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集中山行・甲武信ヶ岳 その四 突撃迷走隊が行く
金子 隆雄

山行日 2003年7月26日~27日
メンバー (L)金子、天城、菅谷

 今回の集中山行の我々の予定ルートは、入川の大荒川谷を溯行し、破風山から稜線伝いに歩いて甲武信小屋で集合というものであった。
 金曜の夕方から降り出した雨は一向に止む気配もなく、土砂降りの中、東所沢駅に集合した。少し遅れた菅谷君を待って22時半頃に川又に向けて出発した。途中、増水した川を見ながら、「入川も増水して渡渉できないかも知れないね」などと話しながら秩父まで来たところで、交通情報板に『大滝村でR140崖崩れのため通行止め』の表示が目に入る。ガーン、なんてこった。とりあえず西沢渓谷に向かっているであろう俊介君に電話をいれ、通行止めのため予定通りの行動ができない旨を伝える。
 詳細が不明のため大滝村まで行ってみることにする。大滝村に入るとすぐに道路上に通行止めの看板があり、迂回もできないことがわかる。明日の早い時間に復旧すれば何とかなるかも知れないと思い、その日は三峰口駅のベンチで寝る。
 26日早朝、現場(光岩トンネルの手前)まで行って話を聞いてみる。落下した岩の撤去は終っているが上にまだ落ちるかも知れない岩が残っているので、通行可能にするかどうかは6時に来る工事事務所の人(国道なので国土交通省の人か?)が判断すると言う。上の岩を撤去する場合は復旧は昼過ぎになるだろうとのことだ。どうなるか、近くの駐車場で待機して結果を待つことにする。
 6時半、人がやってきて看板を移動し始めたので通行可能かと期待したがさにあらず、道の端から真ん中に移動され、復旧見込みなしが決定的となってしまった。山行を止めて家に帰ってしまおうかとも一瞬考えたが、集中山行なんだし行かなきゃな、ということで西沢渓谷に向かうことにした。7時頃に俊介君から電話があり、現在西沢渓谷に向かっていること、ルートは未定だが集中場所には行くことを伝えた。
 名栗から青梅に出て、青梅街道をひた走り柳沢峠を越えて塩山を過ぎ西沢渓谷入口の村営駐車場に着いたのは10時半近くだった。家を出てから既に260kmも走っている、なんて長いドライブなんだ。駐車場に小堀のモビリオがあることは確認できたが、鶏冠谷に入っているはずの藤井さんのイプサムが見つからない、来ていないのだろうか。実は藤井さんは別の車で来ていたのだった。
 さて、どこから登ろうか思案する。時間も中途半端、沢の溯行図も持っていない。釜ノ沢なら何とかなるかも知れないと思い、釜ノ沢を溯行することにして10時40分に駐車場を後にする。
 通行止めのロープを越えて東沢渓谷に入る。鶏冠谷手前の東沢本流の渡渉は水量が多かったがそれほど大変ではなかった。我々より早い時間に通過した釜ノ沢、鶏冠谷パーティーはかなり苦労したそうだ。鶏冠谷も増水してすごい水量になっていた。
 ホラノ貝沢出合いで休んでいると雨が降り出してきた。時刻は12時半になっており釜ノ沢は時間的に無理に思われたので中止することにした。今日の天気は不安定で、晴れ間がのぞいたり雨が降ったりとめまぐるしく変化する。ぐずぐずしてたらまた増水して本流の渡渉ができなくなるかも知れないのでさっさと引き返すことにする。
 本流の渡渉を終えた所で幕営することにする。豪勢とまではいかないが焚き火もできたので途中の養魚場で買ってきたヤマメを焼く。釣ったイワナでないのがちょっと寂しい。
 27日、4時起床。集合時間の10時までに甲武信小屋まで行くにはもう選択の余地はなく、不本意ながら戸渡尾根を登ることにする。一旦、駐車場まで戻って不要な荷物を車に置いて空身同然で6時に駐車場を出発する。
 登山道に入って間もない6時半に井戸沢隊の荻原君から電話がはいる。雁坂峠に着いたところで、11時~11時半には小屋に着けそうだとのことだ。井戸沢も増水して大変だったろうに頑張っているようだ。
 木賊山を経て小屋に着いたのは9時50分であった。予想より結構早く着いた。荷物が軽かったためだろう。荷物が軽い山行がこんなに楽ならハイキングもいいかも、と思うがやらないだろうな。重くても泥にまみれても、ずぶ濡れになってもいい、自分の感性に呼応する山行をやりたいものだ。
 我々が一番のりかと思っていたが、既に鶏冠谷の藤井、土肥の両名と野田さんが到着していた。10時少し過ぎたところで釜ノ沢から3名が到着した。井戸沢の2名は当分来そうにないので残り酒を集めてちびちびやりながら待つ。11時45分、モートーコールと共に二人が現れた。二人共にヨレヨレだ、朝の3時から行動しているというのでそれも無理ないことだ。いやー、あっぱれです。
 11名がそろったところで記念写真を撮り、全員が戸渡尾根を下山する。15時に駐車場に着き、帰る方面によって車を乗り換えて解散となった。
 こうして情けない我ら迷走隊の集中山行は幕を閉じたのでありました。


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