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山とアマチュア無線
西尾 弘資

1. アマチュア無線の概要

 最近では、山の中でも携帯電話が通じる場所が多くなってきたので、遭難等の非常時におけるアマチュア無線の必要性は低くなってきました。しかしながら、携帯電話の「圏外」もまだまだ多く、そんな場合にはアマチュア無線が威力を発揮します。また、単に非常時の連絡用だけではなく、アマチュア無線本来の楽しみ方があります。
 本稿で、アマチュア無線について、少しでも興味を持っていただければ幸いです。

(1)携帯電話との違い
 携帯電話とアマチュア無線の違いを簡単に図示すると次のようになります。

携帯電話とアマチュア無線の違い

 つまり、携帯電話は近くに基地局(アンテナ)がなければ使えませんが、アマチュア無線は、直接相手の無線機まで電波が飛ぶことにより交信できます。

 アマチュア無線利用のメリット、デメリットは次のとおりです
【メリット】

【デメリット】

(2)資格を取ろう
 アマチュア無線を使用するには、まず無線従事者免許(国家資格)が必要です。
 資格は第1~4級までありますが、山で使うなら、「第4級アマチュア無線技士」の資格で十分です。
 資格取得の方法には、次の二つがあります。

 4級の国家試験は、毎月第3日曜日に当日受付で受験可能です(受験料4,950円)。
 当日の約1時間後に試験結果が発表され、合格したら即日、無線従事者免許が申請出来ます(申請料1,750円)。
 受験参考書としては、「完全丸暗記・初級アマチュア無線予想問題集」(誠文堂新光社 1,200円)がお勧めです。これに載っている過去問を意味が判らなくても、ただひたすら覚えれば、合格間違いなしです。

(3)無線局を開局しよう
 無線従事者免許を取っただけでは無線はできません。無線をするためには、無線局を開局する(コールサインを取得する)ことが必要です。つまり無線運用には、無線従事者免許証と無線局免許状の2つが必要なのです。この無線局の開局費用は、4,300円です。

(4)どんな無線機が良いか
 一般的なアマチュア無線の周波数は、1.9~2400MHzですが、周波数が低いと電波は遠くまで飛びますが、アンテナが大きくなります。逆に、周波数が高いとアンテナは小さくてすみますが、電波は遠くまで飛びません。山で使うなら、144MHzか430MHzが適当でしょう。
 144/430MHz兼用のハンディ無線機なら、約2万円で手に入ります。

2. 山でのアマチュア無線利用方法

(1)仲間同士での交信
 車に分乗して登山口等へ向かうときに連絡を取る場合、携帯が通じない林道等でもOKです。また、集中山行、別行動、山スキー等でパーティーが分かれる場合の連絡にも便利です。

(2)非常通信
 遭難事故が発生したときには、アマチュア無線の利用がたいへん有効です。
 自己もしくは自己のパーティーが遭難したときは勿論のこと、近隣パーティーの遭難時に、無線を使って救助活動を援助することも出来ます。アマチュア無線のお蔭で遭難事故から救助されたという事例はたくさんあります。

(3)一般通信
 仲間内の連絡や非常通信だけでなく、アマチュア無線本来の楽しみ方としては、不特定多数との交信にあります。見ず知らずの人と話すのは、最初は少し抵抗があるかも知れませんが、他の山に登っている人に相手の山の様子を聞いたり、麓の人に下山後の温泉や美味しいもの情報を聞いたり、なかなか楽しいおしゃべりができます。
 山だけではなく、家のベランダにでもアンテナを固定すれば、周波数によっては、地球の裏側とでも交信できます。交信した後は、QSLカードと呼ばれる交信証を交換する慣習があります。このカード交換も楽しいもので、日本全国から、また世界各国からいろいろな美しいカードが集まってきます。カードを見ながら交信したときのことを思い出すのもまた楽しいものです。

 このような簡単な説明ではアマチュア無線の魅力を判っていただけないと思いますが、皆さんも、もしご興味がありましたら、アマチュア無線を始めてみませんか?
 免許の取得については、100%合格保証でご指導申し上げます


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