだ。こんな遊び心好きだなぁ。焚き火で焼いて作ったきりたんぽは思いの外旨かった。コゲが混じって黒いきりたんぽもあったけど。この夜はさしずめ東北県人会といった様相であった。

6月30日 曇りのち晴れ
 今日は大東岳を経由して下山する予定であったが、昨日捻挫した足が思わしくない中澤さん、モンゴルで腰を痛めたという天城さん、そして大東岳へ登ったら体力が持たないという高木さんの3名は沢沿いの登山道を下ることになった。残る5名で予定通り大東岳へ登頂してから下山することになり小屋で別れる。
 樹林帯の中の登山道は風がなく、とても蒸し暑く蒸し風呂状態だ。休めばわんさか虫がたかってくる。そこでアッコさん、殺虫剤(虫除けじゃないよ)を撒き散らす。これが結構効果があってしばらくは寄ってこなくなる。「弥吉ころばし」という所まで来ると周囲も開けて傾斜も緩くなる。しばらく行くと藪に隠れている大東岳の看板を発見、ここが山頂かと思ったがちょっと様子がおかしい。大東岳からは南に進路を変えるのだが道は北に向かっているし、分岐も見当たらない。しばらくあっち行ったりこっち行ったりと探し回ったがどうもここは山頂ではないらしい。実際の山頂は更に15分ほど行った所だった。山頂にて大休止し、一気に下降にかかる。2時間強で車道に出て、車道を5分ほど歩くと駐車場に到着。
 近くの磐司山荘というところで温泉に入って帰路に就く。途中サービスエリアで夕食を食べ、東川口駅で解散となる。今日はワールドカップの決勝戦が行われる日で、皆さん後半戦ぐらいは見られる時間には帰れたのではないかと思う。

〈コースタイム〉
29日 出合(8:40) → ゴルジュ出口(10:40) → 京淵沢出合(13:30) → 樋ノ沢避難小屋(15:50)
30日 避難小屋(9:10) → 大東岳(11:10) → 駐車場(13:30)
大行沢溯行図
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