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大源太川七ツ小屋裏沢
金子 隆雄

山行日 2003年6月29日
メンバー (L)金子、紺野、越前屋、高木(敦)、田代、天内、小林(と)、高橋(俊)、土肥、橋岡

 もう6月末だというのに今シーズンはまともな沢登りは今回が初めてだ。だいぶ出遅れている気がする。今回もまたまた大所帯だ。いったい何を期待してこんなに集まってくるんだろうと、最近私は不思議に思っている。
 七ツ小屋裏沢は日帰りのルートだが、夜行日帰りで寝不足のままではきついので前日のうちに出合い近くまで入っておいて、しっかりと睡眠をとってから行こうという魂胆で土曜の正午に東所沢に集合した。午前中降っていた雨も赤城高原辺りで上がって、晴れ間ものぞくようになっている。梅雨の真っ最中なので晴天は期待していないが晴れるにこしたことはない。越後湯沢のスーパーで宴会用の、いや夕食の材料と酒を仕入れて宴会場、いやキャンプ地へ向かう。
 大源太キャニオンのキャンプ場への道から分かれ、登山口の道標がある所から細い道へと入り込み、しばらく行くと行き止まりで、そこが駐車場になっている。山菜採りの人達が丁度戻ってきたところで、「沢は雪に埋まっている」という有難くない話を聞かされる。
 駐車場周辺はテントを張るには狭く、他の車が来たら邪魔になるので河原に降りてキャンプすることにする。焚き火もできるし水もすぐに確保できる。すぐに焚き火の準備も整い、しっかり睡眠をとるという当初の目的もどこかへはじけ飛んで、果てしのない酒宴へといざなわれていくのであった。
 29日、雨。やはり寝過ごしてしまった、そしてまたお約束の二日酔いである。急いで朝飯を詰め込んで、テントを撤収し、昨夜一人遅れて到着して車で寝ていた田代を加え、総勢10名で予定より1時間遅れて出発となった。
 大源太山への登山道をしばらく歩いて、登山道が北沢を渡る所から沢に入る。七ツ小屋裏沢は北沢最大の支流であるが2万5千の地形図に沢名の記載はない。エアリアマップにはシシゴヤ沢と記載されているがこれは誤りで、シシゴヤ沢はシシゴヤの頭付近から流下する、それと気付かないまま通り過ぎてしまうような貧弱な沢だ。裏があるなら表もあるはずだが、北沢本谷の更に上流の三俣のうち一番右の沢が七ツ小屋沢で、七ツ小屋山へ詰め上がっている。また、稜線の反対側の湯檜曽川にも七ツ小屋沢があるのでややこしい。
 北沢本谷は困難な所もなく、3m程の滝を左岸をへつって越えると七ツ小屋裏沢の出合いとなる。雨のため水は濁っているが水量は多くはない。流程の短い沢なので増水の心配はしなくてよさそうだ。4mCS滝を左岸から捲いて懸垂で降りてみるが、その先には雪渓があり状態が良くないので、更に三つの滝をまとめて捲いて滝上に立つ。途中の草付きのトラバースが嫌らしかったのでザイルを使った。
F4滝  この先も所々に雪渓が残っていたが溯行の障害になるものではなかった。やがて3対2の二俣となる。溯行図ではその前に1対1の二俣があるはずだがそれは確認できなかった。地形や水量、方角など総合してみると左が本流と思えるので左俣へと進む。ゴルジュ帯は終わったと安心していると10m程の滝が現れる。脆そうな滝で一見して登ることは不可能とわかる。捲きは右岸で、ズルズルの草付きを慎重に登って潅木帯に入る。かなり上まで登らないとトラバースできないので結構大きく捲いて沢に戻る。
 この先はもう滝はなく源頭の様相になる。太くて形の良いウドがたくさん出ていたので採りながら行く。雪渓の残る最後の二俣を右に進むとすぐに水が涸れ、沢は尽きる。笹ヤブを30分程掻き分けながら登ると登山道に飛び出した。ガスっていて周囲が何も見通せないのでどの辺に出たのか正確には判断できない。
 天気が悪く少し風が吹くとかなり寒いので、靴を履き替えると早々に下山にかかる。当初の下山ルートは七ツ小屋山、大源太山を経てヤスケ尾根を下る積りでいたが、新しい地図を見るとシシゴヤの頭経由で戻れる道が載っていたのでこちらを下ることにする。当初のルートより1時間は短縮できそうだ。シシゴヤの頭までは起伏も少なく楽であったが、シシゴヤの頭からは急下降となる。道は雨で滑りやすくなっており、滑らないようについつい足に力が入り、とても疲れる。駐車場に着いた時はドロまみれの哀れな姿になっていた。

〈コースタイム〉
駐車場発(7:05) → 七ツ小屋裏沢出合(8:00) → 登山道(13:15~13:35) → 駐車場(15:55)

概念図

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