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清津川サゴイ沢
越前屋 晃一

山行日 2003年10月4日~5日
メンバー (L)越前屋、金子、紺野、橋岡

 この日も例によって東所沢に遅い時間に三々五々集合。最近は関越道を走るときはここに決まってきて、はるか神奈川県中央から駆けつけてくる私だが何か地元気分になってきたから不思議なものだ。10月の紅葉シーズンでもあり渋滞を避けるためにも行けるところまで行くことにして走ったが、AM2時を廻ったところで「こりゃ、もうだめだ。眠たくて限界だね。」ということになって土樽PAのトイレで仮眠することした。
 実はここのトイレは休憩スペースの中にあって、結構快適なビバークポイントなのである。トイレが快適という発想自体がある意味で問題かもしれないが、テントを張る手間もなくシュラフを広げるだけで寝られるとなれば世間一般の評価はともかく我々には「快適」ということになるわけです。自販機ひとつないPAなのでよほどのことでもないかぎり、こんな時間にここに止まろうかという奴もいないので静かなものだ。だいたい「こりゃ、もうだめだ・・・」と思うならさっさと寝てしまえばいいのに、おもむろに一升瓶とつまみがでてきて宴会風の寝酒が始まるからいけない。仕事仲間から貰ってきた青森の『原酒』とかいう白い酒があっという間になくなった。
 翌4日、この日の泊まり場は赤湯温泉あたりと決めていたのでのんびり起きて、湯沢インターを降りたところのセブンイレブンに車を停めて朝食をとる。
 ここから三国街道を走り苗場プリンスの前で大きく迂回して、スキー場の中を走る道を行き清津川にかかる橋を渡ってしばらく行くと車止めがある。
 車止めからほんの少し降りたところに10台は楽に停められそうな駐車スペースがあるので、ここで共同装備の分配をして歩き出す。のんびり歩いて昼前に赤湯温泉の少し手前にある広場に到着。今日はここまで、明日はここをベースに早立ち日帰り、赤倉山経由の周回下山の計画だったが、ファミリーテントが静かに張られていて何か申し訳ない気がして赤湯温泉の一軒宿・山口館の先の河原に幕を張ることにした。
 今日の赤湯温泉の露天風呂は前に入った時よりも熱めでお湯の湧き出している側の小さい浴槽は熱くて入れなかった。お湯のほうにもいろいろ都合があるのだろう。
い・い・湯だな♪  翌朝、昨日の夕方からしょぼしょぼ降りだした雨がまだ止んでいなかった。昨日、遡行する前に風呂に入ってしまったのが悪かったのかさっぱり気が乗らなくなってしまっていた。
 5時頃だったろうか、つい「こりゃ、だめだね。」と言ってしまった。もそもそしていたみんながこの一言でまたシュラフの中に頭をもぐらした。それでもようやく6時半ごろになって「このままうだうだしていても仕方がないから、行けるとこまで行ってピストンにして帰ってきましょうか」ということになった。今日のところは偵察で勘弁することにして、ゆっくり朝食をとって出発は8時。
 赤倉山東尾根の末端を越えて出合へ。サゴイ沢出合は指導標も立っていて明瞭。「分岐点」が「分折点」と書かれた誤字看板だったが用が足りているからいちいちケチをつけることもなさそうだ。
 最初の小滝をなんなく越えてしばらくいくとF2五重滝。左岸を捲く。中段のバンドをトラバースぎみに登る。ぼんやりしていると真直ぐ上にいってしまい熊ノ沢に引き込まれるので要注意。
 続いてF3・8mの滝。ここもやはり左岸を捲く。降りて沢に戻ろうとしたが結構悪くて、ザイルをフィックスして懸垂で降りた。
 起掛けにふんぎりがつかなくてもそもそしていたせいで時間も遅くなっていた。この先抜けることはどう考えても無理なので、このあたりでしばらく遊んで帰ることにした。禁漁期間に入っていたことでもあるし「釣れたらリリース!」という約束で竿を出してみる。もっともアタリもなかったが・・・。「帰りはさっきのところを登り返すのか。ちと、いやらしいね。」と思っていたが、何のことはない、かすかだが踏み跡がついていてなんなくもどることができた。
 帰ると決めたら、空がすっきりと晴れ渡ってきた。世の中こんなものなのだろう。気に入ったようにばかりはいかないのである。偵察いう名の敗退行だったが、お天気が良くなってきたからだろうか皆なんだか明るい。まあ、三峰は多少のことでは落ち込まない。いつも明るい。事態が解っているのか、この人たちはと思うことさえある。
 出合から登り返して尾根の端あたりを越えようとすると、行くときには気付かなかった<旧道・赤倉山>と書かれた指導標が立っていた。本当は沢をつめて赤倉山経由東尾根を下降して、ここに帰ってくるはずだった。
 やはりお風呂は終わってから充実感にひたりながら入ったほうがいいようだ。前評判はあまり良くなくあまりきれいとは言えないとうわさだったが、遡行価値は充分ある沢だということが確認できた。
 次回は、もう少し暖かいときにどっぷりと浸かってみたい。初日は沢の半ばあたりまで歩を進めておいて沢の一夜を過ごしたほうがよさそうだ。

F3

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