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集中山行 奥多摩・川乗山
その2 川苔谷・逆川
金子 隆雄

山行日 2002年7月20日~21日
メンバー (L)金子+剣、松尾、山口、天内

 土曜の朝、奥多摩駅に集合したのは松尾、山口、天内、金子、それと私の息子の5名。野口さんと駅で落ち合いザイルを渡す。野口さんらは来月の北又谷に備えて丹波川本流でトレーニングの後、川苔山へ来ると言う。「必ず来るんだよ」とは言っておいたが果たして来るかどうか怪しい雰囲気が漂っていた。
 臨時の東日原行きのバスに乗り、大勢のハイカー達と共に川乗橋で下車する。林道の入口はゲートがあって車は入れないようになっている。約30分で入渓点のカーブミラーのある場所に到着。30分歩いただけでもう汗まみれで早く沢へ入りたくて支度をするのももどかしい。
 踏み跡を辿って川苔谷に降りて本流を少し行くと下降して来る2人の溯行者に出会う。ん?なぜ、と思ったが言葉を交わすことなくそのまま進むとなぜ引き返してきたかが解った。目の前に現れたのは多量の水を吐き出す4mほどの滝。とても登れそうになく右岸を捲こうとするがこれもダメで少し戻った右岸のボロボロのルンゼを登る。そのまま捲いて行けるかと思ったがそれはできず上へ上へと行くしかなく結局林道に出てしまった。溯行図をよく見ると逆川出合までの間に滝などない、さては入渓点を誤ったかと林道を上流へ向かってみる。すぐに橋が現れ名前を見ると竜王橋とある。やっぱりこっちじゃないと引き返す途中で内山さんと出遭う。彼女は明日の日曜が仕事なので日帰りで川苔山へ登って帰ると言う。
 内山さんと別れまた同じ踏み跡を辿り川苔谷へ降り、今度は下流へ行ってみる。ゴルジュで水線通しには下降できず左岸を捲いて行く。4人の沢屋なんだか何なんだかよくわからないパーティーが先行している。10分ほどで左岸より流入している沢に出合う。これが逆川かなと思ったが、逆川にしては水量が少なく貧相な感じがする。これも違う、ということでまたもや逆戻り。いったい逆川は何処へいってしまったのやら。
 再度上流へと行ってみると大岩に隠れるように流入している逆川がすぐに見つかった。右岸の大きな岩を乗り越して行くときに見落としてしまったようだ。かなりの時間をロスしてしまった。
 逆川に入りしばらくすると2段11mの滝が現れる。下段はシャワーをもろに浴びて直登、上段は水量が多くて登れず左壁の残置シュリンゲを利用して落口に立つ。小滝、ナメ滝をいくつか越えて行くと小ゴルジュの中に3m、4m、4mと滝が続く。ここは右岸を捲いて行く。山口さんは果敢にも釜の中を首まで浸かってへつり、直登しようと試みるが敢え無く釜の中へドボン、結局捲くことになる。
 2時間15分で大ダワ沢出合に着く。林道手前の10m滝は右岸を捲く。林道は気がつかないまま通り過ぎてしまったようだ。二俣を左に入ると5m滝、20m滝と続く。20m滝はザイルを使い水流の右側を登る。滝はこれで終り、最後の二俣となる。左は水が流れ、右は水が涸れ急峻だ。素直に左へ行けばいいものを右のほうが川苔山に近いだろうと右の沢へ進んだが、これは選択ミスだった。最後は3歩登っては2歩ずり落ちるような蟻地獄状態に陥ってしまった。ヘロヘロになりながらようやく平坦な所に上ると、そこは川苔山から南東に派生する支尾根上だった。そこから2~3分で頂上直下の登山道に飛び出した。
 集合時間に25分遅れで川苔山に到着したが、菅原さん一家と布滝沢を溯行してきた藤井パーティーが到着していて我々は3番目だった。
 山頂にて一杯やりながら他パーティーの到着を待つがなかなかやって来ない。だいぶ遅れて服部パーティーが暑さのためヨレヨレになりながら到着する。
 小堀パーティーと鈴木パーティーがまだ到着していないが、暗くなりかけてきたので東側に少し下った小屋前で宴会体勢作りに入る。我々はテントがないのでタープを張って寝ぐらとする。すっかり暗くなってから小堀パーティーが到着する。この頃、私はもうあっちの世界へ片足突っ込んだ状態だったので、後のことはほとんど覚えていない。
 翌日、朝早く下山した者を除いて全員で鳩ノ巣へ下山した。この日も暑い一日だった。

※「奥多摩・大菩薩・高尾の谷123ルート」(山と渓谷社刊)に記載されている逆川の溯行図中、最後の二俣先の5m滝と20m滝の位置は逆です。

〈コースタイム〉
20日 逆川出合(10:40) → 大ダワ沢出合(12:55) → 川苔山(16:25)


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