トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ314号目次

石裂山
福間 孝子

山行日 2003年11月9日
メンバー (L)福間、飯塚、小幡、紺野、小山、大久保、渡部、(田中)

 浅草駅発7時10分の快速東武日光行きに乗り新鹿沼で降りる。駅前はゴルフ場の送迎バスが占領している。タクシー2台に分乗して賀蘇山神社で降ろされる。たしかにここは賀蘇山神社で石裂(おざく)山の登山口である。しかしなにか違う。以前来たときはこんなに道は広くなく、神社の様子も違っている。なんだか狐につままれたような気分で地図を見ると、ここは粟野地区の賀蘇山神社で、我々が行きたかったのは石裂山をはさんで反対側の久我地区の加蘇山神社だったのだ。だいたい駅前から登山者や観光客がタクシーに乗るのに、加蘇山神社といえば久我地区のほうに行くのが常識だろと、なんだかやけに調子の良かった運ちゃんにフツフツとした怒りを覚えながらの出発であった。
 林道をしばらく行くと石裂山の登山道の入り口が出てきた。少し上にはりっぱな東屋もある。杉の林の中をジグザグと40分程登ると岩混じりの尾根へと出る。細かく入り混じった木の根と岩の道は雨で濡れていて滑りやすく気持ち悪い。途中2ヶ所木のハシゴがでてくるが、1ヶ所は完全に腐っていて使い物にならず岩をよじる。おもわずハシゴをつかんだらグラッと動いて冷や汗ものだった。後で会った地元の登山者の人の話ではこの道は登山禁止になっているということだった。そうでしょう、一般のハイキングには危なすぎる。
 けもの道に何度かさそわれたり岩尾根の上の倒木をのッ越したりしてようやく西ノ剣ガ峰に到着。雨だというのに汗だくである。コースを変更し、というより出だしから違っていたんだが、西ノ剣ガ峰から石裂山を往復し、最初登る予定だったコースを逆に下ることにした。
 西ノ剣ガ峰から石裂山へはいきなり鉄ハシゴでガンガン下っていく。今日は濡れていて結構こわい。ここ数年に何人かの人が転落で亡くなったりしたので、いたるところにハシゴががっちりと取り付けてある。基部まで降りてそこから登り返したすこし先が頂上である。山頂は広い展望は望めないが、ずっと暗い木の中にいたので頭上にぽっかりとあいた空がうれしい。記念写真やなんだかんだやっていると、あの屈強なバタヤンがなんとも困った顔で「シュリンゲがー」とか何とか言っている。なんとなんと靴底が全部はがれてパタパタ状態なのだ。こんなマンガ見た事あるなあ。どおりで最後からゆっくり来るなあとは思っていたが、苦労していたんだ。Tさんの白いテーピングで靴ごとぐるぐるまきにした様はまるで敗残兵の態だ。帰りの道路ではわざわざ親切な車が止まって「乗っていきますか」と言われたぐらいだ。
 休憩の後、しっかりと雨具と軍手をつけ西ノ剣ガ峰へと戻るが、鉄ハシゴのところで23名の団体さんと遭遇。ひたすら待つ。次に東ノ剣ガ峰のハシゴで2人のパーティーを待つ。ひたすら待つ。こちらは挨拶もなしに行ってしまった。
 何度も後ろ向きになり木の根をつかみながら下る場所があったり、金属の歩道が取り付けてあったりしてなかなか気が抜けない。奥の宮の岩場で参拝したあと竜ガ滝の休憩所で大休憩。いもっこ汁で体をあっためた後加蘇山神社へ下る。古い古い神社の大きな杉の木や、雨に煙る里山の風情がなんとも言えず心を落ち着かせてくれる。14時55分発の午後1本のバスを待ちながら、雨の山もなかなかいいもんだと思える一日でした。
 ちなみに往きのタクシー6,580円、帰りのバス300円でした。

〈コースタイム〉
粟野賀蘇山神社(9:30) → 林道終点(10:00) → 西剣ガ峰(11:10) → 石裂山(11:30~11:50) → 東剣ガ峰 → 竜ガ滝休憩所(13:10~13:55) → 加蘇山神社(14:25)


トップページ > 岩つばめ一覧 > 岩つばめ314号目次