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榛名山・二ツ岳、相馬山、おまけで三ッ峰山
服部 寛之

山行日 2003年5月3日~4日
メンバー (L)服部、大久保、菅谷、井上、伊藤(め)、土肥(3日のみ)

第2848回掃部ヶ岳のつづきである。
 前回、榛名におけるとんがり山(相馬山のことね)の真実に気づいてしまったことから、今回の山行となった。
 当初は初日に水沢山経由でとんがり山を東から西へ縦走してその真実を追究し、翌日は子持山に登り、お風呂に入って帰るつもりだった。
 だが、直前になって足元慎重派の内山さんから下調べ情報がもたらされ(謝謝!)、予定ルートは一部が崩れてもっか閉鎖中であり、行って行かれないことはなさそうだが、ぼくの脚長×体重では途中の岩場がキビシイらしいことが判明した。
 そこで、初日だけ予定を変更し、とんがり山の調査は西側からピストンで敢行することにして、その後外輪山を天神峠まで散策して榛名湖バス停に下りることにした。
 ところが。
 連休中日の3日は天気が良く、都内から脱出するクルマが大量に発生し、関越道は早朝から大渋滞。ぜんぜん流れない。高速道路が狭すぎるのか、クルマが多すぎるのか・・・。休日のドライブはちゃんと事前に計画書を出した山パーティーしか許可されないといったキビシイ対策が以前から求められているのに、政府はおよび腰でぜんぜん実行しない。経済的失政を重ねる前にやるべきことをやってもらわねば困りますね・・・・・・、自民党はもっと山ヤの票を大切にしたらどうなんだ・・・、たくっ・・・と、ぶつくさ思っているうちに時間はどんどん流れ、一方クルマはぜんぜん流れず、リーダー兼運転手の気はあせるのに、最後列の約二名は余裕の境地でおしゃべりに夢中・・・。この違い!☆
 そんな調子で榛名にたどり着いたらお昼になってしまった。ゆっくりとんがり山の真実を調査する時間がなくなってしまい、また土肥さんも日帰りせねばならないので、予定を変えて二ツ岳をグルッと回る(P→雄岳→雌岳→オンマ谷→P)ことにした。
 二ツ岳はとんがり山の北隣にあるぼてんとした山だ。駐車場へはヤセオネ峠からぐいんと谷底へ下りてゆく。駐車場はどんづまりに4~5台のスペース。すぐ脇にトイレ有り。
 まずは雄岳に上がる。登山道の南側には相馬山が絶壁を見せてそそり立っている。ここから見ると、いったいどこから取り付くんだ!といった山容だ。お日柄も良く、ちょいと汗ばむような陽気に、途中で一本入れながらぶらぶらと50分で山頂エリアに到着。若者パーティー約10名が先着していた。NHKだかのでかい中継施設があり、本当の山頂はその横の岩の堆積の上だった。小さな石祠がある(1343m)。展望は良いが、足元が不安定で気持ちまで不安定になるのですぐ降りて、中継施設の裏手で休憩とする。すると、土肥さんのザックから程よく冷えたビールがでてきた。三峰にはビールをみると理性がぶっ飛び、条件反射的ににやけてしまう向きが多く、「人生、山とビールだ!」を実践している達人もいる。従って、土肥さんの行動も三峰会員としてツボを心得た適確なものではあったが、しかし、残念ながら今日のメンバーはもう少々上品であった。ありがたく気持ちだけまわし飲みする。(注:「上品」というのは四捨五入しての話である。)
 次いで、東隣りの雌岳に向かう。30分で到着。こちらは東側が開けていて、当初登る予定だった水沢山がすぐそこに見える。均整のとれた三角形をして、芽吹き前のまだ茶色い景色のなかにすっくと立っている。少々休み、写真を撮って次なるオンマ谷へとくだる。
 オンマ谷は、二ツ岳と相馬山の間の谷で、土肥さんの情報によれば夏でも涼しいところらしい。一旦下までおりると平らな地形がつづき、幅は狭いがきれいな谷だった。駐車場に看板が掲げてあった風穴とやらはどこかいなと探しながら行くと、本日のコースの最後、駐車場を見上げるところにあった。雄岳の斜面が谷に接するところにできた石の積み重なりの隙間から冷気が出ている。覗くと氷が見える。富士山の風穴のように人が入れるくらい大きなものを想像していたので、ちょっとがっかり。しかし夏場、ビールとトマトを冷やしながらのんびりするには恰好の場所だ。
 クルマに戻ると次は風呂。2月に行った榛名湖畔のゆうすげ元湯のもう一軒の方に行くことにする。施設的にはこちらの方が断然大きくてきれい。連休中だけにさすがに混んでいて、かろうじて駐車場に停める。1時間1本勝負で600円だった。前回は400円だったが、200円高くてもこっちの方が満足感は高かった。その日はそれから土肥さんを伊香保温泉のバス停まで送り(渋川駅行き始発が結構出ている)、そのついでに酒を買い出し、榛名に戻ってキャンプした。(参考:酒は伊香保の温泉街のずっと下のコンビニまで行かねばならなかったので、注意が必要である。)
相馬山ヒミツ調査隊のメンメン  4日は、予定では子持山に登るつもりだったが、それはやめて昨日行かれなかったとんがり山のコースに行くことにした。沼の原の駐車場にクルマを停め、まずは磨墨(するす)峠に上がって相馬山を往復する。沼の原から磨墨峠まではわずかな登りである。峠からとんがり山へ攻めてゆくと、林の中に小さな鳥居が出てきて、額束には「相満山」と掲げられていた。やがて本峰の基部に出るともうひとつ鳥居があり、そちらは「相馬山」になっていた。きのう二ツ岳から仰ぎ見たときは結構登るのがしんどそうに思えたが、この西側のコースはよく整備されていてそうしんどくもなかった。長い鉄梯子がでてきて、それを登ると間もなく山頂だった。驚いたことに、山頂には神社の拝殿が建っていた。サッシの扉を開けてみると立派な祭壇があった。看板によると、ここは大山津見神(オホヤマツミノカミ)を祭神とする黒髪山神社といって、以前は「延喜式内の古社たる榛名神社の末社で石祠」だったそうで、この場に本殿・拝殿が建立されたのは明治16年とか。拝殿の脇は一段高いマウンドになっていて、そこには大きな灯篭が立っていた。実は、拝殿の扉を開けるときにわたくしは目撃してしまったのだが、この拝殿脇のマウンドには体長一千mmを越える大蛇が棲んでいる。大蛇はぼくを見るなりあわててマウンドの中にするすると姿を消したのだ。あわてた訳は不明だが、フトドキな登山者から拝殿を守っている眷属かも知れない。頂上の展望は南側が開けていた。東側の登山道は下り口の手前にロープが張られふさがれていた。尚、ペーパー抱えてトイレ調査に赴いた大久保氏の報告によると、トイレは空中懸架式で、ザイルによる確保なしでは安心して踏ん張ることはできなかったとのことであった。引っ込んでしまって引っ込みがつかなくなった本人には苦悩の表情が浮かんでいたが、しかし初志貫徹できなかったのはザイルがなかったからではなく本人の修行が足りなかったからだ、というのが大方の判断であった。神社名が黒髪山というのも巡り合わせが悪かったのかも知れない。するとそこへ後からひとり登って来たので、その人に頼んでシャッターを押してもらって、とんがり山の調査を終了した。
 磨墨峠に戻り、引きつづき外輪山の尾根を縦走する。峠付近には磨墨岩という黒っぽい岩がにょっきり生え出ているが、ここには登らずパスする。松之沢峠を見下ろすところは視界が開け、ベンチが設けられていた。松之沢峠で一旦車道に下りて登り返す。尾根に出たところがカヤトが開けてベンチがあったので、そこで一本にする。ポカポカして風に吹かれると気持ちよかった。うちらの他にも稜線にはハイカーがそこそこ歩いている。
 再び腰を上げてやや行くと、長~い木製階段の上りとなった。途中で中高年の高の部の人々のパーティーと往き合う。ふうふう言いながらやっと登りつくと、そこには「←三ッ峰山」の標識が。当然我がパーティーとしては無視することはできないので、急遽頂上に挨拶しに往復することにする。空中トイレで修行が足りなかった大久保氏は「えーっ、行くのォ?」とぐずったが、修行不足の反省からか、本人はついてきた。結構な急登のふみあとが続き、ここは踏ん張って登らねばならないが、大久保氏の場合はあまり踏ん張るわけにも行かず、踏ん張り具合が難しいところだ。これも修行か。何度か期待を裏切られながら20分ほどで山頂に到着。三ッ峰山の頂上は、樹林に囲まれ小さな石祠が祭られた静かなピークだった。
三ッ峰山・同名のよしみで登りました  先ほどの標識まで戻り、広い尾根道を七曲峠に下る。ここにも車道が通っている。少し登り返した尾根上で、何人かに疲れが見えたので、今日のハイキングはここで打ち切ることにした。湖畔の道路へ下りて沼の原の駐車場へと戻った。
 お風呂は帰り道の伊香保で寄ることにして、昨日の酒の買出しのとき目にした「スパ・グランド」というところへ行ってみるが、料金表示はなんと1300円。法外な値段にぼくは思わず「お風呂入るだけでも1300円なんですか?」とフロントのお姉さんに聞いてしまったが、まけてくれる気配は皆無。そこで風呂は一旦あきらめたのだが、すぐ前に「ベルツの湯」というのがあったので、ここも高そうな雰囲気だか料金を聞くだけならタダだと主張する大久保氏の意見に従って行ってみると、今日は機械の故障で打たせ湯等が使えないので通常1350円のところ850円だという。即決。聞いてみるものだ。ここの風呂はそれなりに良かったが、1350円ならもう行くことはないだろう。
 今日の最後は水沢うどんでシメることにしていたが、水沢方面の道が混んでいそうなのでそっちは敬遠した。すこし下るとお土産屋と食事処がくっついた大きなドライブインみたいなところがあったので、そこに入る。ぼくはざるうどん税込み500円也を頼んだが、コシが強くてすごく旨かった! 風呂とうどんの連続ヒットでついていたのだ。
 帰省帰りの大渋滞につかまる前に練馬高野台駅に戻って解散。お疲れさんでした。

〈コースタイム〉
3日 二ツ岳西側P(12:25) → 休(12:50~13:00) → 雄岳(13:15~30) → 雌岳(14:00~20) → 休(14:50~15:00) → P(15:30)
4日 沼の原P(7:10) → 相馬山(8:10~25) → 松之沢峠の西側稜線(9:35~45) → 三ッ峰山(10:20~30) → 七曲峠(10:50) → 沼の原P(11:20)

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