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集中山行 奥多摩・川乗山
その3 入川谷・本谷
鈴木 章子

山行日 2002年7月20日
メンバー (L)鈴木(章)、植村親子、勝部

 なぜか今回も我パーティーのみ前夜発。西国分寺に0時集合、24時間営業のスーパーを探しながら、気がつけば古里の駅。翌朝買い物することにして、そのまま車の中で蚊取り線香を焚きながら眠りにつく。夏の朝は早い、6時を過ぎると暑くてもう寝ていられない。駅前に八百屋とコンビニエンスストアーがあるのを発見。近くの家のおばちゃんに、八百屋は何時に開くのか、山に行くには食べるものが心細いなど相談すると、なぜかもぎたての胡瓜を2本くれた。あとで合流したヨー子ちゃんに1本上げたら、「アッコサンまたやったの!」といわれてしまった。これは一体どういう意味なんだ。私は正規なルートで貰っているのだし、おばちゃんはとれて困っていると言っていたのにー。
 8時半、買い物も終わり小掘隊と合流。一路「沢の出合」に、とは行かなかった。先日の二つの台風の爪痕らしき土砂が2~3ヶ所あり、出合手前でやむなく車を降り徒歩で出合まで行く。
 出合から「トバノ倉骨」の難所、左に登山道。登山道になぜか惹かれるが、しかしここ以外は難所はないと、8名飛び込んでは見たけれど、濡れない努力が涙ぐましい。
 その後 布滝沢まで流れは平凡だった。我々は遅れ気味なのでここで小掘隊と別れ休んでいると、藤井隊が追いついてきた。彼らも布滝沢(のみ)を登るとか。暫く会話したのち、我パーティーはこのまま本谷をつめると小掘隊への伝言をお願いして彼らと別れた(最初の予定では、小掘隊と同じルートを行く予定だった)。
 今日は特別水量が多いのか、中々手ごわい沢だ。至る所に淵が。出来るだけ沢に沿って進む。今日は暑いので助かるが、それでも腰まで浸かると悲鳴の一つも。大高巻きは2箇所、「銚子滝(10メートル)」、「速滝(2段30メートル)」これが非常に手強い。落石、高度感とも素晴らしい。ヘルメットを全員持ってこなかったことを後悔する。皆さん沢には必需品です。速滝上部のスラブ帯、古い虎子ロープが「ここだよ、ここだよ」と呼ぶ。そんなことは信じず、自分でロープを張りましょう。
 最上部から少し降りたところで懸垂下降をして滝の上部に出る。最上部から小掘隊が上ってくるのが確認できたが中々出会えない。彼らも苦戦しているようだ。
 滝を登り終えると沢はまた平凡になる。しかし一体これが初級の沢かと疑いたくなる。我々はこの時点でもまだ初級と信じていた。後日飯塚さんに中級と聞いてギョッとした。まあ何と恐ろしいことを、知らないって何でも出来るのね??
 いよいよ最後の黄涸窪沢は高度を増す。左側にはわさび田跡。このわさび田跡が中々の曲者。石を重ね易いように石にわざと角をつけてある。わさびを作っているときは苔、砂などがついて安定感があるが、ひとたび廃田になると非常に脆い。これに注意しなかった我々にも落ち度があった。突然一抱えもある石が勝部さんの左人差し指にゴロン。本人が「折れた!」と落ち着いた声。すぐ止血、応急処理をして仕事道まで上がり小掘隊を待つ。後100メーターでゴールだったのに気の緩みだったのか、とても残念だ。山頂で勝部さんにタラフク酒を飲ませてあげたかった。同窓会みたいな連中と。そして頑張ったリョウイチロウ君(息子)には西瓜をタラフク。やりたい事はたくさん有ったのに。
 小掘隊と合流後、事故の件を伝え、鎮痛剤を貰ってそのまま下山、病院へ。
 指の骨折のみで済んだと人は言うけれど、一緒に行った者としては辛いものがある。危険なことをしている以上事故は付き物、しかし出来れば避けて通りたい。
 今回もまた反省と非難(後悔)が山のよう。何時になったらパーフェクトの山登りが出来るのだろう。なやみは尽きないな~。

〈コースタイム〉
7月20日
入渓(9:30) → 布滝沢出合 → 銚子滝上部(13:30) → クマタカ沢出合 → 速滝 → 深い切れ込みの沢(15:30) → 仕事道(小掘隊と合流) → 鳩ノ巣方面分岐 → 沢出合(駐車場)(18:45)


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