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相馬岳北稜
紺野 康則
山行日 2002年11月16日~17日
メンバー (L)紺野、越前屋、小幡、高橋(俊)、鈴木(章)、小林(と)、土肥、中館

 前夜11時、東所沢駅に集合。越前屋さんと高橋(俊)君の車で出発。約2時間で松井田妙義I.C.に到着。とりあえず仮眠する場所は、前に明さんと来た事のある裏妙義登山口の駐車場が良いと思っていたので、ここにテントを張ることにした。ここはトイレも有り他に車もないことから静かで気分が良い。

 明朝、取付へ向かうべく車で出発。中木ダムの橋を渡り、右へカーブしながら林を抜けると少し開けた所へ出てしまう。これでは行きすぎである。少し戻ってあたりをチェック。このあたりは取付をまちがえるととんでもないところに出てしまうので要注意なのである。程なく越前屋さんが相馬岳北稜と書かれた小さな赤テープを発見。ここだろうということになり、車を一台デポしに行ってもらった。
 出だしから急な坂道で足が攣りそうになりながら小ピークにたどり着く。そこから踏み跡をたどりバンドややせた尾根を越えて行くと40m程の深いギャップに行きあたる。懸垂するか迷ったが、高橋(俊)君が少し戻ったところで妙義湖側へ下る枝尾根を発見。ギャップの底へ下ることができた。さらに右からまわり込む様にフェースを登り、バンドをたどるとまた30mぐらいのギャップとなる。ここも少し戻って15m程の懸垂で下る。
 右から急な砂の斜面を登り尾根上へ出る。林の中のうすいヤブを通り、トンネルの様なえぐれた岩の中を抜けると眺望が開けた尾根上に出る。(ここにテント2~3張、張れます。)
 さらに少し行くと小ピークに着く。岩峰のむこうにハサミ岩が見える。うっすらと踏み跡のある急なつつじのヤブの中を登って行くと890mの北峰の頭に到着することができた。
 テントが2つ張れると聞いていた北峰のピークは思ったより狭い。さっきの広い尾根まで戻るかとも考えたが、この急な尾根をヤブにしがみついて戻るのはリスクがある。結局、このピークに2つテントを張り、多少いびつだけどまあなんとかなるでしょう、と中に入り押し合い圧し合いしながら、わいわいガヤガヤといつも通りの夜となった。
 明朝、起きると夜半に小雨が降ったのか少しテントが濡れている。空はどんよりとして肌寒い感じである。むこうのテントでは「いやー、中館さんに蹴飛ばされて一晩中テントの端にしがみついてた」などと言っている小幡さんの声がする。
 朝食をすませると気合いを入れて出発。すぐに深い、深いギャップを挟んで間近に切り立った南峰が見える。約20mの懸垂で両側が切り立ったコルに到着。
 このコルは狭いので5人程上で待ってもらうことにした。越前屋さんがリードで急なヤブを10m程登ると垂直の壁に行きあたる。リスにハーケンを打つがスカスカした音がする。その上はリスもなくかなり悪い。さらにその上は細いリッヂになっていて8人が通過するにはかなり時間がかかりそうである。越前屋さんは「小さいフレンズがあればなんとかなりそうだ」と、苦戦を強いられている。上の方からは「右へ行け」だの、「左はどうなの」など喝がとぶ。
 結局、コルに戻って右から大高巻きしてみようという事になった。このコルから30mの懸垂下降で下に着き、皆が懸垂している間、紺野と小林(と)さんで偵察に行く事にした。さらに下へどんどん下ると果たして赤テープの付いた枝尾根はあった。「やった!」と思ってこのもろい岩のやせた尾根に取り付くと10分程で稜線近くまで登ることができた。しかし、ここから30m程の絶壁に行きあたってしまった。「うーん、ダメだね・・・」
 戻ると皆が枝尾根の基部で待っていてくれた。残念だけど今回はあきらめよう。やっぱりさっきの所を登るしかなかった様だ。今度は、装備も心の準備もしてまたトライしよう、などと話し合う。
 下りは沢ぞいの道をまっすぐに下りて行く。一ヶ所、15m程の懸垂下降をして国民宿舎のすぐ近くに下ることができた。
 今度こそ登るぞ!と心に言い聞かせて。皆さん、御苦労様でした。また、頑張ろうね。

〈コースタイム〉
16日 取付(7:25) → 北峰頂上(14:30)
17日 北峰(7:30) → 国民宿舎(14:10)

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