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集中山行 谷川岳・二俣
その3 蓬峠~茂倉岳~トマノ耳~二俣縦走
天内 基樹

山行日 2002年10月12日(土)~14日(体育の日)
メンバー (L)服部、天内、(古野)、(13日合流)内山

10月12日(土)
 今回は、土合まで車で行き、そこから電車で土樽へ行くという方法をとった。それで、土合発9:59の電車に遅れないよう、6:30に八王子に集合し、服部さんの車で出発した。そのおかげで三連休の初日にもかかわらず、特に渋滞にまきこまれることもなく、割合スムーズに土合に着くことができた。しかし、土合駅前の駐車場はもうほとんど満パイ状態だった。
 土合の長い階段を下る。20年前の空気がそのままあるような、気がした。
 到着した列車からは、思ったより多くの登山者が降りた。今でもそれなりに利用者がいるのだと思うと、JR関係者ではないけれど、少しばかりうれしい気持ちになる。
 車内で土樽までのキップを買う。230円。土樽でも何組かの登山者が降りた。
 天気のいい林道をゆっくり歩く。逆光で白く輝くススキがきれいだ。右の大きな山は茂倉岳、前方には蓬峠付近のゆるやかな稜線が見える。その笹の斜面が、時々銀色に波打ち、かけ上がっていく。
 風の姿か。
 道は何度か小沢を横切るので、水の心配はない。水場はだいぶ上、もう稜線に近い所にまであった。しかしキャンプ場にはないので、ここで充分くんでいった方がいい。
 2時半頃蓬峠に着いた。キャンプ場には一番乗りだが、管理人のいる小さな小屋は、予約で満員で、もう泊まれないとか。幕営料一人300円払う。トイレも有料(100円)。
 キャンプ場は眺めがいいが、その分風も強い。大きな石などほとんどないので、ぺグを持参した方がよさそうだ。
 テントを張り終わってもまだ3時なので、私一人、七ツ小屋山まで行ってみることにする。こちらは人が少ない。途中、反対方向から来た単独の女性が、私を見て、ほっとしたような顔をする。ウェストバッグだけの私を見て、小屋が近いと思ったのだろう。白毛門の方からでも、縦走してきたのだろうか。
 4:30頃キャンプ場に戻ると、十数人と思える中高年のグループが、ちょうど体操をし終わって、小屋に入っていくところだった。たしかに小屋を予約しておけば、遅くなっても安心だが、泊まるつもりで早くについて、ことわられた人達は、ガッカリするだろうなあ、と思う。そういう時はどうするのだろう。状況にもよるだろうが。
 彼らは翌朝も、早いうちから体操をして出発していった。先月にも早朝からかけ声を出し体操していた20人くらいの中高年のグループがいたのを思い出した。彼らも出発が早かった。私たちが遅いのか。感心だ。見習うべきなのだろう。
 テントもだいぶふえ、10張り以上ある。
 夜、星がきれいだが、風も強く、シュラフカバーだけの私は、少し寒かった。
10月13日(日)
 5時起床。今日もいい天気だ。6:30出発。その頃にはもう2、3張のテントしか残っていなかった。山で晴れた朝をむかえるのは全くひさしぶりだ。8、9月の山行はずっと雨に降られっぱなしだった。前方には、これから越える武能岳が朝日に輝いている。笹原は、まるで人間がていねいに刈りそろえたようにきれいに整っていて、遠くの尾根はビロードにおおわれているようだ。
 遠くの山々もよく見える。すぐ向かいの朝日岳や笠ガ岳の大きな山塊の右奥は、上州武尊か。その間、遠くに見えるのは、形からして燧ケ岳だ。ずっと右に眼を向けると、日光白根山や皇海山も見える。
 左の方には、巻機山、すると、その右奥の大きな山は中ノ岳と越後駒だろう。その右にも多くの山々が見える。荒沢岳も見えているのではないか。左側の山々は、白砂山につながる山々だろうか。
 ここのところ谷底ばかりはいずりまわり、テントも展望のきかない林の中、という山行ばかりだったので、こういう明るい稜線でむかえる朝はすがすがしく、新鮮に感じる。縦走もいいなあと思う。(天候がよければ、だけれど)
 しかし、紅葉はあまりよくない。去年の今ごろ歩いた服部さんも、去年の方がいいという。そういえば、服部さんをリーダーに、藤本、内山、伊藤(め)さん達は、トマノ耳から清水峠、そして白毛門と縦走し、さらにそれから芝倉沢までの長い道を歩いたのかと思うと、大したものだなあ、随分力がついたのだなあ、と、感心してしまう。
 柴倉岳山頂からは深く切れ込んでいる万太郎谷が見える。紺野パーティーはどの辺にいるのだろう。あんな深い谷底を人が登っているのかと思うと、ちょっと不思議なかんじだ。(ものずきというか)
 それと、万太郎山でなく、遠く離れたトマノ耳の方につきあげているのに、万太郎谷本谷というのも、変わっているなあ、などとも休憩中思う。
 古野さんはとてもしっかりした足どりだけれど、服部さんは腹の調子がおかしいとかで、遅れがちだ。今日天神尾根から登ってくる内山さんと、トマノ耳で待ちあわせているので、心配しているといけないからと、私が先行することになる。
 オキノ耳に近づくにつれ、どんどん人がふえていく。オキノ耳はすごい人だ。ここは山の上なのか、それともまちがって観光地に降りてきてしまったのか。
 内山さんとはオキノ耳の少し先で出会うことができた。人が多くあやうくすれちがうところだった。
 これで一安心。4人でトマノ耳へ。
 ここもこぼれ落ちそうな程の人、人、人。
 肩の小屋わきの簡易トイレには長蛇の列。
 まさに花見時の公園のよう。
 早々に下山するが、ここも大渋滞、なかなか進まない。
 ふと、モート―の声、天狗ノ腰掛岩のところにヒツゴー沢を登ってきた小幡、野口、土肥さんがいる。
 小休止後、いっしょに下るが、大渋滞に相変わらず、遅々として進まない。やっとの事、いわお新道へ。とたんに人はいなくなる。私達だけだ。ヒツゴーパーティーはあっという間に見えなくなった。こちらを下る人はめったにいないのだろう。それでガマンできなくなった人達が、こちらに降りて用をたすのだろう。道にはティッシュペーパーが散乱していた。今も立ちションしているおじさん一人。
 キャンプ場のマークのある二俣は、それらしき広い所はなく、河原におりると三峰のテントが二つ張られていた。私たちが最後だった。
 野口パーティーは何と、七輪でイワシを焼いていた。私達のパーティーも内山さんが運んできた、フカヒレスープ、スパゲティ―、ウインナー、チキン、など豪華な食事を楽しんだ。生卵や白菜、ワカメなども持ってきていた。(とてもおいしかったです)小幡さんは酒が足りないと、買い出しに行き、予告どおり18時に戻ってきた。
 食事後、私達縦走組は早々に寝てしまったが、沢組は焚き火を囲み、夜遅くまで歌ったりして、もりあがっていた。
 昨夜と違い、暑くてねぐるしい。
 深夜、一定の間隔で、遠くでゴオーという音がして、しばらくすると、テントがバタバタッと激しくゆれるという、間欠泉のような風が吹いた。
10月14日(月)
 朝、おきて外に出ると、どんよりしたくもり空。朝食後全員(といっても10人)で記念写真を撮り、7時頃下山開始、先行した野口さん達に車をもってきてもらい、谷川温泉奥の登山口駐車場から車で湯テルメへ。そこで解散。各車に別れて帰京。

あれが風の姿か・・・
〈コースタイム〉
12日 土樽発(10:15) → 林道終点の少し先で一本(11:13~11:20) → 東俣沢出合(11:50~12:00) → 蓬峠(14:30)
13日 蓬峠発(6:35) → 水汲み終わり水場分岐発(6:55) → 武能岳(7:40~50) → 茂倉岳手前のピーク(9:00~20) → 茂倉岳(10:00~20) → 一ノ倉岳(10:45~55) → オキノ耳とトマノ耳の間で内山さんと合流(12:30) → 二俣(16:30)

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